オウサマペンギンは体長70~100cm程もある大型のペンギンで、南極周辺の島々に分布している。 英名のまま「キングペンギン」と呼ばれることもあり、細くて長い嘴と、下嘴の左右や耳の周辺、喉のあたりのオレンジ色がよく目立つ。
オウサマペンギンの分布域・生息環境 オウサマペンギンは南極周辺の島々に分布していて、繁殖は南大西洋とインド洋にある亜南極の島々で行われる。 南大西洋ではフォークランド諸島やサウスジョージア島、インド洋南部ではケルゲレン島やクロゼット諸島、プリンスエドワード諸島、バート島、マクドナルド諸島などで、南極海のマッコーリー島でも繁殖しているが、南極大陸では繁殖していない。 また、繁殖期以外は繁殖地周辺の外洋で群れをつくって生活している。 オウサマペンギンの大きさ・形態 オオサマペンギンはペンギンの中では大型で、70~100cm程の体長があり、フンボルトペンギンなどに比べると、かなり大きな体をしている。 平均した体重は11~13kg程だが、換羽などの時期により、9~18kg程の幅がある。 雄の方が少し体が大きいが、雌雄ともに同色で、ほかのペンギン類と同様、腹部やフリッパー(ひれ状になった翼)の内側は白色だが、頭部とフリッパーの外側や尾は黒く、背側は首から尾までは灰色や青みがかった銀灰色のような色をしている。 また、オウサマペンギンは嘴が長く、下嘴の左右両側や耳の周辺、喉のあたりは鮮やかなオレンジ色をしていて、離れていてもよく目立つ。 この両側の耳の辺りにあるオレンジ色の斑は、勾玉形の細い帯となって首から胸まで続き、胸の下部へ向かうほどオレンジ色が薄くなって、黄色へとかわっている。 一見してコウテイペンギンに似ているが、オウサマペンギンはやや小型で、頭部から喉にかけてのオレンジ色が強く、体に対する嘴やフリッパーの比率が大きいことが特徴になっている。 オウサマペンギンの生態・生活 オウサマペンギンは、繁殖期以外は繁殖地周辺の外洋で群れをつくって生活しているが、時にアルゼンチン南部やブラジル、南アフリカ共和国やオーストラリアのタスマニア島、ニュージーランドなどでも迷鳥として見られることがある。 ハダカイワシなどの魚類やイカ、オキアミなどを食べるが、餌の80パーセントは魚で、オウサマペンギンは様々な魚類を食べている。 採餌は一定深度のところで行われる傾向があり、ある程度同じ水深で餌を探すと言われている。 他のペンギン類と同様、陸上での動きはぎこちなく、氷上では足とフリッパーを使って腹ばいになって滑るように移動している。 しかし、水の中では敏捷に泳ぎまわり、遊泳速度は5~11km/h程度と言われている。 潜水能力にも優れていて、潜水時間2.5~7.5分、平均5分ほどで、水深100m辺り、またそれ以上の深さまで潜水することができる。 夜間は水深30m辺りまでだが、自動潜水記録装置で、オウサマペンギンは水深340m程は潜ることが確認されている。 この記録はフォークランド諸島付近でのものだが、クロゼット諸島で記録された最大潜水時間は9分にもなることが記録されている。 外敵は南極や亜南極に分布している他のペンギン類と同様、ヒョウアザラシやオットセイ、シャチなどで、ヒナはカモメ類に襲われることもある。 また、オウサマペンギンはある程度暖かい気候にも適応できることから、国内の他、世界各地の動物園や水族館でもよく飼育されている。 オウサマペンギンの繁殖・寿命 オウサマペンギンの繁殖期は10~12月頃で、この時期には沿岸部に大きなコロニーを形成する。 繁殖地では、平坦で開けた岩場や植物がまばら生える所でよく見られ、繁殖地によっては、ジェンツーペンギンやマゼランペンギンなどと混成のコロニーをつくることある。 繁殖は一夫一婦で行われるが、オウサマペンギンは同じペアで複数回繁殖することは少ないとされている。 その理由ははっきりとは分かっていないが、ペアが同時に繁殖地に戻って来ることが少ないことも理由のひとつとして挙げられている、 雌は11~翌年1月に1個の卵を産むが、卵は緑色を帯びたような白色で、重さ300g、10×7cm程のやや楕円形をしている。 オウサマペンギンは特定の巣をつくるようなことはなく、卵は雄の足の上に移され、抱卵嚢と呼ばれる腹部の皮膚によって覆われるように抱卵される。 抱卵は一定の期間で雌雄が交代で行い、卵は54~55日ほどで孵化する。 孵化したばかりのヒナは体重430g程で、全身がこげ茶色や濃褐色の産毛に覆われている。 育児期間は長く、ヒナが独立するまでには14~16ヵ月ほどもかかる。 独立したのち、雌雄ともに3年ほどで性成熟するが、繁殖をはじめるのは、ふつう5~6歳になってからと言われている。 ところで、オウサマペンギンはヒナが独立していくまでは次の繁殖をはじめることがなく、結果として、3年に2回、或いは2年ごとの割合で繁殖することになる。 この繁殖サイクルは独特のもので、育児期間も冬を越す長期に渡っている。 また、ヒナが育ち繁殖に成功したペアは次の繁殖が遅れるが、繁殖に失敗したものは次の繁殖が早くなるので、繁殖に成功する確率が高くなるとされているが、遅く産まれた卵は一般的に育たないとも言われている。 この他、オウサマペンギンは寿命の長い鳥と言われていて、飼育下では26年の寿命があるが、野生下での詳しい寿命は分かっていない。 オウサマペンギンの保護状況・その他 オウサマペンギンは、19~20世紀初頭にかけては脂肪や肉、羽毛などを目的として狩猟されていたが、現在は保護されていて、個体数は安定していると考えられている。 比較的分布域が広いこともあり、現在のところ、絶滅の恐れはないとされている。 しかし、漁業や気候変動などによる餌の減少などが心配されている。 尚、オウサマペンギンには次の2亜種が認識されている。 Aptenodytes patagonicus patagonicus 南大西洋のサウスジョージア島とフォークランド諸島などで繁殖する基亜種 A. p.. halli 南インド洋のケルゲレン島やクロゼット諸島、プリンスエドワード諸島、バート島、マクドナルド諸島、プリンス・エドワード諸島のほか、南極海のマッコーリー島に分布 しかし、亜種間にははっきりとした形態的な違いが認められないことから、亜種はいないとする意見もある。 |
|
●その他のオウサマペンギンの写真ページへ ●ペンギン目の鳥へ ●このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
オウサマペンギン