アルパカは南アメリカのアンデス山脈に生息しているラクダ科の家畜種で、紀元前3~4世紀頃にはすでに家畜化されていたと考えられている。 主に被毛が利用されるが、その毛は良質で、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアやニュージーランドなどにも導入されている。
アルパカの分布域・生息環境 アルパカはペルーやボリビア北部、チリ北部などに分布していて、アルゼンチン北部にも分布しているが、アルゼンチン南部などの南アメリカ南部ではほとんど見られない。 海抜3,500~5,000m程のアンデス山脈の高原地帯で放牧されていて、ペルーにはアルパカの85パーセント程が生息している。 アルパカの大きさ・特徴 アルパカの体つきはラマなどに似ているが、体はラマよりは少し小さく、耳や四肢もやや短い。 体長は1.2~2m程で、ビクーナ(ビクーニャ)よりはやや大きく、90~120cm程の肩高がある。 また、アルパカは長い毛をもっているのが特徴で、毛が密生しているので大きくて重そうに見えるが、体や首は細く、頭部も小さい。 毛色は黒色や白色、茶色や灰色などのほか、それらの毛色が混ざったものなど、多くの変化がある。 しかし、いずれも毛は柔らかく、四肢の先まで密生している。 この密生した被毛は、長い部分では40~60cm程の長さにもなり、刈らずにいると更に伸び続ける。 ラマが主に使役に用いられるのに対して、アルパカは使役よりも、主にその被毛を目的として利用されている。 1~2年ごとに刈り取られるアルパカの被毛は、ウールの中でも上質のものとされ、非常に高価なものとされている。 また、肉や皮も利用され、アルパカの糞は肥料や燃料としても使用されている。 アルパカの生態・生活 アルパカはアンデス山地の湿潤な高原地帯に生息しているが、放牧された状態で群れをつくって生活している。 家畜種であることもあって、ほとんどはラマやヒツジ、ヤギと一緒に放牧されているが、アルパカの群れには階層的な社会秩序があるとも言われている。 食性は草食性で、草や干草、苔や樹皮など、さまざまな植物質のものを食べる。 休んでいるときは、他のラクダ科の動物と同様、反芻などをしているが、怒った時などには胃の内容物を吐きかける習性がある。 この習性もアルパカに限らず、ラクダの仲間全般に見られるが、吐しゃ物には強烈なにおいがあり、嫌う相手を遠ざけるのにかなり有効になっている。 また、糞は同じ場所でする習性があるが、これも他の南米のラクダ科の動物と同様で、これは縄張りを主張していると考えられている。 家畜であることもあって、決まった外敵などは知られていないが、潜在的な外敵としてはピューマなどが挙げられる。 また、導入されたアメリカ合衆国ではオオカミやコヨーテなどが潜在的な外敵となっている。 アルパカの繁殖・寿命 アルパカには決まった繁殖期は見られず、一年を通して繁殖する。 繁殖は一夫多妻で行われ、支配的な雄は5~10頭程の雌からなるハーレムを形成するとも言われている。 雌の妊娠期間は242~345日と幅があるが、平均すると11ヵ月程で、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は7~9kg程で、生後しばらくすると立ち上がることができる。 子どもには6~8ヶ月ほどの授乳期間があり、雌は1年を過ぎる頃には性成熟するが、雄では遅く、2~3年ほどで性成熟する。 寿命は飼育下で15~20年程だが、アルパカとラマの間には交雑種ができることが知られている。 アルパカの保護状況・その他 アルパカは、インカ帝国の時代から使役や被毛の利用を目的に家畜化されていたと言われていて、かつての分布域はより広範囲だったとも言われている。 しかし、現在のところ個体数は安定していて、絶滅の恐れはないとされている。 一方、南アメリカで飼育されているものは、ほとんどがラマと一緒に放牧されていることから、アルパカとラマの交雑が心配されている。 この他、アルパカは従来グアナコから家畜化されたと考えられていたが、近年の遺伝子研究では、ヒグーナから家畜化されたものと考えられている。 その為、アルパカをビクーナ属とする学名は Vicugna pacos となるが、従来のままグアナコとラマを含むラマ属とする場合は Lama pacos と記述される。 |
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