ジェンツーペンギンは大型のペンギンで、頭頂部から両方の眼に繋がっている白い羽毛がよく目立つ。 水の中では敏捷で、ペンギン類の中ではではもっとも速く泳ぐと言われている。
分布域・生息環境 ジェンツーペンギンは南極の沿岸域やその周辺の島々などに分布しているペンギンの仲間で、南緯45度から65度辺りの間に生息している。 希にオーストラリアやニュージーランドなどの海岸近くに現れることもあるが、最も多く生息する場所はフォークランド諸島で、そこにはジェンツーペンギンの個体数の40%程も生息している言われている。 ふつうは群れで海岸沿いに生息していて、繁殖期以外は、一日の多くを水の中で過ごしている。 大きさ・形態 ジェンツーペンギンは大型のペンギンで、現在生息しているペンギンの中では、コウテイペンギン、オウサマペンギンに次いで3番目に大きい。 体長は70~95cm程だが、北に分布するジェンツーペンギンは、南のものよりもやや体が大きくなる。 体重は季節によって変化があり、換羽直前の雄は最大8.5kg程になるものもいるが、繁殖後には5kg位まで体重を落とす。 雌も換羽直前では最大8.2kg程の体重があるが、産卵後、ヒナを育てている間は4.5kg程まで体重が落ちる。 また、体は雄の方がかなり大きいが、羽毛の色は雌雄ともに同じ色をしている。 他のペンギンと同様、背中や頭部は黒色をしているが、腹部は白くて暗色の帯などは見られない。 しかし、成鳥では白い帯が頭頂部を通って両方の眼に繋がっていて、これがジェンツーペンギンの特徴になっている。 また、嘴は黒いが、両側には濃いオレンジから赤色の斑がある。 この斑の色は、餌となるオキアミから吸収した色素・カロテノイドによるものとされている。 太くて丈夫な足は明るいオレンジ色やピンク色のような色で、水かきがある。 生態・生活 ジェンツーペンギンは海岸近くに生息していて、繁殖期以外は一日の多くの時間を水の中で過ごしている。 陸上での動きは鈍いが、水の中では餌を追いかけ、巧みに動き回る。 最高速度は時速36km程にも達し、ペンギンの中では最も速く泳ぐと言われている。 採餌は沿岸域で行われることが多いが、時には岸から25km程離れたところでも採餌していることがある。 主に魚や甲殻類、頭足動物を食べるが、その割合は季節などによって変化する。 6~10月頃には、魚類が餌の90パーセントを占めるが、3~6月にかけてはオキアミやエビなどの甲殻類が、餌の76パーセントを占めると言われている。 これは、季節的な獲物の移動や、繁殖期に他のペンギン類がいることなどによると考えられている。 採餌のためにしばしば潜水するが、長くても2分程度で、潜水時間は短いと言われている。 時には70m辺りやより深くまで潜ることもあるが、潜水深度はふつう3~20m程で、ジェンツーペンギンは浅い水域で採餌すると言われている。 陸上での外敵は トウゾクカモメなどで、主に卵やヒナ鳥が襲われる。 水の中では、巣立ちしたばかりのヒナがヒョウアザラシなどに襲われるが、成鳥も ヒョウアザラシやワデルアザラシのほか、オタリアやシャチなどに襲われることがある。 繁殖・寿命 ジェンツーペンギンの繁殖期は6~8月中旬頃にはじまり、10月下旬~11月下旬ころまで続くが、この時期にはコロニーが形成される。 大きなコロニーをつくるが、時にオウサマペンギンなどと共に混成のコロニーをつくることもある。 繁殖は、まず雄が巣を造るのに適した場所を探すことからはじまるが、巣の場所は雪や氷がほとんどない場所が選ばれる。 海岸近くが好まれるが、繁殖地の環境によっては、海岸から2km程も離れた 内陸でコロニーを形成することもある。 また、営巣地は海抜110~120m付近の平坦な場所が好まれるとも言われているが、これは、夏になって雪が最初に溶ける傾向があり、海抜が高いほど、夏に雪が溶けはじめても巣が水に浸かることが少ないからと考えられている。 場所が決まると、雄は大きな鳴き声を上げて雌を呼ぶが、雌がその場所が気に入った場合にはペアが形成される。 繁殖は一夫一婦で行われ、その関係は生涯続くこともある。 巣作りは雌雄によって行われるが、巣は地表に石を積み上げた円形状で、巣の周囲には1平方メートルほどの縄張りが主張される。 雌は1~3個、ふつうは2個の卵を産むが、ふたつ目の卵は3日ほど後に産卵される。 卵は重さ125gぼとの球形で、やや緑がかった白色をしている。 抱卵は雌雄が交代で行い、卵は35日前後で孵化する。 孵化したばかりのヒナは体重95g程で、ひと月ほどは巣で暮らし、親から餌を与えられて成長する。 ひと月を過ぎた頃には、「クレイシュ」と呼ばれるヒナだけの群れをつくるようになるが、その間も親からの給餌を受ける。 その後、ふた月ほどで亜成鳥の羽毛に換羽し、海へ出ていくようになり、雌雄ともに2~3年で性成熟するが、ほとんどの個体は3~4歳頃までは繁殖しないと言われている。 ジェンツーペンギンの寿命は、野生下では平均13年程度と言われているが、飼育下での平均寿命は10~11年程度と言われている。 これは飼育状況や餌の量などによると考えられていて、飼育下の中でも平均寿命を超えるものもいる。 また、野生下では多くの個体が生後1年以内に死亡し、翌年まで生きられるものは30~50パーセント程度と考えられている。 保護状況・その他 以前は、一部の地域では生息数が減少していることがあり、国際自然保護連合 (IUCN) のレッドリストでは準絶滅危惧種(NT)として指定していたこともあったが、現在のところ、ジェンツーペンギンの生息数は安定していると考えられている。 しかし、大きな保護活動などは行われていないが、ジェンツーペンギンの繁殖地となるマックアリー島やハード島などでは保護区が設けられ、安定した繁殖が行われるように環境を整えたりしている。 尚、ジェンツーペンギンには、次の4亜種が認識されている。 Pygoscelis papua papua (キタジェンツーペンギン) フォークランド諸島やマルティージョ島などに分布する基亜種 P. p. ellsworthi (ミナミジェンツーペンギン) 南極半島やサウスオークニー諸島、サウスシェトランド諸島、サウスサンドウィッチ諸島など P. p. poncetii (サウスジョージアジェンツーペンギン) サウスジョージア島 P. p. taeniata (ジェンツーペンギン) クロゼット諸島やプリンスエドワード諸島、ケルゲレン諸島、ハード島、マッコーリー島など |
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