ハマシギ

ハマシギ さんのプロフィール


鳥類図鑑・ハマシギ

ハマシギ

チドリ目・シギ科
学 名 Calidris alpina
英 名 Dunlin
分布域 日本では春と秋に見られるが、本州以南では越冬するものも多い
生息環境 砂浜や干潟、岩礁海岸や湿地、河原や耕作地など
全 長 16~22cm 程度
翼開長 32~44cm 程度
体 重 45~70g 程度
自治体によっては準絶滅危惧種

ハマシギは、国内では最も多く見られるシギ類のひとつで、冬の干潟で大きな群れをつくることもある。
しかし、地域によっては生息数が減少していて、自治体によっては準絶滅危惧種などに指定している。

分布域・生息環境

ハマシギは、夏にはユーラシア大陸や北アメリカの北極海沿岸のツンドラ地帯で繁殖し、冬には中国南部から東南アジア、地中海沿岸や北アメリカ沿岸域、アフリカ西海岸などに移動して越冬する。

国内には旅鳥として春と秋の渡りの途中で見られる鳥で、海岸や干潟、河口などに生息している。
また、本州以南では越冬するものも多く、各地で冬鳥として観察される。

大きさ・形態

ハマシギは全長16~22cm程度、翼を広げた長さは32~44cm程で、平均するとイソシギよりも少し大きい。

雌雄同色の鳥だが、夏毛と冬毛では変化がある。
夏毛では、頭部や胸は白っほいが褐色の細かい縦斑が見られ、頭部では密になっている。
背は赤褐色のような色をしているが、腹には特徴的な黒い斑が現れ、遠くからでもよく分かる。

冬毛では、背側は全体に淡くなり、淡褐色のような色合いで、腹側には斑などが消失して白くなる。
また、長い嘴は黒く、やや下方に湾曲していて、体は雌の方がやや大きい。

生態・生活

国内では、本州以南で冬を越すものも多く、名前のように、海岸や干潟、河口などに生息している。

湿地や湖沼周り、時には河川近くの耕作地でも見られるが、ハマシギは一年を通して海岸近くで生活していて、水辺から遠く離れたところで見られることはほとんどない。

繁殖期以外は群れで生活していて、多毛類や二枚貝、カニなどの甲殻類や昆虫、その幼虫などを食べる。
また、小魚なども食べ、繁殖地では主に昆虫類を食べる。

干潟では、群れになって嘴を砂泥などの中に突っ込み、採餌している様子がうかがえるが、何かあると一斉に飛び立ち、向きを変えるときにも、見事にそろった方向転換を見せる。

ところで、ハマシギの季節移動は、大きく分けると五つの集団に別れて行われていると考えられている。

ひとつは、アイスランドやバルト海、スカンジナビア半島南部などで夏を過ごしたものは、モロッコからモーリタニアなどで越冬し、中央シベリアなとで夏を過ごしたものは、アラビア湾で越冬するとされている。

また、シベリア東部とアラスカ北部のものは東南アジアなどで冬を過ごし、アラスカ北西部などのものも東南アジアで冬を過ごす。

同じように、アラスカ南部やカナダなどのものは、主に米国の太平洋側に渡って越冬するとされている。

国内に渡ってくるものは C.a. sakhalinas とされているが、主にアラスカ北部で繁殖したものと考えられていて、キョウジョシギなどと混成の群れをつくって渡ってくる。

秋に入ると、最初の飛来が本州中部辺りで見られ、次第に数を増やして、晩秋から初冬にかけて数百を超える大きな群れをつくるようになる。
この群れはやがて分散していき、各地で見られるようになる。

繁殖・寿命

繁殖期は5月下旬から7月中旬にかけて見られ、営巣地には雄が先に到着し、縄張りを形成する。
その後、雌が訪れ、繁殖は一夫一婦で行われる。

巣は、雄が植物のある地面に浅い窪みをつくり、河川や湖沼などの水辺近くにつくられるが、湿地自体につくられることはほとんど見られない。

巣には草や小枝などが敷かれているが、雄は縄張りの中に、その様なものを幾つかつくる。
雌はその中のひとつを選び、ふつう1回に1個の卵を産み、全部で2~6個、多くは3~4個の卵を産む。

抱卵は雌雄で行わり、卵は21~22日程で孵化し、ヒナは孵化後まもなく歩くようになり、親に連れられて、自分で採餌する。

ヒナは3週間からひと月ほどで飛べるようになって自立するが、雌は孵化後5~6日程で巣を離れることが多く、その後は雄が子育てする。

雌雄とも、生後1~2年で性成熟し、野生下での平均寿命は5~6年程度と言われているが、野生下での最も長いものは24年の記録があるとされている。

また、繁殖地での外敵は、イタチやホッキョクギツネ、カラスや猛禽類などで、主に卵やヒナが襲われる。
冬季には、ハヤブサやチョウゲンボウ、ワシミミズクなどの猛禽類が外敵になる。

保護状況・その他

ハマシギの分布域は広いこともあり、現在のところ、国際自然保護連合(IUCN)では、絶滅の恐れはないとしている。

しかし、国内では、開発などによる生息地の減少などで、地域によっては生息数が減少していて、自治体によっては準絶滅危惧種などに指定している。

尚、ハマシギは多くの亜種が認識されていて、次のような亜種が知られている。

Calidris alpina alpina
北ヨーロッパと北西シベリアで繁殖する基亜種

C.a. actites
サハリンで繁殖

C.a. arctica
グリーンランド北東部で繁殖

C.a. arcticola
アラスカ北西部からカナダ北西部で繁殖

C.a. centralis
シベリア北中部や北東部で繁殖

C.a. hudsonia
カナダ中部で繁殖

C.a. kistchinski
オホーツク海から千島列島、カムチャッカ半島にかけて繁殖

C.a. pacifica
アラスカ西部および南部で繁殖

C.a. sakhalina
ロシア東部からチュクチ半島にかけて繁殖

C.a. schinzii
グリーンランド南東部やアイスランド、スカンジナビア半島やバルト海で繁殖


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