シマリスの仲間は北アジアや北アメリカなどに広く分布していて、チビシマリス(Tamias minimus)、アカシマリス(Tamias rufus)、ミミナガシマリス(Tamias
quadrimaculatus)など、およそ25種程が知られている。 広義の意味では、これらリス科のシマリス属の総称として用いられているが、国内では、一般に北アジアに分布している本種(シベリアシマリス)を指して使われている。 シベリアシマリスは朝鮮半島から中国東北部、モンゴル北部などのほか、ロシア極東地域からカザフスタン辺りにかけて広範囲に分布していて、国内には亜種であるエゾシマリス(T. s. lineatus)が北海道に分布している。 この為、国内では、エゾシマリスを指してシマリスと呼ぶようなことも多い。 シマリスの多くはリスの仲間の中では小型で、シベリアシマリスも体長は12~17cm程度しかない。 これは北アメリカに分布しているトウブハイイロリスなどに比べるとおよそ半分ほどの大きさで、アメリカアカリスに比べても少し小さい。 耳は小さく、腹面は白色で、背の部分は茶色や黄白色、黄灰色などをしている。 背中には黒色や黒褐色の5本の縦縞と、それらに挟まれた4本の白っぽい縞が見られるのが特徴で、名前の由来にもなっている。 また、シマリスには夏毛と冬毛があり、夏毛のほうが明るい色をしている。 シマリスは昼間に行動し、果実や木の実、種子、草類などを食べるが、雑食性の動物で、昆虫やトカゲ、小鳥や鳥の卵なども食べる。 平野部から山地の森林などに生息しているが、森林周辺の開けた土地や荒地、時には市街地の公園などにも生息していて、様々な環境に適応している。 半樹上性で、木登りは大変うまく、飛び跳ねるようにして枝から枝へと敏捷に動きまわる。 地上でも同様で、かなりすばしっこく、追いかけることは容易ではなく、まず捕まえることはできない。 普段は巣穴の周りを中心にして単独で生活してて、巣穴は樹洞を利用してつくることもあるが、ふつうは地面に穴を掘ってつくる。 四肢は短く、穴を掘るのに適していて、巣穴の長さは2mを越えるが、4m近くになるものも多く見られ、中には9m程の長さがある巣穴もある。 巣穴は平均すると30平方メートル程度をカバーしていて、中には寝室と食物の貯蔵室などがつくられている。 シマリスは、秋には木の実や種子などを大量に巣穴の中に運び込み、冬には巣穴の中で冬眠する。 しかし、春まで完全に眠っているわけではなく、しばしば目覚めて、巣穴に蓄えた食物を食べ、春が訪れるまでは巣の中で生活している。 そのため、巣の中は清潔に保たれ、食べかすや糞などの廃棄用のトンネルもつくられている。 外敵はワシなどの猛禽類やイタチなどで、危険が迫ると素早く巣穴の中に逃げ込んで身を隠す。 繁殖期は4~6月頃に見られるが、シマリスは一夫一婦や一夫多妻などの決まった繁殖形態をもっていない。 雌は妊娠期間は28~35日程で、1産3~8子、平均すると4~5子を出産するが、生息地域によっては年に2回繁殖すると言われている。 生まれたばかりの子どもの体重は4g程で、目は閉じている。 生後20~25日程で目が開き、7週間ほどで完全に離乳したのち独立していく。 雌雄共に9ヵ月程で性成熟し、野生での寿命は2~5年、飼育下では7~8年から長くて10年程度と言われている。 尚、北海道にはエゾシマリスのほかエゾリス(Sciurus vulgaris orientis) が生息し、本州にはニホンリス(ホンドリス/Sciurus lis) が生息している。 しかし、近年では大陸に分布しているチョウセンシマリス(T. s. barberi/同じく本種の亜種)などがペットなどの目的で持ち込まれ、これが遺棄されたり逃げ出したりしたものが、本州や北海道の一部で野生化している。 この為、固有のエゾシマリスと交雑する恐れや在来のリスを圧迫する懸念が指摘されているほか、シベリアシマリスはヨーロッパでもドイツからフランス辺りにかけて、逃げ出したものなどが野生化している。 リス科の動物へ / このページの先頭へ |
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シマリス (シベリアシマリス)