アラビアオリックス

アラビアオリックスさんのプロフィール


動物図鑑・アラビアオリックス

アラビアオリックス

偶蹄目・ウシ科
学 名 Oryx leucoryx
英 名 Arabian oryx
分布域 オマーンなどのアラビア半島の一部など
生息環境 乾燥した平原や砂漠地帯など
体 長 160~180cm 程度
体 高 80~100cm 程度
体 重 65~90kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (VU)

アラビアオリックスは小さな群れをつくり、乾燥した草原などに生息している。
しかし、定住することはなく、食料を求めて移動する生活を送っている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


アラビアオリックスの分布域・生息環境
アラビアオリックスはシリアやヨルダン、アラビア半島などに分布していて、砂漠地帯や乾燥した平原などに生息している。

しかし、これらのものは再導入されたもので、かつてはイラクからアラビア半島、シナイ半島などの乾燥地帯に広く分布していた。


アラビアオリックスの大きさ・形態
アラビアオリックスは体長160~180cm程で、オリックスの中では最も体が小さいとされている。

ただ、体重は65~90kg程で、成獣の雄でも体高は1m程の高さしかないが、大きいものでは体長2.3m、体重は200kgほどに達するとする資料もあるので、大きいものではそれ程のものも見られるのだろう。
また、尾は40~80cmほどの長さで、耳は大きく、蹄は幅広くなっている。

毛色は、幼獣では全身が黄褐色の毛で覆われているが、成長するにつれて、全身が白色や灰色を帯びた白色になっていく。
四肢の先は濃い茶色や暗褐色で、顔に見られる斑や尾の先も暗褐色をしている。

角は雌雄共にもっていて、長さは普通70cmほどだが、長いものでは1.5m近くにもなるものも見られる。
この角はほぼまっすぐに延びていて、真横から見ると重なって1本に見えることから、アラビアオリックスはユニコーン(一角獣)のモデルだとも言われている。

一見してシロオリックスに似ているが、アラビアオリックスの角はあまり湾曲せずに、ほぼ真っ直ぐ上方にのびている。
また、シロオリックスの角は先に行くほど左右に開いていて、平均すると長さも長い。


アラビアオリックスの生態・生活

アラビアオリックスは乾燥した平原や砂漠地帯、その周辺の岩の多い丘陵などに生息していて、群れをつくって生活している。

普通はあまり大きな群れをつくることはなく、1頭の雄と複数の雌、比較的若い個体からなる10頭位までの群れで生活している。

他の若い雌雄はそれぞれ別の群れをつくっているが、若い雄は単独で生活しているものも見られ、若い雄は群れをつくらないとも言われている。

日中に活動し、主に早朝や夕方に草類や木の芽、地下茎や根、果実など、さまざまな植物質のものを食べる。

また、アラビアオリックスは定住することなく、食べ物をを求めて移動する生活をしている。
行動範囲は100~300平方km程で、1年半程で3000平方km程度の範囲を移動するとも言われている。

水があれば飲むが、生息地では水が乏しく、早朝に植物から集めた露をなめて水分補給し、多くは食べ物から得ている。

数週間ほどは水を飲まなくても過ごすことができるが、アラビアオリックスは遠くからでも降雨の量が分かると言われている。
90kmほども離れたところに雨が降っているのが分かるとも言われていて、雨の後に育った新鮮な植物を求めて、かなりの距離を移動することが観察されている。

その様な過酷な条件下で生活しているため、アラビアオリックスは無駄なエネルギーを使うことはなく、争いも滅多にすることはない。
日差しの強い日中などは、樹木の下に浅いくぼみを掘って休んでいるが、木陰を仲間で分けあっている姿が見られる。

外敵はオオカミシマハイエナなどだが、シマハイエナはかなり個体数が減少していて、オオカミが主な外敵になっている。


アラビアオリックスの繁殖・寿命

アラビアオリックスには決まった繁殖期は見られず、繁殖の時期や間隔は栄養状態や食糧事情などによって左右されると考えられている。

条件がよければ、雌は1年に1回出産すると言われていて、オマーンやヨルダンに導入されているものは10~5月の間に出産が多く見られる。

雌の妊娠期間は240~260日程で、普通は1産1子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は5~6kg程で、子どもは4ヶ月を過ぎる頃には離乳し、雌は2年半ほどで性成熟する。

野生下での寿命は分かっていないが、飼育下では15~20年程の寿命をもっている。


アラビアオリックスの保護状況・その他

アラビアオリックスは、かつてはイラクやシリア、ヨルダンやシナイ半島、アラビア半島などに広く分布し、時には100頭を超える群れをつくることもあったと言われている。

しかし、角や毛皮を目的とした乱獲などで、真の野生のものは既に絶滅したと考えられている。

現在見られる野生下での生息数は推定で1200頭程と言われていて、国際保護動物に指定されているが、それらのものは、ヨーロッパバイソンのように動物園などの飼育下で繁殖されたものが再び野生に戻されたものになっている。

一時は国際自然保護連合(IUCN)では野生絶滅種(EW)としていたが、その後に飼育個体が野生に戻され、オマーンやヨルダン、サウジアラビアなどのほか、バーレーンやカタールなどにも導入されている。

これらのものは遺伝的な変異もなく保護区などに生息しているが、以前として個体数は少なく、IUCNでは絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定している。

尚、シロオリックスも野生のものは既に絶滅したと考えられていて、一時は野生絶滅種(EW)に指定されていたが、アラビアオリックスと同様、飼育されていたものが再導入され、現在は絶滅危惧種(EN)に指定されている。。

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