キバノロはキョンとノロジカの間ほどの大きさのシカで、体高は45~55cm程度でニホンジカに比べるとかなり小さい。 毛色は、夏は赤褐色で、冬には灰色を帯びる。 下腹部とあごの下は白く、耳は大きい。 また、前肢よりも後肢がよく発達した体つきをしていて、跳躍力にも優れている。 キバノロは雌雄共に角をもっていないが、成獣の雄は犬歯が発達し、牙のようになる。 この牙は口の両側から突き出て成長し、長さは5~8cm程もなり、トラやクマなどの捕食動物に対する強力な武器となる。 また、キバノロの雄は尿などで縄張りを主張するが、この縄張りに侵入した他の雄との争いなどにも、この牙が用いられる。 この特徴的なキバノロの牙は、シカ類の角が武器として発達する前の形であると考えられていて、キバノロはシカ類の非常に原始的な形であることを示しているとも言われている。 雄の牙は少し離れてみてもよく分かるが、性格はおとなしいというよりも、むしろ臆病で、日中にも活動するが、主に夕方や明け方などに活発になる。 キバノロは英名で「Water Deer」と呼ばれるが、河川や湖沼の周辺、湿地帯などを好み、揚子江周辺などの川岸の葦の密生した低木地帯などに生息している。 この為、蹄の幅は比較的に広く、キバノロは泳ぎもうまい。 群れをつくることはなく、単独かつがいで生活し、葦の葉や、そのほかの植物を食べる。 一夫多妻で、繁殖期は晩秋から初冬で、この時期の雄は雌をめぐって激しく争う。 また、キバノロは他のシカ類とは異なり、ふつう1産2~3子、多い時では5~7子を出産する。 妊娠期間は6~7ヶ月で、生まれたばかりの子どもは体重1kg程度。 雄は5~6ヵ月、雌は7~8ヵ月程で成熟し、飼育下での寿命は10~12年程度と言われている。 近年は生息地の開発や破壊などでキバノロの個体数は減少している。 現在、キバノロは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されているが、更なる個体数の減少も懸念されている。 シカ科の動物へ / このページの先頭へ |
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キバノロ