ケナガワラルーは、名前のように、カンガルー類の中では長い毛をもっている。 草原などのほか、岩の多い丘陵地帯や険しい岩場などに生息している。 分布 ケナガワラルーはいくつかの亜種が知られていて、タスマニア島を除くオーストラリアのほぼ全域に分布している。 形態 カンガルーの仲間は、太い尾をもち、跳躍力に優れた二足歩行する有袋類としてよく知られているが、「ワラルー」とは中型のカンガルー類を指す総称で、これよりも更に小さいものを「ワラビー」と呼んでいる。 ケナガワラルーは、体長0.75~1.4m、体重18~42kg程あるが、平均した体の大きさはオオカンガルーやクロカンガルーなどよりも小さい。 体毛は粗くて、カンガルー類の中では長い毛をもっている。 体の毛のほか、尾の付け根辺りの毛もかなり長い。 毛色は砂色や明るい灰色、赤褐色や黒色など、雌雄や地域によって変化があるが、体は雄の方が雌よりもかなり大きい。 生態・生活 ケナガワラルーは草原や平原などでも見られるが、英名(Hill wallaroo)のように、多くは岩の多い丘陵地帯や険しい岩場、山岳地帯などに生息している。 小さな群れで見られることもあるが、しばしば単独で生活していて、岩場にある張り出した岩棚や洞窟などは、日中の暑さや外敵から身を守るのに役立っている。 昼間も活動するが、主に早朝や夕暮れ、夜間に活動し、主に草類や木の根、木の葉や若い木の樹皮などを食べる。 また、水分のほとんどは植物から摂っていて、2週間ほどの間は水を飲まなくても生きていけると言われている。 しかし、川などの水源から遠く離れたところでは見られない。 跳躍力には優れていて、4m程の距離を跳ねることができるほか、危険を感じると険しい岩場に逃げるが、追い詰められると後ろ足で相手を蹴って戦うこともある。 行動範囲は食糧事情などによって異なるが、40~76平方km、平均すると65平方km程度と考えられている。 コミュニケーションは互いのグルーミングなどによっても行われるが、子どもと母親との間では頻繁に行われるが、雄同士の間では、ほとんど見られない。 繁殖・寿命 決まった繁殖期は見られず、繁殖形態は一夫一婦とも一夫多妻とも言われている。 雌は妊娠期間30~38日程で、ふつうは1子を出産するが、生まれたばかりの子どもは、すぐに自分の力で育児嚢に入り込み、8~9ヶ月ほどの間はその中で授乳される。 その後は、育児嚢から出たり入ったりの生活を送り、生後14~16ヶ月ほどで完全に離乳する。 雄は18~20ヶ月、雌は20~24ヶ月程で性成熟する。 外敵は移入されたアカギツネなどで、飼育下での寿命は18~22年程だが、ケナガワラルーは、野生下でも18年以上生きることができると言われている。 保護状況・その他 ケナガワラルーは分布域が広いこともあり、現在のところ絶滅の恐れはないとされている> しかし、バロー島に分布しているものは、生息地が限られていることもあり、ウエスタンオーストラリア州では絶滅危惧種(VU)にしているが、開発などによる更なる生息地の減少などが懸念されている。 また、ケナガワラルーには、次の4亜種が知られている。
尚、ケナガワラルーは、以前はカンガルー科の Macropus属(カンガルー属)の亜属と認識されていて Macropus robustus とされていたが、現在はアカカンガルーなどと共に独立したOsphranter属に移され、Osphranter robustus とされている。 カンガルー科の動物へ / このページの先頭へ |
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ケナガワラルー