ダマジカ (ファロージカ)

ダマジカ (ファロージカ) さんのプロフィール


動物図鑑・ダマジカ

ダマジカ (ファロージカ)

偶蹄目・シカ科
学 名 Dama dama
英 名 Fallow Deer / European fallow deer
分布域 ヨーロッパから小アジア
生息環境 森林や草原地帯など
体 長 雄で140~170cm、雌で130~150cm 程度
尾 長 15~23cm 程度
体 重 雄で60~90kg、雌で30~50kg 程度

ダマジカはホンシュウジカと同じほどの大きさのシカで、主に地中海沿岸域に分布している。
角は雄だけに見られるが、この角は手のひら状に広がっている見事なもので、ダマジカの特徴にもなっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ


ダマジカの分布域・生息環境
ダマジカはヨーロッパの地中海沿岸域からトルコにかけて分布しているが、かつては北アフリカにも分布していたとも考えられている。

平地から山地の草原やサバンナ、草地が混ざる森林や低木林などに生息しているが、現在ではヨーロッパ各地やアメリカ合衆国、カナダや南アメリカの一部、オーストラリアやニュージーランドなどにも人為的に移入されている。


ダマジカの大きさ・特徴

ダマジカは別名をファロージカ (Fallow とは落ち葉のような淡褐色のこと) 、或いはヨーロッパダマジカとも呼ばれ、雄の体高は80~100cm程で、ホンシュウジカと同じほどの大きさがある。

体は雄の方が大きく、大きい雄だと体長190cm、体重150kg程になるものも見られる。
角は雄だけにあって、長さは平均で50~70cm程だが、中には90cmを超えるものもある。

この角はダマジカの特徴にもなっていて、二ホンジカなどの他のシカ類の角とは違って、第3枝が手のひら状に大きく広がっていて、ヘラジカほどはないが大変見事なものになる。
角は3歳頃から手のひら状になりはじめるが、4月頃には抜け落ち、8月頃までには新しいものが生えてくる。

毛色は、夏と冬では異なり、夏には赤みを帯びた灰色や栗色で白斑があるが、冬には灰褐色や濃い色になり白斑は見られなくなる。
また、胸から腹、四肢の内側などは白っぽく、背中の正中線は暗色をしている。

しかし、ダマジカの毛色には変化があり、黒っぽいものや冬でも白斑が残っているものも見られ、しばしば白変種も見られる。


ダマジカの生態・生活

ダマジカは森の中の開けた場所や下草のあるところなどを好んで生息しているが、ヨーロッパに広く分布しているダマジカは移入されたもので、これらは半野生状態で生活していて、公園などでも飼育されている。

雄は普段は単独で生活していて、雌は子どもや若い個体などからなる7~14頭程の群れをつくって生活している。
しかし、夏の終わり頃には雄は雄同士の小さな群れをつくるようになり、やがて繁殖期になると雌雄混合の群れをつくるようになる。

また、移入されたような半野生状態のダマジカは比較的大きな群れをつくるが、野生の状態では小さな群れで生活している。

ダマジカは昼夜共に活動するが、夏の間などは早朝と夕暮れ時に採食し、日中などは森の中で反芻して休んでいることが多い。

草食性で、草や木の葉、木の芽などを食べるが、草類などが少なくなる秋と冬には、森の中で木の枝や樹皮、ブナの実など、季節によってさまざまな植物を食べている。

走る速さは時速48km程度で、5m程の幅を跳ぶことができ、高さも1.5m程なら跳び越すことができる。

外敵はオオカミなどだが、移入先にクマピューマなどが生息している所では、これらにも襲われることがある。


ダマジカの繁殖・寿命

ダマジカの北半球での繁殖期は9~1月頃と幅があるが、出産は6月上旬に多く見られる。

繁殖は一夫多妻で行われ、雌は妊娠期間230~245日程で、ふつうは1産1子を出産する。
出産は群れから離れたところで行われ、生まれたばかりの子どもは3~4kg程の体重がある。

雌は日中に幾度か子どものところに授乳のために訪れるが、子どもは群れから離れたところで育てられる。
3週間ほどで離乳がはじまり、この頃になると雌は子どもを群れの中に連れて行く。

子どもは7ヵ月頃には完全に離乳するようになるが、その後もしばらくの間は親と一緒に生活している。
1年程で独立し、早ければ雄で17ヵ月、雌で16ヵ月程で繁殖可能になる。
しかし、雄の実際の繁殖は4歳頃からで、完全に成熟するのは雌で4~6年、雄は5~9年ほどはかかると考えられている。

野生下での寿命は12~16年程度が、飼育下では20~25年程の寿命があると言われている。
また、ダマジカにはしばしば白色のものが見られるが、右下の写真は白色形のシロダマジカ。


ダマジカの保護状況・その他

ダマジカはヨーロッパではもっともよく見られるシカで、広大な牧草地で家畜として飼育されたりもしている。

狩猟の対象にもなっているが、全体に個体数は安定していて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

また、ダマジカはアメリカ合衆国やカナダ、南アメリカのアルゼンチンやチリ、オーストラリアやニュージーランドなどのほか、マダガスカルやチュニジア、南アフリカ共和国など、幅広い地域に導入されている。

しかし、元来の分布域であるトルコでは個体数が少なく、野生のものは絶滅しているとも言われている。

尚、ダマジカには、
Dama dama dama (ヨーロッパダマジカ)
Dama dama mesopotamica (ペルシャダマジカ)
の2亜種に別けられているが、ペルシャダマジカを独立種・Dama mesopotamica とする場合もある。

このペルシャダマジカは、かつては中東に広く分布したが、現在はイランとイスラエルなどに少数が生息するだけとなっていて、絶滅危惧種(EN)として指定されている。

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