ラクダは現在でも大切な使役動物で、フタコブラクダはヒトコブラクダと同様、B.C2,000~1,800年頃には既に家畜化されていたとも言われている。 砂漠地帯では特に有益な動物で、トルコより東のイランやカスピ海沿岸、中央アジアやからモンゴル高原などに分布している。 しかし、現在生息しているフタコブラクダのほとんどは家畜種で、野生種のものはモンゴルのアルタイ山脈のふもとなどに極めて少数が存命しているだけと言われている。 この為、野生種は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価では絶滅危惧種(CR)としてレッドリストに指定され、保護されている。 野生のものは小さな群れで半砂漠地帯やステップ地帯などに生息しているが、群れは1頭の雄に率いられた6~20頭程で、水や食料を求めて移動する生活を送っている。 また、冬には雪の積もる丘の斜面や山などに水を求めて長距離を移動し、水が豊富にある山岳地帯などでは100頭ほどの群れをつくることもある。 体毛は所謂キャメル色で、名前のように、背中のコブがふたつある他はヒトコブラクダと同じで、まつげが長く、鼻の穴は自由に閉じることが出来るので、砂漠などでの厳しい生活に適している。 ヒトコブラクダに比べて四肢は短いが、指は二本で蹄が小さく、その代わりに大きなしょ球があることや、ひざや胸に「たこ」があることも同じで、反芻し、反芻するときには下あごを左右に動かすことなども同じである。 また、性質は元来おとなしいが、怒ると胃の内容物を吐きかける習性があることなども同様である。 低木や草類などを食べ、水は長い間飲まずに過ごすことができるが、背中のコブには脂肪が詰まっていて、水の貯蔵とは関係がない。 水があれば一度に60リットル程の水を飲むことができるが、水を節約する為に発汗や尿の排出を抑え、乾燥した糞を排出するなど、フタコブラクダは体温調整をうまくしている。 また、一部の地域のものは、泥土に含まれる塩水を飲むことが出来るとも言われている。 家畜種としてのフタコブラクダは野生のものよりも体が大きく、体重が1000kg近いものも見られ、移動手段のほか、主に荷物の運搬用に利用されている。 フタコブラクダは耐久力もあり、荒れた高地や砂漠地帯などでも、150~250kgの荷物を1日に45km程も運ぶことができる。 砂漠地帯での運搬用のほか、毛皮や肉・乳なども利用されるほか、乾燥している糞も燃料として利用される。 野生での繁殖期は雨季に重なる冬季で、この時期の雄は他の雄に対してツバを吐きかけるなど、気が荒くなる。 妊娠期間は12~14ヵ月、平均で13ヵ月程で、ふつうは1産1子を3~4月に出産するが、稀に2子を出産する。 子どもは数時間ほどで歩けるようになり、1年半ほどの離乳期間がある。 雌雄共に3~5年で性成熟し、寿命は20~30年程度と考えられているが、40年近く生きることもあると言われている。 学名の「C. bactrianus」は家畜種を指し、「C. ferus」は野生種を指すが、いずれも同種とする場合は「C. ferus」となる。 また、フタコブラクダとヒトコブラクダとの間には、繁殖力をもつ交雑種ができるほか、南アメリカにはラマやアルパカなど、ラクダ科に属する動物が生息しているが、南アメリカのものは背中にコブをもっていない。 尚、フタコブラクダの日本への到来はかなり古く、推古天皇の時代、589年の記録がある。 また、現在家畜として利用されているフタコブラクダは野生種からのものとされているが、最近の遺伝学的研究では、野生のものと家畜のものとでは異なる種であることが示されている言われている。 ラクダ科の動物へ / このページの先頭へ |
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フタコブラクダ