ベニヘラサギは北アメリカ南部から南アメリカに分布しているトキ科の鳥で、ヘラ状の嘴が特徴になっている。 雌雄ともに羽毛は紅色やピンク色をしていて、別名・モモイロヘラサギと呼ばれることもある。
分布域・生息環境 ベニヘラサギは、アメリカ南部を含むメキシコ湾の沿岸全域から中央アメリカを経て南アメリカまで広く分布している。 主に湖沼や湿地、河口などに生息していて、西インド諸島でも見られる。 大きさ・形態 ベニヘラサギは全長70~83cm程で、国内でよく見られるダイサギよりは少し小さい。 名前のように、ヘラ状になった嘴と紅色の羽毛が特徴で、この二つの点で離れていてもよく分かる。 雌雄ともに同色の鳥で、全体に紅色やピンク色をしているが、頭部は裸出していて緑がかった色をしている。 但し、若いものの頭部には白い羽毛があり、成鳥するに従って頭部が裸出し、青や緑色がかってくる。 また、首や胸は白いが、繁殖期にはピンクの房状になった飾り毛が現れる。 嘴は黄色がかった灰色で、脚は赤っぽい色をしている。 ところで、ベニヘラサギは別名・モモイロヘラサギと呼ばれることもあるが、羽毛の紅色はベニイロフラミンゴなどと同じで、餌となる甲殻類などによるものとされている。 その為、羽毛の色には差違があり、年齢や時期、生息環境などによって変化がある。 生態・生活 ベニヘラサギは湖沼や河口、湿地などに生息していて、群れをつくって生活している。 早朝や夕方には活発に活動し、採餌が行われる。 採餌する時には単独や分散したりして行われ、主に小型の魚類や甲殻類などを食べる。 水生昆虫類や種子なども食べるが、採餌は水深の浅い場所で行われる。 嘴を水の中に入れてゆっくりと歩きながら、ヘラ状の嘴を左右に振り、嘴に触れた魚などをとらえる。 また、アメリカに分布しているものは、冬には多くのものが中南米に移動するが、ベニヘラサギは、サギ類とは異なり、首を伸ばしたまま飛行する。 外敵はヒメコンドルなどの猛禽類やアライグマ、コヨーテなどで、主に卵やヒナが狙われる。 繁殖・寿命 繁殖期は3~6月頃で、この時期には大きなコロニーが形成され、しばしばアメリカトキコウや他のサギ類との混成になる。 繁殖は一夫一婦で行われ、雄は巣材などを雌に贈って求愛する。 巣はマングローブや水面に張り出した低木などの樹上につくられる。 巣は小枝などを用いた深い皿状で、雌は2~5個の卵を産む。 抱卵は雌雄が行い、卵は24日前後で孵化する。 育児も雌雄で行われ、ヒナは35~40日ほどで巣を離れるようになり、2ヵ月を過ぎるころには飛べるようになる。 雌雄ともに3年ほどで性成熟し、飼育下での寿命は15年程度言われている。 一方、野生下での寿命は10年程度と考えられているが、足環による観察では18年のものが記録されている。 保護状況・その他 ベニヘラサギは、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 しかし、1800年代には羽毛などを目的とした乱獲が行われ、北アメリカの個体数は絶滅寸前まで減少した時期があった。 美しい羽毛は女性の帽子の飾りなどによく使われ、多くの個体が狩猟されていたが、その後の保護政策などにより、個体数は徐々に回復している。 だが、現在も北アメリカでの生息地は限られていて、フロリダ州などでは懸念種に指定されている。 南アメリカなどでも密猟や開発による生息地の減少などが心配されていて、今後の動向に注意が払われている。 尚、ベニヘラサギは名前に「サギ」と付いているが、サギ科ではなく、トキ科に属していて、亜種は認識されていない。 また、トキ科も、以前はコウノトリ目に属していたが、現在はペリカン目に分類されている。 |
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ベニヘラサギ