オオフラミンゴは、フラミンゴ類の中ではもっとも体が大きく、大きな群れをつくって生活している。 ヨーロッパでも見られることから、別名・ヨーロッパフラミンゴとも呼ばれているが、豊富な餌場を探して、一年を通して移動している。
オオフラミンゴの分布域・生息環境 オオフラミンゴは、北アフリカやサハラ以南のアフリカ、南ヨーロッパの地中海沿岸諸国などの他、トルコからイラン、アフガニスタンなどの中東や西アジアにも分布している。 ヒマラヤ山脈より南のインド亜大陸にも分布していて、分布域は広い。 アフリカではモロッコからアルジェリアを経て、リビアの北部などで見られ、エジプトやエチオピア、ケニアなどでも少数が見られる。 アフリカ南部では、マダガスカルやルワンダ、タンザニア、ウガンダなどに分布している。 また、オーストリアやドイツ、ポーランドやスウェーデンなどでも時々見られるが、これらの地域では迷鳥とされている。 塩分の多い浅い湖沼や湿地、沿岸域や干潟などに生息していて、大きな群れをつくって生活している。 オオフラミンゴの大きさ・形態 オオフラミンゴは、フラミンゴの中ではもっとも体が大きく、体高は110~150cmほどもある。 体は雌よりも雄の方が大きいが、他のフラミンゴと同様、「S」字型に曲がった首は長く、嘴は「く」の字のように曲がっている。 また、足も細くて長く、しっかりとした水かきをもっている。 羽毛は雌雄同色で、全体に淡いピンク色やピンクがかった白色をしているが、翼は赤っぽく、翼の後ろ縁(主風切羽と次風切羽)は黒い色をしている。 嘴はピンク色で先端は黒く、足は全体にピンク色をしている。 一見するとコフラミンゴとはよく似ていて、大きさだけでは見分けづらい。 しかし、オオフラミンゴの嘴の黒っぽい部分は先の方だけだが、コフラミンゴでは黒っぽい部分が多く、目の先から黒くなっている。 オオフラミンゴの生態・生活 オオフラミンゴは大きな群れをつくって生活していて、時には数千羽の群れをつくることがある。 決まった生息地はなく、群れ全体が食べることができる餌を探して、年間を通して絶えず移動している。 塩分が高いか強いアルカリ性の湖沼や湿地などのほか、海岸や干潟、汽水域などで見られるが、水深の浅いところが好まれる。 また、生息環境が同じであることから、アフリカ南部ではコフラミンゴと混成の群れをつくることもある。 オオフラミンゴは小型の甲殻類や藍藻、微生物や昆虫の幼虫(ユスリカなど)などのほか、軟体動物なども食べるが、採餌は、足で水や泥をかき回し、特徴のある嘴でこしとるようにして食べる。 フラミンゴの嘴は形だけでなく構造にも特徴があり、下嘴は大きくて深い受け皿のようで、上嘴は小さくて蓋のようになっている。 嘴の中には「ラメラ」と呼ばれる櫛状の細かい繊毛があり、餌をこしとって食べるのに適したつくりになっていて、オオフラミンゴも水ごと餌を吸い込み、この嘴を使って餌をこしとって食べている。 フラミンゴの仲間は、外敵が近づきにくい場所に生息していることもあり、成長したオオフラミンゴにはほとんど外敵がいないが、卵やヒナは猛禽類やカラス、カモメやアフリカハゲコウなどに襲われることがある。 飛翔力は優れていて、一度に500km程も移動することがあるほか、鳴き声はガチョウのような大きな声を出す。 オオフラミンゴの繁殖・寿命 オオフラミンゴは年に一度繁殖するが、繁殖期は決まっていない。 また、繁殖は一夫一婦と言われているが、数年の間にペアを変えることがあり、一夫多妻とも言われている。 営巣地は餌が豊富で浅い水域が選ばれ、巣は泥や堆積物などを用いてつくられる。 巣は上部が平らになった円錐状で、水面から15~30cm程の高さがある。 雌はふつう1個の卵を産み、抱卵は雌雄が交代で行う。 卵は30日前後で孵化するが、数日の間は親からの給餌を受けるが、その後、ヒナだけの群れをつくって生活するようになる。 この群れは、繁殖していない複数の成鳥のオオフラミンゴによって見守られる。 ヒナは3ヵ月ほどで巣立ちし、雌雄ともに5~6年程で性成熟する。 寿命は長く、飼育下では30~40年、長いものは60年程の寿命をもっているが、最も長く生きたものは、少なくとも84年は生きたとも言われている。 これはオーストラリアのアデレード動物園で飼育されていた鳥で、正確な年齢は不明だが、1933年にアデレードに到着した時には、既に成熟した成鳥だったと言われていて、2014年に亡くなっている。 また、野生下でも20~40年程の寿命をもっているが、長いものは50年程の寿命をもっている。 オオフラミンゴの保護状況・その他 オオフラミンゴは分布域も広く、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 しかし、ほかのフラミンゴなどと同様、開発による生息地の減少や水質汚染などの影響が心配されているほか、人によって卵などもとられていて、個体数への影響が懸念されている。 尚、以前はベニイロフラミンゴ(Phoenicopterus ruber)と同種とされていたが、色の違いなどから、現在は別種とされている。 また、オオフラミンゴには亜種が認識されていない。 |
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オオフラミンゴ
(ヨーロッパフラミンゴ)