フクロギツネは三角形の大きな耳をしており、一見してキツネに似た感じがすることからその名前がつけられているが、カンガルーやコアラなどと同じように雌は育児嚢をもっていて、有袋類に属している。 オーストラリアとタスマニア島、周辺の島々などに広く分布しているが、オーストラリアでは北部と東部を中心にして、もっともよく見られる有袋類として知られている。 いくつかの亜種が知られているが、体毛は厚くて密生している。 毛色は灰色や褐色、黒色、クリーム色など変化があり、タスマニア島のものは黒色や灰色になる傾向があり、オーストラリア本土のものよりも体が大きくなる傾向がある。 クイーンズランド州など北部のものは赤味が強く、他の地域のものよりは体が小さい。 しかし、いずれも腹面は淡く、鼻先はピンク色をしているほか、体は雄の方が少し大きく、雄の肩の毛は赤褐色になるものが多い。 尾も毛が密生していて太く、普通は黒色、或いは濃い褐色をしている。 尾の先の腹面には毛がなく、樹木の枝など、ものに巻きつけやすくなっている。 指は5本あり、前肢の爪は鋭く、後肢の第2、第3指は癒合しているが、2本の爪がある。 また、胸部には臭線の集合部があり、雄ではよく発達していて、その周辺は分泌物によって赤っぽくなっている。 主に森林地帯や平原などに生息しているが、環境への適応範囲が広く、熱帯雨林や乾燥したユーカリ林、岩のある半乾燥地帯、マングローブ林など、さまざまな場所で見られる。 また、フクロギツネは公園や市街地などでも見られ、時には住宅の軒などにも棲んでいることがあり、糞尿で家屋を汚したりすることがあるため害獣扱いされることもある。 夜行性の動物で、特定の巣などはつくらず、昼間は樹洞や洞窟などに潜んでいる。 日が暮れると活動をはじめ、暗闇でも活発に動きまわる。 主に木の葉や木の芽、木の実、果実や花などの植物質を食べるが、昆虫類や小鳥、その卵なども食べるほか、ネズミなどの小動物を食べることも知られている。 また、移動するときなどは地上に降りるが、多くの時間を樹の上で過ごしている。 普段は単独で生活し、縄張りは胸の臭線や肛門腺などによってマーキングすることによって主張されるが、行動範囲は互いに重なっていることが多い。 繁殖期は地域によって差があり、オーストラリアの北部では決まった繁殖期は見られないが、ほかの地域では春と秋に多く見られる。 また、出産は通常年に1度だが、一部の地域では年に2回出産する可能性があると考えられている。 妊娠期間は16~18日程で、普通は1産1子、稀に2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重はわずか2g程度で、体長は1.5cm程しかない。 子どもは4~5ヵ月頃には育児嚢から這い出してきて、その後2~3ヵ月程での間は、親の背中に乗って育てられる。 6ヵ月程の離乳期間があり、雄は2年、雌は1年程で性成熟する。 外敵はイヌやキツネなどで、子どもはオオトカゲなどに襲われることもある。 飼育下での寿命は14年を超えたものも知られているが、野生での寿命は平均で6~7年、長くても11~12年程と考えられている。 尚、オーストラリアではかつて毛皮を目的した狩猟の対象になっていたが、現在は保護動物になっている。 一方、フクロギツネはニュージーランドにも毛皮や肉を目的としてオーストラリアから導入いるが、逃げ出したものが野生化し、農作物への被害を与えることから駆除対象動物になっている。 また、国内でもペットとして飼育されていたものが逃げ出していることから、在来の植物や鳥、昆虫類への影響が懸念されているほか、フクロギツネは牛結核や線虫を伝搬するので、他の在来哺乳類にも感染する可能性があり特定外来生物に指定されている。 クスクス科の動物へ / このページの先頭へ |
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フクロギツネ