タイワンリスはニホンリス(ホンドリス)によく似ているが、腹側は灰褐色のような色をしていて、二ホンリスのように白くはない。 台湾では低地から山地にかけて生息しているが、国内の多くの地域に移入定着していて、特定外来生物として指定されている。
タイワンリスの分布域・生息環境 タイワンリスはインド東部から中国や台湾、インドシナやマレー半島にかけて広く分布しているクリハラリスの亜種で、台湾の固有亜種とされている。 台湾の低地から山地にかけて生息していて、主に常緑広葉樹林で見られる。 タイワンリスの大きさ・形態 体毛は短く、毛色は背面が灰褐色のような色合いで、黒と黄土色の霜降りになっている。 腹部は、名前のように赤褐色(栗色)や灰褐色をてしいるが、毛色には地理的変異が見られる。 尾は体長と同じくらい長くてフサフサトしているほか、目は大きくて視力に優れ、視角も広い。 一見すると二ホンリスによく似ているが、タイワンリスの腹部は灰褐色や栗色のような色をしていて、ニホンリスのように白くないので見分けることができる。 また、ニホンリスでは冬毛になると耳先に毛が生え、先端が尖ったように見えるが、タイワンリスの耳は短くて丸い。 しかし、ニホンリスよりも体は大きく、大きいものでは全長40cmを超え、体重は500g近くに成長するほか、ニホンリスよりも鳴き声をよくあげると言われている。 タイワンリスの生態・生活 タイワンリスは台湾の低地から山地にかけての常緑広葉樹林に生息しているが、造営林や市街地の緑地などでも見かけられる。 主に樹上で生活しているが、しばしば地上でも活動する。 樹上での動きは素早いが、跳躍力にも優れ、樹間や枝の間を1m近く跳ぶこともできるほか、四肢の爪は鋭く、頭を下にして木から垂直に降りることもできる。 普段は単独で生活しているが、若い者などは小さな群れで見られることもある。 昼間に活動するが、朝夕には特に活発に動きまわり、木の葉や種子、花やドングリなどの木の実、果実などの植物質の他、昆虫やカタツムリ、鳥の卵なども食べる。 また、気温が下がる冬季でも冬眠することはなく、樹皮を剥いで樹液を舐めたりするなど、タイワンリスは季節に合わせて様々なものを食べている。 食べ物は両手を使って口に運ぶが、穀類も好んで食べることから、農作物に被害を与えることもある。 行動範囲は生息環境などによって異なるが、雌で0.5~0.8ha、雄で1.3~3.8ha程度と言われていて、雄の行動範囲は重複するが、雌同士の行動範囲が重複することは少ないとされている。 また、雌雄の行動範囲は互いに重なっていて、狭い生息域の中に互いの行動範囲が重なっていて、タイワンリスの生息密度は高いとされている。 タイワンリスの繁殖・寿命 繁殖期は春や秋に多く見られるが、タイワンリスは1年を通して繁殖が可能で、年3回の繁殖をすることもある。 巣は樹皮や細い枝などを利用して樹木の枝の間に丸い巣をつくるが、樹洞や人家の屋根裏などにも巣をつくることがある。 繁殖形態は決まっておらず、雌雄共に複数の相手と交尾し、雌の妊娠期間は47~49日程で、1産1~4子、普通は2子を出産する。 育児は雌によって行われ、子どもは40~50日程で巣から離れるようになる。 雌雄共に1年程で性成熟し、野生での寿命は4~5年程度だが、飼育下での寿命は長く、16年を超えたものが知られている。 外敵はワシなどの猛禽類やヘビなどで、危険を感じると鋭い警戒音を出し、仲間に知らせる。 タイワンリスの保護状況・その他 タイワンリスを含むクリハラリスは分布域が広く、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 また、国内では、1935年頃以降に、動物園やペットとして飼育されていたものが逃げ出したり、観光用に放たれたりして、国内の多くの地域に移入定着している。 しかし、タイワンリスは在来のニホンリスを圧迫している他、鳥の卵を食べることから、メジロやコゲラ、シジュウカラなどの野鳥の脅威になっている。 食性も広いことから農作物に被害を与えたり、人家に侵入して電線や電話線を齧ったり、屋根裏に営巣して木材を齧るなどの被害も報告されている。 現在、タイワンリスはアライグマやキョンなどと共に特定外来生物(外来生物法)に指定されていて、自治体によっては箱ワナなどによる捕獲も行われている。 移入定着しているのには中国大陸の亜種も含まれているが、神奈川県をはじめ、東京、埼玉、静岡、岐阜、大阪、兵庫、和歌山、長崎、大分、熊本、伊豆大島、など、幅広い地域に移入定着していて、、国外ではアルゼンチンのほか、フランスやベルギー、イタリアやオランダなどにも移入定着している。 |
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