二ホンリス

二ホンリスさんのプロフィール


動物図鑑・二ホンリス

二ホンリス

齧歯目・リス科
学 名 Sciurus lis
英 名 Japanese Squirrel
分布域 本州、四国、九州
生息環境 主に森林地帯
体 長 16~23cm 程度
尾 長 13~17cm 程度
体 重 250~350g 程度

ニホンリスは別名・ホンドリスとも呼ばれていて、日本の固有種とされている。

シカサルタヌキイノシシなどと共に馴染みのある動物だが、体が小さくて動きも素早いことから、姿をとらえるのは案外と難しい。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


二ホンリスの分布域・生息環境
二ホンリスは、名前のように国内に分布していて、本州から四国、九州などに生息している。
低地から山地にかけての森林内に生息しているが、近年は九州や中国地方の個体数はかなり少ないと考えられている。


二ホンリスの大きさ・形態
二ホンリスは平均した体長が16~23cm程度で、北海道に分布するエゾリスに比べるとやや小さい。
前足に4本、後ろ足には5本の指があり、指は長くて鋭い鈎爪をもっている。

尾も長いが、鋭い爪や長い尾は樹上生活をするのに適していて、木の上では長い尾を使ってうまくバランスを取っている。

毛色は夏毛と冬毛の色が違っていて、夏は茶色や赤褐色で、冬は褐色や灰褐色のような色になり、全体に淡くなる。
また、いずれの時期も腹面は喉から下が白色で、耳が大きく、冬毛では耳の先に房毛が見られる。

一見するとタイワンリス(Callosciurus erythraeus thaiwanensis)とよく似ているが、タイワンリスの腹側はベージュや黄土色のような色をしているので、腹側の白い二ホンリスと見分けることができる。


二ホンリスの生態・生活

二ホンリスは平地から亜高山帯までの森林地帯に生息していて、標高2000m辺りにも姿を見せる。
里山近くなどにも生息しているが、比較的低地の松林などに多く見られ、普段は単独で生活している。

樹上性のリスの仲間で、動きはかなり敏捷で、木の上でもすばやく移動する。
体が小さいうえに警戒心が強く、見つけることが難しいが、山道などで見かけてもすぐに姿を見失ってしまう。

昼間に活動し、特に早朝と夕方には活発に活動する。
若葉や木の実、芽、果実、きのこ類などの植物質を主に食べるが、ドングリや松の種子を好むと言われている。
採食する時は前足をうまく使って食べているが、ニホンリスは雑食性で、昆虫や小鳥の卵なども食べる。

巣は小枝や樹皮、苔などを使って樹上の枝の間に丸い巣をつくるが、樹洞を利用してつくることもある。

二ホンリスは行動範囲の中に幾つかの巣をつくるとも言われているが、行動範囲は巣を中心として行われ、雄で0.056~0.4平方km、雌では0.043~0.13平方km程度と考えられている。

雄の行動範囲の中には、幾つかの雌の行動範囲が含まれていて、行動範囲には尿などで臭い付けをして縄張りが主張されている。
また、行動範囲は食糧事情などによって変化し、森林が分断されているようなところでは、その範囲はかなり広くなるとも考えられている。

ニホンリスは冬でも冬眠することはなく、一年を通して活動している。
冬に備えて、秋には多くの食べ物を採餌して体重も増えるが、秋にはドングリなどの木の実を地中に埋めて蓄える習性がある。

冬には蓄えたものを取り出して食べたりするが、そのままになっているものもあり、これらは森林の再生や拡大に役立っていて、二ホンリスは種子の散布に大切な役割を果たしているとも言われている。

外敵にはテンキツネ、猛禽類などがいるが、危険が迫ると鋭い警戒音を発し、毛をふるわせる。
しかし、これらの脅威よりも、二ホンリスにとっては近年の開発による生息地の減少の方が脅威となっている。

また、外来種であるタイワンリスなども移入されていることから、これに圧迫されての生息数の減少や交雑なども心配されている。


二ホンリスの繁殖・寿命

二ホンリスの繁殖期は2~3月と5~6月頃に見られ、年に1回か2回繁殖する。

一夫多妻で繁殖し、巣は樹上に球形のものがつくられる。
巣は直径30~40cm程で、中には草や細根、獣毛などの柔らかい素材が敷かれている。

雌の妊娠期間は40日程で、1産2~7子、多くは3~4子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は6~8g、体長は5cm程で、目は閉じていて、毛も生えていない。

育児は雌によって行われ、子どもは生後ひと月ほどで目が開き、この頃には毛も生えそろっている。
その後、子どもは巣穴から顔を出すようになり、2~3ヵ月ほどで離乳し、雌雄ともに1年ほどで性成熟する。

野生での寿命は3~5年程度、飼育下で5~7年程度と考えられているが、近縁のキタリス(ユーラシアキタリス・Sciurus vulgaris)は野生下で12年、飼育下では14年以上の寿命をもつことが知られているので、二ホンリスも、考えられているよりもやや長い寿命をもっているのかもしれない。


二ホンリスの保護状況・その他

二ホンリスは、かつては毛皮や食用として狩猟されていたが、現在は狩猟の対象からは外されていて、これによる個体数への影響は心配されていない。

しかし、近年の開発などによる生息地の減少に伴い、個体数は減少傾向にある。
かつては馴染みの深い動物であったニホンリスも、地域によっては保護を要する動物となってしまっている。

特に、九州地方のものは、環境省の「絶滅のおそれのある地域個体群」としてレッドリストに掲載されているが、既に絶滅しているとも考えられている。
中国地方や四国地方でも生息数が減少していて、中国地方でも多くの地域で見られなくなってしまっている。

いずれにせよ、二ホンリスは減少傾向にあり、森林などの環境保全が求められている。

尚、ニホンリスは日本の固有種とされているが、以前はエゾリスと同じキタリス(ユーラシアキタリス・Scriurus vulgaris)の亜種・S. v. lis とされていたほか、国内には本種とエゾリスのほか、エゾシマリス(Tamias sibiricus lineatus)が生息している。

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