ヒメコンドルは北アメリカから南アメリカにかけて分布しているコンドルの仲間で、全体に黒いが、頭部と首の上部が赤いのが特徴になっている。 他のコンドルと同様、主に動物の死肉を食べ、さまざまな環境で見られる。
ヒメコンドルの分布域・生息環境 ヒメコンドルはカナダ南部からチリ南部まで広く分布して、近年は徐々に北への分布域を広げていると言われている。 寒冷地に生息しているものは、冬には温暖な地域へ移動するが、森林から開けた草原や裸地、沿岸域や耕作地、砂漠など、さまざまな環境に生息している。 人の生活圏にもよく馴染み、住宅地にも姿を見せ、死肉が見つかるところならほとんどの場所に生息している。 ヒメコンドルの大きさ・特徴 ヒメコンドルには幾つかの亜種が知られていて、大きさなどにはやや違いがあるが、概ね全長65~80cm程で、900~2200g程の体重がある。 翼を開くと160~180cm程もあり、大きいものでは体重が2400g程になるものも見られる。 雌雄ともに同じ色をしている鳥で、全身は茶色みのあるような黒い色をしている。 しかし、頭部と首の上部は裸出していてピンクや赤い色をしているのが特徴になっている。 頭部などが裸出しているのは、ハゲコウなどと同じで、死肉に頭ごと突っ込んで食べるので、羽毛がないことにより血が固まったり、肉がこびりついたりすることがなく、死肉などを食べるのに適していると考えられている。 また、翼面積と体重の比率から、ヒメコンドルの翼にかかる荷重は軽いとされていて、他のハゲワシ類よりも揚力が高く、最小のエネルギーで飛ぶことができると言われている。 一見するとキガシラコンドルに似ていなくもないが、キガシラコンドルの頭部にはピンク色や青色の斑が見られる。 ヒメコンドルの生態・生活 ヒメコンドルは主に動物の死肉を食べることから、死肉があるところなら至る所に生息している。 森林から草原、砂漠や岩場、沿岸域や牧草地、耕作地など、さまざまな環境に生息している。 道路脇や住宅地などでも見られ、人との接触が多い人工の環境にもよく適応している。 日中に活動し、単独で餌を探しているが、夜間は大きな群れをつくってねぐらへ戻り、集団で休む。 ねぐらは枯れ木や針葉樹などが多いが、送電塔や給水塔なども利用される。 時にはクロコンドルの群れやコンドル(アンデスコンドル)が含まれていることもあり、数百ほどの大きな群れになることもある。 ヒメコンドルはほとんど動物の死肉を食べていて、耕作地周辺などでは家畜の死骸も食べる。 しかし、ヒメコンドルは腐った野菜や果実を食べることもあり、昆虫類や爬虫類、時には鳥のヒナなどを襲うことも知られている。 また、海岸に打ち上げられた魚を食べていることもあり、コヨーテやアシカ、家畜の糞を食べているのも観察されている。 餌を探して広範囲を飛び回り、住宅地や耕作地周辺では行動範囲は狭いが、それ以外での環境では2倍ほどの範囲を飛び回ると言われている。 また、ヒメコンドルは視覚が優れているが、嗅覚もかなり発達していて、鋭い嗅覚と視覚によって死肉を探している。 鳥の中では鋭い嗅覚をもつ数少ないもののひとつで、クロコンドルなどは、ヒメコンドルの後について行って、死肉にあずかるということある。 幼鳥や若いものはフクロウなどの大型の猛禽類に襲われることがあるが、ヒメコンドルは、外敵に襲われると半消化状態の肉を吐き出すことが知られていて、その腐敗臭によってほとんどの捕食者は退くと言われている。 しかし、ヒナや卵はアライグマなどに襲われることがある。 ヒメコンドルの繁殖・寿命 ヒメコンドルの繁殖期は地域によって異なっているが、北アメリカでは3~6月頃にかけて見られ、北部では8月頃まで見られる。 繁殖は一夫一婦で行われ、ペアは繁殖期の間は一緒にいるが、中には1年中一緒にいることもある。 巣は樹洞や洞窟、崖の隙間などのほか、廃屋などが利用されることもある。 しかし、実際の巣作りはほとんど行われず、卵は地面に直接産卵される。 雌は1~3個、ふつうは2個の卵を産み、抱卵は雌雄によって行われる。 卵は30~40日ほどで孵化し、幼鳥は70~80日ほどで巣立ち、その後1週間ほどで独立した生活を送るようになる。 それまでの育児は雌雄によって行われ、若鳥は4~5年ほどで成熟すると考えられている。 ヒメコンドルの寿命については詳しくは分かっていないが、飼育下では47年を生きたものが知られていて、野生下では、足環による観察で16年を超えるものが記録されている。 ヒメコンドルの保護状況・その他 ヒメコンドルにはほとんど外敵が見られず、分布域が広く個体数も安定していると考えられていて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 尚、ヒメコンドルには次のような亜種が知られている。 C. a. aura (Antillean turkey vulture) メキシコから南アメリカにかけて分布している基亜種で、亜種の中ではもっとも小さい C. a. jota (Chilean turkey vulture) コロンビアのアンデス山脈からアルゼンチン南部まで C. a. meridionalis (Western turkey vulture) C. a. teterとされるものと同じで、カナダ南部からアメリカ合衆国南部にかけて分布していて、冬は南アメリカなどへ移動する C. a. ruficollis (Tropical turkey vulture) パナマ南部からウルグアイ、アルゼンチンにかけて分布していて、ふつうは頭頂部に淡黄色の斑がある C.a. septentrionalis (Eastern turkey vulture) カナダ南東部からアメリカ東部 |
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