アメリカバイソンはがっしりとした体つきで重々しく、別名・アメリカバッファロー、アメリカヤギュウなどとも呼ばれている。 群れをつくって生活しているが、時には群れ同士が集まって非常に大きな群れをつくることがある。
アメリカバイソンの分布域・生息環境 アメリカバイソンは、かつてはアラスカからメキシコ北部まで、北アメリカに広く分布していて、草原や森林、半乾燥地など、さまざまな環境に生息していたが、現在の分布域はアメリカ合衆国の中西部やカナダ西部などの一部の地域になってしまっている。 アメリカバイソンの大きさ・形態 アメリカバイソンは全体に重量感のある体つきをしていて、肩から背中部分にかけて盛り上がり、体の後ろ部分は低くなっている。 現在、アメリカバイソンには2亜種が知られているが、基亜種・ヘイゲンバイソン(Bison bison bison)では、雄の体長は3~3.5m、体重は400~950kg程で、平均すると730~850kg程の体重があるが、雌は体長2.2~3m、体重360~650kg程で、体は雌の方が雄よりも小さい。 また、亜種・シンリンバイソン(B. b. athabasca)は体が大きく、大きい雄だと体長3.8m、体重は1200kgほどにも成長する。 毛色は雌雄ともに明るい褐色で、冬期には茶褐色や茶色の混ざった黒色などになるが、頭部は黒っぽい。 また、頭部は長い毛で覆われていて、耳はヨーロッパバイソンのようによく見えることはない。 角は雌雄共にもっていて、角は湾曲して短いが、それでも雄の大きいものでは50~60cm程にもなる。 アメリカバイソンの生態・生活 アメリカバイソンは主に草原地帯に生息しているが、半乾燥地や低木林・雑木林などにも生息している。 また、平野部に多く見られるが、斜面が急でない丘陵や山地の他、標高2400m程の高所にも生息している。 アメリカバイソンは群れをつくって生活しているが、雄雌は繁殖期以外は別の群れをつくって生活している。 群れはふつう20~30頭ほどで、雌の群れの中にはその子ども達が含まれていて、雄はふつう雄同士で別の群れをつくっている。 しかし、雌の群れの中には、年長の雄が見られることもあり、若い雄は単独でいるものも見られる。 草食性の動物で、主に朝や夕方に草類を食べるが、木の葉や樹皮などを食べることもあり、水は毎日飲む。 また、アメリカバイソンは季節によって移動する生活をしているが、雪が積もる冬場には、足や頭を使って雪を掻き分け、コケ類などを食べる。 冬毛は耐寒性があり、体に積もった雪が溶けることなく、体温の低下をよく防いでいる。 アメリカバイソンはガウルやスイギュウなどと並ぶ大型の動物で、成獣は力も強いこともあり、外敵は少ないと言われている。 時には弱ったものや子どもなどがオオカミの群れに襲われることがあり、ピューマやヒグマの亜種であるグリズリーなども、時には成獣のアメリカバイソンを襲うこともある。 しかし、バイソンは力が強く群れでいることもあって、襲われることは少なく、ヒグマでさえ滅多に襲うことはないとされている。 一方、かつては人が一番の外敵で、乱獲などにより、一時は絶滅寸前まで個体数が減少した時期もあった。 この他、アメリカバイソンは聴覚と嗅覚に優れているほか、重たい体に似合わず、泳ぎはうまい。 走るのも早く、時速62km程の速さで駆けることができ、1.8m程の高さを跳ぶこともできるとも言われている。 アメリカバイソンの繁殖・寿命 アメリカバイソンは一年に一度繁殖し、繁殖期は6月下旬から9月にかけて見られる。 一夫多妻で、この時期の雄は雌をめぐって争う様子が観察される。 雌の妊娠期間は274~285日程で、普通は1産1子を出産する。 出産は群れから離れた草むらや藪の中で行われ、生まれたばかりの子どもは15~25kg程の体重がある。 子どもは生後の数時間ほどで歩いたり走ったりできるようになり、毛色は赤っぽいが、2ヵ月半程で茶色っぽくなり、4ヵ月頃には完全な茶色になる。 育児は雌によって行われ、平均した授乳期間は7~8ヵ月程だが、長ければ1年ほどは親と一緒に生活している。 雌で2~3年、雄では3年程で性成熟するが、多くの雄は6歳頃までは実際の繁殖はしないと言われている。 これは体の大きさによるもので、雌をめぐってほかの雄と争えるほどに成長するまでには、それくらいの時間が必要なのだと言われている。 野生下での寿命は長いもので20年、平均すると10~15年程度と考えられている。 飼育下ではこれよりも長く、25年程度と言われているが、飼育下では40年の寿命を持つことが知られている。 アメリカバイソンの保護状況・その他 アメリカバイソンは、かつてはアラスカからメキシコ北部まで、北アメリカに広く分布していて、様々な環境に生息していたが、現在では分布域のほとんどで見られなくなってしまっている。 19世紀の初め頃までは、北アメリカには数千万頭のアメリカバイソンが生息していたと言われているが、毛皮や肉を目的とした著しい乱獲や無用な狩猟のために、1889年にはわずかに541頭を残すだけになっていたと言われている。 その後は保護を与えられ、野生状態では現在30,000頭ほどのアメリカバイソンが保護区などで生息している他、個人の牧場などでもかなりの数のアメリカバイソンが飼育されるようになっている。 しかし、それでも個体数は安定しているとは言えず、現在、アメリカバイソンは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、準絶滅危惧種(NT)としてレッドリストに指定されていて、かつては見られた何万頭ものアメリカバイソンの大移動は昔のことになってしまっている。、 尚、アメリカバイソンは草原に生息するヘイゲンバイソン(B. b. bison)と、雑木林などに生息する体の大きなシンリンバイソン(B. b. athabasca)の2亜種が知られているが、いずれも同種として扱われることもある。 このほか、ヨーロッパバイソンも本種と同様で個体数が少ないが、アメリカバイソンよりも更に少なく、国際自然保護連合では絶滅危惧種として指定している。 |
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アメリカバイソン (アメリカバッファロー、アメリカヤギュウ)