ヒゲペンギンは中型のペンギンで、特徴的な両眼の後ろから喉を通る黒くて細い羽毛がよく目立つ。 昼夜共に活動し、主にオキアミを食べ、冬の間は流氷などで生活している。
ヒゲペンギンの分布域・生息環境 ヒゲペンギンは、南極半島を中心とする南極大陸沿岸域や南アメリカ南部の諸島などに分布している。 主にサウスシェトランド諸島やサウスオークニー島、サウスサンドウィッチ島などに生息していて、冬には外洋にある大きな氷山で見られることも多い。 ヒゲペンギンの大きさ・形態 ヒゲペンギンは、ペンギン類の中では中型で、アデリーペンギンやフンボルトペンギンと同じほどの大きさがある。 体長は68~76cm程度、体重は3.2~5.3kg程だが、体重は季節によって変化があり、繁殖前の雄では体重7kg程のものも見られる。 体は雄の方が大きいが、羽毛の色は雌雄同色で、他のペンギン類と同様、腹側は白く、頭頂から背にかけては黒い色をしている。 しかし、黒色の頭頂から眼の下や嘴の下を通る黒くて細い羽毛が見られ、これがヒゲペンギンの特徴になっている。 この黒い羽毛は離れていてもよく目立ち、これが「ヒゲ」に見えることから名前が付けられている。 英名の「Chinstrap (あごひも)」は、頭部がヘルメットをかぶっているように見え、黒い羽毛が顎紐に見えることから名付けられている。 また、短い嘴は黒く、目は赤褐色で、足はピンク色をしている。 足裏は黒く、尾は長くてよく目立つが、上面は黒く、下面は白い色をしていて、ひれ状の翼も上面は黒く、下面は白い色をしている。 ヒゲペンギンの生態・生活 ヒゲペンギンは10~11月にかけてコロニーを形成し、 翌年の2~3月までに繁殖サイクルを終え、冬の間は流氷に戻って生活している。 昼夜共に活動し、多くの時間を採餌に費やしているが、ヒゲペンギンは深夜と正午近くに活発に活動すると言われている。 ふつうは水深40mまでで餌を探すが、より深くも具もこともある。 潜水深度は夜間よりも昼間の方が深いが、ヒゲペンギンはほかのペンギンよりも夜間視力が優れていて、他のペンギンが深く潜らない夜間でも深く潜ることができ、採餌では優位にあるとされている。 オキアミや魚類、甲殻類、イカなどの軟体動物を食べるが、餌の95%はオキアミが占めている。 また、沿岸で餌をとると言われているが、採餌は沖合で行われることも多く、しばしば岸から80km程も離れたところで採餌することもある。 主な外敵はヒョウアザラシで、水中や水際でも狙われるが、卵やヒナはトウゾクカモメなどにも襲われる。 この他、鳴き声は大きく、ペンギンの中では気性が荒いと言われていて、繁殖地が重なる他の種のペンギンを押しのけたりすることもある。 ヒゲペンギンの繁殖・寿命 繁殖はコロニーを形成して、ジェンツーペンギンなどと同じように夏に行われる。 氷や雪のほとんどないような岩場に営巣し、石を用いてほぼ円形の巣がつくられる。 平均した巣の大きさは、直径40cm、高さ15cm程で、かなり大きい。 雌はふつう重さ95~120g程の卵を2個産むが、時に1~3個を産卵する。 卵は雌雄によって抱卵されるが、雌雄は5~10日、平均1週間ごとに抱卵を交代する。 卵は35日前後で孵化し、ヒナは20~30日程の間は巣に留まっている。 その後、「クレッシュ」と呼ばれるヒナだけの群れをつくり、50~60日程で亜成体の羽毛へ換羽する。 その後、海へ出ていき自ら採餌するようになり、3歳頃には繁殖できるようになる。 詳しい寿命は分からないが、野生下では16~20年程度と考えられている。 ヒゲペンギンの保護状況・その他 ヒゲペンギンは個体数が多く、サウスサンドウィッチ諸島のひとつのコロニーには、1,000万羽以上のヒゲペンギンが生息しているとも言われている。 全体的にも生息数は安定していて、特に絶滅の恐れはないとされていないが、漁業や気候変動により、餌となるオキアミの減少が心配されていて、それに伴う生息数の減少が心配されている。 |
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