ミナミジサイチョウ

ミナミジサイチョウ さんのプロフィール


鳥類図鑑・ミナミジサイチョウ

ミナミジサイチョウ

サイチョウ目・ジサイチョウ科
学 名 Bucorvus leadbeateri
英 名 Southern ground-hornbill
分布域 サハラ砂漠より南のアフリカ大陸
生息環境 森林地帯やサバンナ地帯など
全 長 90~130cm 程度
翼開長 120~180cm 程度
体 重 雄で4.2kg 程度、雌で3.3kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種(VU)

ミナミジサイチョウはサイチョウ目の中でも最大種のひとつで、アフリカ大陸に分布している。
全体に黒い色をしているが、大きな紅色の喉袋があり、よく目立つ。

ミナミジサイチョウの分布域・生息環境

ミナミジサイチョウはサハラ砂漠より南のアフリカ大陸に分布している。
北はコンゴ民主共和国南部からウガンダを経てケニアの南部、南はナミビア北部からジンバブエなどを経てモザンビークまで、アフリカ大陸の東西に延びるように分布していて、南アフリカ北部でも観察例が報告されている。
分布域では一年を通して生息している留鳥で、森林地帯やサバンナなどで見られる。

ミナミジサイチョウの大きさ・形態

ミナミジサイチョウはサイチョウ目の中でも最大の鳥のひとつで、翼を広げると1.2~1.8m程の大きさがある。
国内で見られるアオサギなどよりも大きく、東南アジアなどに分布しているオオサイチョウと同じほどの大きさがあるが、平均した体重はミナミジサイチョウの方が重い。
体は雄の方が大きいが、雌でも平均体重は3.3kgほどはあり、大きい雄だと6kgほどの重さがある。

全体に黒色の鳥だが、目の周りと喉が紅色でよく目立つ。
大きな喉袋があり、これを膨らませて縄張りの主張や警戒音など、大きな鳴き声を上げる。
また、やや湾曲している嘴は黒く、付け根の上部には突起が見られる。

ミナミジサイチョウの生態・生活

分布域では留鳥で、森林地帯やサバンナなどに一年を通して生息している。
アフリカ東部の高地では、標高3000m辺りまで見られることもあり、雌雄とその子どもたちからなる5~10羽ほどの群れで生活している。

主に地上で活動し、採餌も地上で行われ、ウサギネズミなどの小型の哺乳類やカエルなどの両生類、トカゲなどの爬虫類を食べる。
また、主な食料は昆虫類と言われていて、季節に応じて様々なものを食べている。

ミナミジサイチョウは頂点捕食者であるため外敵はほとんどいないが、危険が迫ると大きな鳴き声を上げて警戒するが、この声は3km離れていても聞こえると言われている。

地上で生活していることから、時にヒョウワニなどに狙われることがあるが、多くは幼鳥が襲われる。

ミナミジサイチョウの繁殖・寿命

繁殖期は9~12月頃に見られるが、交配は一夫一婦で行われ、群れの中の最も大きなものだけがペアを形成するとされている。

巣は高い古木の洞や、崖の岩穴などにつくられ、雌は73×56mm程の白い卵を1~3個ほど産むが、卵は3~7日程の間隔で産卵される。

卵は37~45日ほどで孵化するが、最初に孵化したものの方が給餌を受ける機会が多く、ふつうは1羽だけが巣立ちするまで生き残ることができると言われている。

また、ヒナは雌雄によって育児がなされるが、群れの中の雌雄もヒナの世話に参加し、給餌などを行う。

ヒナは3か月を迎えるころには自立しするが、その後も長期間に渡って親や仲間からの世話を受けて育っていく。
雌雄ともに4~6年、早ければ3年ほどで性成熟するが、繁殖はふつう9~10歳の頃になる。

野生下での寿命は分かっていないが、寿命は長く、飼育下では50年を超える寿命をもっていると言われていて、70年近く生きるとも言われている。
このような長い寿命を保つことができるのは、幼鳥から完全に成長するまでの親や仲間からの給餌などの世話が手厚い行われているからだと考えられている。

また、ミナミジサイチョウは毎年繁殖するとは確認されていないが、これも育児に長い時間をかけているためだと考えられている。

ミナミジサイチョウの保護状況・その他

ミナミジサイチョウは広範囲に分布しているが、生息数は減少していて、多くは国立公園や保護区の中に生息している。

主に原因は開発などによる生息地の減少だが、ミナミジサイチョウは完全に成長すると寿命は長いが、繁殖率が低く、これも生息数減少のひとつと考えられている。

現在、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(VU)にしているが、分布域の幾つかの国々でも絶滅危惧種に指定している。


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