コアラ

コアラ さんのプロフィール


動物図鑑・コアラ

コアラ

カンガルー目 コアラ科
学 名 Phascolarctos cinereus
英 名 Koala
分布域 オーストラリア東部
生息環境 ユーカリ属の木のある森林など
体 長 雄で 67~85cm、雌で 65~73cm 程度
尾 長 尾はほとんどない
体 重 雄で 5~15kg、雌で4.5~11kg程度

コアラはオーストラリア東部に分布している有袋類で、雌はカンガルーなどのように育児嚢をもっている。
クイーンズランド州からビクトリア州南西部辺りにかけて分布していて、標高600m位までの森林地帯や疎林などに生息し、ユーカリ属の木が多い林を好んで生息している。
体は全体にがっしりとしていて、一見してクマの子どものようにも見えることから、別名でフクログマ、コモリグマなどと呼ばれることもある。

毛色は、背面が灰色や暗灰色などで、腹面は白っぽい。
体毛は羊毛状で密生していて、四肢の先まで毛で覆われている。

耳は大きく、全体に厚く毛が生えているが、口先には毛が生えていない。
また、尾はほとんどなく、外から見えることはない。

四肢には5本の指があり、前肢の第1指と第2指はほかの指と向かい合っていて、物をつかむことができる。
後肢の第2、第3指は癒合しているが、第1指とほかの指は向かい合っていて、前肢のように木の枝などをつかむことができる。

また、体は雄の方が雌よりも大きく、分布域によっても体の大きさに違いが見られる。
雌雄共に南部に分布しているものは北部の固体よりも体が大きく、体毛も長くてフサフサとしている。

コアラは地面に降りることは稀で、ほとんど樹上生活している。
地上での動きはゆっくりとしているが、樹上では前肢の鋭くて丈夫な爪を使って、巧みに移動する。
体に似合わず、樹上での跳躍もなかなかのもので、コアラは数m程度なら離れた樹間を跳び移ることが出来る。

主として夜行性の動物で、日中はほとんど木の上で眠っているか休んでいる。
早朝や夕方には活発に行動するが、1日のうち18時間ほども眠っていると言われている。
また、コアラは樹洞を利用したような決まった巣をつくらず、眠るときなども木の股などに挟まったようにして休む習性がある。

食性は葉食性だが、ほとんどユーカリ属の葉だけを食べるという、特殊な食性をもっている。
ユーカリの葉にはタンニンや油分が含まれていて消化が悪く、ふつうは動物の餌として適さないが、コアラの盲腸は哺乳類の中でもっとも長く2m程もあり、これによって消化を助けている。
しかし、全てのユーカリ属の葉を食べるわけではなく、数種類を選んで菜食している。

繁殖期などは雌雄のつがいや雌と子どもなどで生活しているが、普段は単独で生活し、群れをつくるようなことはない。
平均した行動範囲は雄で0.15~0.3k㎡、雌で005~0.1k㎡程度と、雄の方が広い行動範囲をもっている。
また、成獣の雄の雄の行動範囲は、いくつかの雌の行動範囲を含んでいるほか、雄の胸には胸腺があり、ここから発する臭いや尿などで縄張りを主張する。

繁殖期は10~2月頃で、地域によって違いがある。
一夫多妻で、この時期の雄は小さなハーレムをつくる。
妊娠期間は25~35日程で、普通は1産1子を出産するが、稀に2子を出産することもある。

生まれたばかりの子どもの体重は0.5g未満と小さく、体長も2cm程しかない。
体は全体にピンク色をしていて、毛は生えていない。
目は閉じていて、生後22週前後で目が開くようになる。

雌の育児嚢はウォンバットタスマニアデビルなどのように後方に開口していて、子どもは5~7ヵ月程の間は育児嚢の中で育てられるが、5ヵ月頃には育児濃から這い出てきて、出たり入ったりの生活を過ごしている。

この時期には「パップ」と呼ばれる離乳食を食べるようになるが、これは母親が食べたユーカリ属の半消化状態のもので、子どもは母親の肛門からこれを摂取する。
子どもはこの離乳食によってユーカリ属の植物を消化するための微生物を得ると考えられていて、成長すると親と同じユーカリ属の葉を食べるとされている。

8~9ヵ月頃になると育児嚢に入ることはなくなり、しばらくは母親の背中に乗って生活する。
およそ1年程で完全に離乳し、雄は独立して離れていくが、雌はその後の数ヵ月程は親の近くに留まっている。
雌雄共に2年程で性成熟するが、雄はふつう体が大きくなる4年目頃には自分の縄張りをもつようになり、この頃に最初の交尾を行う。

性質はおとなしく、寿命は野生下で12~13年程と考えられているが、飼育下では15年程と少し長く、中には20年を超える記録が知られている。
樹上生活をしている為、外敵は肉食の哺乳類などよりも、大型の猛禽類などに襲われることが多い。

コアラは、かつて肉や毛皮をとることを目的として多数が捕獲され、森林破壊などの生息地の減少も相まって非常に個体数が減少し、一部地域のものは絶滅が危惧された時期もあった。
現在では保護政策によって絶滅の恐れは少なくなっていて、一部地域のものは保護政策前よりも生息数が増加している。

このほか、コアラは体色や大きさ、頭蓋骨の形状などによって
Phascolarctos cinereus cinereus
ニューサウスウェールズ州に分布
P. c. adustus (Queensland koala)
クイーンズランド州に分布
P. c. victor (Victorian koala)
ビクトリア州に分布
の3亜種に別けられていたが、遺伝子レベルの差異は少なく、亜種は疑問視されている。

尚、コアラは以前フクロギツネなどと同じクスクス科に分類されていたが、現在では本種だけで独立したコアラ科をつくっている。


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