クロコンドル

クロコンドル さんのプロフィール


動物図鑑・クロコンドル

クロコンドル

タカ目・コンドル科
学 名 Coragyps atratus
英 名 American black vulture / Black vulture
分布域 カナダ南部から南アメリカ
生息環境 低地の草原やサバンナなど
全 長 60~70cm 程度
翼開長 135~150cm 程度
体 重 1600~2000g 程度

クロコンドルはコンドルの仲間の中では小型で、北アメリカから南アメリカにかけて分布している。
全体に黒い色をしているが、頭部や喉には羽毛がなく裸出しているのが特徴になっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


クロコンドルの分布域・生息環境

クロコンドルは、カナダ南部から中央アメリカを経て、南アメリカ南部まで広く分布している。

開けた環境を好み、主に低地の草原やサバンナなどに生息しているが、砂漠地帯や耕作地周辺などにも生息している。
また、北に生息しているものは、秋には南へと移動して、翌年の春に再び北へ向かう季節移動をする。


クロコンドルの大きさ・特徴

クロコンドルは、同所的に分布しているヒメコンドルよりはやや小さいが、それでも全長60~70cm、翼を広げると135~150cm程の長さがある。

雌雄ともにほとんど同じで、羽毛は全体に光沢のある黒色で、飛ぶと羽裏の先の白い部分がよく目立つ。

頭部や喉も黒いが、この部分には羽毛がなく皮膚が裸出しているのが特徴になっている。
尾は短くて丸みを帯びていて、嘴は細いが先は鉤状になっている。

また、コンドルの仲間は鳴き声を上げる鳴管と呼ばれる器官とそれに伴う筋肉が備わっていない。
この為、クロコンドルもほとんど鳴かず、うなり声やシューッという音、繁殖期にはゼーゼーというような音を発する程度になっている。


クロコンドルの生態・生活

クロコンドルは、主に低地の草原やサバンナ、疎林などに生息していて、標高の高いところではふつうは見られない。

しかし、砂漠地帯にも生息していて、牧場や耕作地、都市部のゴミ捨て場や下水場の周辺など、さまざまな環境で見られる。

群れで生活していて、餌を探すときも群れをつくり、ヒメコンドルなどと一緒にいることも多い。

他のコンドルと同様、クロコンドルもさまざまな動物の死肉を食べるが、腐敗した果実や野菜なども食べる。

また、小型の哺乳類や小鳥とその卵を食べることもあり、家禽や生まれたばかりの子牛などの家畜、時にはペットなどを襲うこともある。

その為、害獣として嫌われているが、コンドルの仲間は死肉を食べることによって、腐敗などによる病原菌の蔓延を防いでる役割を果たしている。

餌は主に視覚によって探し出すが、クロコンドルは嗅覚の優れているヒメコンドルの後をついて行き、ヒメコンドルが探し出した死肉にあずかることもある。
しかし、食べ物にありつくと攻撃的で、ヒメコンドルなどの他の腐肉食の鳥を追い払ってしまう。

また、クロコンドルの飛び方には特徴があり、力強く羽ばたいたのち滑空し、また羽ばたいて高度を上げて滑空する。

コンドルの仲間は日光浴を好むが、クロコンドルも同じで、早朝などは翼を大きく広げて陽を浴びている様子が観察される。

また、驚いた時などは、飛び立つために、食べたばかりの食物を吐き戻すことがあると言われている。

外敵はアライグマハイイロギツネハナグマなどで、主に卵やヒナが狙われる。
成鳥は体が大きいこともあり、ほとんど外敵はいないが、時に大型の猛禽類に襲われることがある。


クロコンドルの繁殖・寿命

クロコンドルの繁殖期は地域によって異なっていて、アメリカ合衆国南部辺りでは1月頃に見られるが、アルゼンチンやチリでは9月頃に見られる。

繁殖は一夫一婦で行われ、巣は樹洞や洞窟、岩棚の隙間などのほか、建物の隙間にあることもあり、廃屋が利用されることもある。
しかし、実際の巣作りは行われず、卵は直接地面などに産み落とされる。

また、クロコンドルの巣は地上から3m辺りまでにあることが多いと言われている。

雌は1~3個、ふつうは2個の卵を産み、卵は楕円形で、平均すると7.5×5cm程の大きさがある。
抱卵は雌雄によって行われ、卵は30~40日ほどで孵化するが、育児も雌雄によって行われ、餌は吐き戻してヒナに与える。

幼鳥はふた月ほどで巣から離れるようになり、その後2~3週間ほどでうまく飛べるようになる。

クロコンドルの寿命は長く、飼育下では20年の寿命をもっていることが知られていて、野生下では、足環による観察で16年のものが知られている。


クロコンドルの保護状況・その他

クロコンドルは、一時は森林火災による営巣に適した樹洞の減少や、殺虫剤の散布による卵殻の薄化などにより生息数が減少した時期があった。
しかし、現在では個体数は回復していて、絶滅の恐れなどはないとされている。

一方、都市部などでは個体数がかなり増加していて、害鳥とみなされることもある。
また、近年は北への分布を徐々に広げている。

尚、クロコンドルには次の亜種に別けられている。

Coragyps atratus atratus (North American black vulture)
アメリカ合衆国南部からメキシコ北部にかけて分布する基亜種

C. a. foetens (Andean black vulture)
中央アメリカから南アメリカ北部や東部

C. a. brasiliensis (South American black vulture)
南アメリカ西部

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