バーバリーシープは北アフリカ固有の動物で、乾燥した岩場や山の斜面などに生息している。 群れをつくって生活しているが、近年は生息数が減少していて、絶滅危惧種に指定されている。
バーバリーシープの分布域・生息環境 バーバリーシープはサハラ砂漠の丘陵地帯を中心に、北アフリカの主な山岳地帯に生息している。 モーリタニアからモロッコ、リビアを経てエジプト、スーダンからマリ北部などに分布していて、幾つかの亜種が知られている。 砂漠地帯の乾燥した岩場や山岳地帯に生息していて、イタリアやスペインなどのヨーロッパ諸国のほか、アメリカ合衆国のニューメキシコ州やテキサス州にも導入されている。 バーバリーシープの大きさ・特徴 バーバリーシープはヒツジの中では大型の部類に入り、雄では体重が140kg程になるものも見られる。 一方、雌はそれよりもかなり小さく、大きくても65kgほどの重さしかない。 毛色は明るい茶色のような色合いで、腹部や四肢、顎などは白っぽい。 顎から首にかけてと、前足の上部には長いタテガミ状の毛が見られるのがバーバリシープの特徴で、ドールシープやムフロンなど、他の野生ヒツジでは見られない。 角は下に巻き込むように外側に向かって伸びているのも特徴で、雌のものは小さいが、角は雌雄ともにもっている。 雄の角は長さが80cmを超える見事なものもあり、胸辺りに見られるタテガミを含め、堂々とした印象を受ける。 また、バーバリシープはヒツジとヤギの中間的な動物で、あごひげや皮下線がないこと、角の形などはヒツジに似ているが、眼下線と蹄間線がないことなどはヤギに似ている。 バーバリーシープの生態・生活 バーバリーシープは砂漠周辺の岩の多い山地などに生息している。 水の乏しいところで生活しているが、普通は1頭の雄を中心にした10~20頭程の群れをつくって生活している。 主に草や木の葉、果実などを食べるが、日中は岩の洞や岩陰などで暑さを避けて過ごし、早朝や夕方などから採食に出かける。 水があればよく飲むが、バーバリシープは乾燥した土地によく適応していて、水はかなりの期間飲まなくても過ごすことができる。 外敵はヒョウやカラカルなどだが、毛の色は岩場などで保護色の役目を果たしていて、外敵に出会うとじっと動かずにいて、周囲の景色に溶け込むようにして身を守る。 また、バーバリシープはかなり急な岩場の斜面も容易に移動することができ、逃げる時は崖や岩場を巧みに駆け抜けて逃げていく。 2m程の段差のある崖なども駆け上がってしまうが、動物園などでも僅かな足場に足をかけ、巧みに上り下りしている様子が見られる。 この他、雄同士が繁殖期などに争うときは、角をつき合わせるだけでなく、絡ませて争うこともする。 バーバリーシープの繁殖・寿命 バーバリーシープの繁殖期には地域によって差があるが、ふつうは9~11月に多く見られる。 繁殖は一夫多妻で行われ、雌の妊娠期間は160日程で、ふつう1産1子、希に2子を出産する。 ほとんどの子どもは3~5月頃に誕生し、3~4ヶ月ほどの間は授乳される。 雌雄ともに1~1年半ほどで性成熟し、野生下での寿命は10年程度、飼育下での寿命はそれよりも長く、15~20年程と考えられている。 バーバリーシープの保護状況・その他 バーバリシープは狩猟などの目的で、アメリカのテキサス州やニューメキシコ州などにも移入されているが、自然分布域においては個体数が減少している。 現在、バーバリシープは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されているが、更なる生息数の減少も心配されている。 尚、バーバリーシープには次のような亜種が知られている。 Ammotragus lervia lervia モロッコやアルジェリア、チュニジアなどに分布する基亜種 A. l. angusi 具体的な分布域は不明 A. l. blainei チャド北東部やスーダン A. l. ornata エジプトに分布する亜種で、既に絶滅していると言われているが、エジプト東部の砂漠に少数が生息している。 A. l. saharensis アルジェリア南部 A. l. fassini リビアに分布 |
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