フサオネズミカンガルーはオーストラリアのウエスタン・オーストラリア州南西部に分布している有袋類で、一見すると大きなネズミのような感じもするが、雌はカンガルーやコアラなどのように育児嚢をもっている。 ワラビー類よりも体は小さく、体つきも随分と違っていて、体色は黄色を帯びたような灰色をしている。 また、足の先には毛がなく、淡い褐色をしている。 前足には5本の指があるが極めて小さく、後足の第1指は退化している。 尾は長く、半ばから先は黒色で、下面は淡褐色をしている。 カンガルーと名前についているが大きく飛び跳ねるようなことはなく、小さな後肢でピョンピョンとホップするように移動する。 普段は単独で生活し、草原や低木林、荒野、森林地帯などに生息しているが、夜行性の動物で、昼間の間は巣穴の中で休んでいる。 巣は草むらや藪の中に浅いくぼみを掘り、草や木の枝、樹皮などを使ってドーム状のものをつくるが、材料は長い尾で巻き上げて運んでくる。 行動範囲は0.2~0.4k㎡程と言われているが、互いの行動範囲は重なっていることもある。 食性は地下の菌類を主に食べるが、鋭い嗅覚で探し出し、前肢の丈夫な爪で掘り起こして食べる。 胃は豊富な細菌をもつ特別なもので、胞子は消化されず、糞と一緒に排出される。 これは一種の互恵的な関係で、糞と一緒に胞子が分散されることによって、森林は豊かになっていると考えられている。 また、菌類のほか植物の球根や種子、豆類や果実などの植物質を食べるが、水はほとんど飲むことがない。 決まった繁殖期は見られず、食糧事情などがよければ1年を通して繁殖する。 妊娠期間は平均18日程で、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は僅か0.3g程だが、5ヵ月程で離乳し、雌は半年程で性成熟するされている。 野生での寿命は4~6年程度言われているが、飼育下では18年を超えたものが記録されていると言われている。 フサオネズミカンガルーはかつてオーストラリア西部を中心に幅広く分布していたが、近年の農業用地の拡大や家畜の放牧などによって、生息数は激減している。 現在はウエスタン・オーストラリア州南西部の限られた地域にしか見られず、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種(CR)として指定されているが、更なる保護も求められている。 ネズミカンガルー科の動物へ / このページの先頭へ |
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フサオネズミカンガルー