アメリカアカリスは北アメリカに広く分布しているリスの仲間で、二ホンリスと同じほどの大きさがある。 樹上性のリスで、冬でも冬眠することがなく、一年を通して活動している。
アメリカアカリスの分布域・生息環境 アメリカアカリスはアラスカの南部からカナダの大部分、アメリカ合衆国のロッキー山脈地域や北東部に広く分布している。 主に針葉樹林に生息しているが、適応力に優れ、針葉樹林があれば人の住む周辺や、都市部の公園などでも見ることができる。 アメリカアカリスの大きさ・形態 アメリカアカリスはニホンリスと同じほどの大きさで、アメリカ合衆国東部や中西部などに分布しているハイイロリスよりはずっと小さい。 体長18~25cm程度、体重は150~280g程で、他のリスと同様、長い尾をもっている。 前足に4本、後ろ足に5本の指があり、体毛は茶色や赤茶色、赤色を帯びたオリーブ色などで、冬季は明るい色になる。 胸から腹部にかけては白や淡いクリーム色で、目の周りも白く縁取られている。 また、視覚や聴覚、嗅覚はいずれも優れている。 アメリカアカリスの生態・生活 アメリカアカリスは主に針葉樹林に生息していて、群れをつくることはなく、単独で生活している。 樹上性のリスで、木に登ったりするために強い爪をもっていて、後ろ足の力も強く、跳躍力にも優れている。 また、リスの視野は大変広いが、樹上性のリスの場合、この視界の広さが樹間の移動に役立っていて、アメリカアカリスも木の間をかなり敏捷に動き回ることができる。 主に昼間に活動するが、時には夜間も活動する。 春から夏にかけては朝から昼にかけて活発に活動するが、秋には冬に備える食料の為に一日中活発に動きまわる。 主に松ぼっくりなどの木の実や種子、果実や花、芽などを食べるが、昆虫類や鳥の卵、ヒナなども食べる。 また、気温が極度に低くなると活動が鈍くなるが、アメリカアカリスは冬眠することがなく、1年を通して活動している。 その為、食べ物が少なくなる冬季に備えて、秋にはまだ緑色の松の実などを、地面を浅く掘って貯蔵する習性があることが知られている。 この時期には多くのものを食べ、体重も増える。 冬には鋭い嗅覚で蓄えた場所を探し出すが、アメリカアカリスは4m程も雪が積もった所のもの探し出すと言われている。 行動範囲は地域や食糧事情などによって変化するが、平均すると100~250m四方、広いと400m四方と言われている。 雌雄ともに1年を通して強い縄張り意識をもっていて、特に、食料を貯蔵しはじめる秋にははっきりと現れる。 外敵はフクロウやワシ、タカなどの猛禽類のほか、アカギツネやテン、オオヤマネコやボブキャット、大型のヘビなど、外敵は多い。 コヨーテやハイイロギツネ、オオカミなどにも襲われるが、危険を感じると鋭い鳴き声を上げて仲間に知らせたりするが、動きが敏捷で、高い樹木や深い森の茂みの中に素早く逃げ込んでしまうので、捕食者が多いにも関わらず、アメリカアカリスは高い生存率をもっている。 アメリカアカリスの繁殖・寿命 繁殖期は地域によって異なるが、アメリカアカリス年に1~2回繁殖する。 北部に分布しているものはふつう春に1回行われるが、南部や東部のものは春と夏の終わりに繁殖すると言われている。 地面に穴を掘ることは少なく、巣は樹洞などを利用することが多いが、適当な樹木が見つからないような時には地面を掘ってつくることもある。 巣には草や苔、細根や獣毛、羽毛などの柔らかい素材が敷かれていて、雌は妊娠期間35~37日程の後に、1産1~8子、平均すると3~4子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は7g程で、毛はほとんど生えておらず、目も開いていない。 生後ひと月ほどで目が開き、40日ほどで体毛も生えそろうようになる。 育児は雌によって行われ、生後7週間ほどで巣の外で活動するようになる。 子どもは10週ほどで離乳し、しばらく後には自立する。 独立したものは自らの縄張りをもつようになるが、母親の縄張り近くに持つことが多い。 また、母親は自分の縄張りの一部を子どもに分け与えたりすることも観察されているが、これは子どもの生存率を高めることになっている。 雌雄ともに1年ほどで性成熟し、体が小さいにもかかわらず、比較的長い寿命をもっていると言われている。 飼育下での寿命は9年の記録が報告されているが、野生下ではふつうこれよりも短くなる。 しかし、野生下での平均した寿命は5年程度と言われているが、10年のもの知られている。 また、他の多くの動物と同様、幼獣の死亡率は高く、生後1年以上の生存率は25%程度とも言われている。 アメリカアカリスの保護状況・その他 アメリカアカリスは分布域が広く、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 生息環境も保全されていて、地域によっては食用や毛皮を目的とした狩猟も行われているが、個体数は安定していると考えられている。 尚、アメリカアカリスは20を超える亜種が知られているが、アリゾナ州南東部のグラハム山に生息する亜種・T. h. grahamensisは、現在はTamiasciurus fremonti (Southwestern red squirrel・Fremont's squirrel )の亜種と考えられている。 この亜種は生息数が極めて少なく、国際自然保護連合では絶滅危惧種に指定している。 また、アメリカアカリスと名前のよく似たユーラシアアカリス(ユーラシアキタリス、キタリス / Sciurus vulgaris・Eurasian red squirrel)はユーラシア大陸に広く分布するが、アメリカアカリスとは別の種類になっている。 |
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