ドールシープ

ドールシープ(ドールビッグホーン)さんのプロフィール

ドールシープ(ドールビッグホーン)
偶蹄目・ウシ科
学名		Ovis dalli

英名		Thinhorn Sheep / Dall's Sheep / White Sheep / Sheep dalli

分布域		アラスカやカナダ北西部など

生息環境		険しい山岳地帯

体長		雄で 130～180cm 程度、雌で 130～160cm 程度

尾長		雄で 7～12cm、雌で 7～9cm 程度

体重		雄で 70～80kg、雌で 45～50kg 程度

ドールシープは北アメリカ北西部に分布する野生のヒツジで、小さな群れをつくって生活している。
雄はひと回りするほどの大きな角をもっていることから、別名・ドールビッグホーンとも呼ばれている。

●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

ドールシープの分布域・生息環境

ドールシープは、カナダのブリティッシュコロンビア州からアラスカにかけて分布していて、ロッキー山脈やアラスカ山脈などの山岳地帯や険しい高地に生息している。

ドールシープの大きさ・形態

ドールシープは雄で体長1.3～1.8m、雌で1.3～1.6m程で、体は雄の方がかなり大きい。
平均した体重は雄で70～80kg、雌で45～ 50kg程だが、大きい雄では体重が100kgを超えるものも見られる。

毛色は全身が白色をしているが、腹部などの他は淡褐色をしているものも見られる。
また、寒い環境に生息しているため、冬には毛の長さは5cm以上の厚さになることもある。

雌は雄よりも体が小さいが、ドールシープは雌雄共に角をもっている。
雌の角は短くて、数センチ程度の細くてわずかに湾曲しているだけのものだが、雄の角は太くて、下の方にまわり込むようにひと回りしている。

長いものでは１mを超すものも見られるが、この角がひと回りするように完成するには、およそ8年ほどもかかると言われている。

その見事な角から、ドールシープは別名をドールビッグホーンと呼ばれることもあるが、この角は春や夏に成長し、秋の終わりから冬にかけては成長が止まるため、その年輪のようなリングの様子から年齢を推し量ることができる。

尚、北アメリカの山岳地帯にはオオツノヒツジ (ビッグホーン) も生息していて、ドールシープはこれによく似ているが、オオツノヒツジに比べる体も小さく、別種になっている。

ドールシープの生態・生活

ドールシープは、乾燥した険しい山岳地帯の急峻な岩場や崖などに生息している。
その様な厳しい環境の中で生活しているのは、外敵を避けるためのほか、他の偶蹄類との競合がないことなども理由と考えられている。

普段は雌雄別々の小さな群れをつくって生活していて、雌の群れにはその子どもたちが含まれている。
雄の群れでは、ふつうは角の大きなものがリーダーとなって群れをまとめている。

草食性で、食物の多い夏場の間はさまざまな草類など食べるが、食物の少ない冬場には雪の下のコケ類なども食べる。
冬の間に体重は15パーセント程も減少し、最初に冬を越すことができる子どもは6割程度とも言われている。

また、ドールシープは塩舐めをすることが知られていて、春には土壌のミネラルを求めて、移動しながらこれを補給することが観察されている。

ドールシープは厳しい環境の中で生活しているが、それでもオオカミやコヨーテ、オオヤマネコ、アメリカクロクマやヒグマなどに襲われることがある。

しかし、岩場での動きは巧みで、外敵が近づけないような急な斜面や岩棚なども俊敏に移動し、実際に襲われることは少ないとも言われている。

ドールシープの繁殖・寿命

ドールシープの繁殖は一夫多妻で行われ、繁殖期は11月下旬から12月上旬頃に見られる。

この時期の雄は、雌をめぐって角を突き合わせるホーニングと呼ばれる争いをするが、この争いは激しく、10m程も離れたところから互いに突進していく。

互いの角が衝突する音は1km離れたところでも聞こえると言われているほどで、繁殖期以外でも、優劣を決めたりする場合には行われる。

雌の妊娠期間は6ヶ月程で、1産1～2子、ふつうは1子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は3～4kg程で、生後15～30分程で立ち上がり、1日ほどの後には母親について歩くことができるようになる。

生後2ヵ月頃には角が生えはじめ、成長は早く、9ヶ月頃には27～30kg程の大きさになる。
しかし、子どもの死亡率は高く、最初の冬で40～50％が死亡するとも言われている。

雌は18ヵ月程で性成熟するとされているが、完全に成熟するには2年近くが必要で、実際には3～4年で最初の出産が行われる。
雄も3年近くで成熟し、この頃には角も大きく伸びはじめるようになる。

野生下での寿命は10～12年、長いもので15年程度と言われているが、飼育下での寿命は19年を超えたものが知られている。

ドールシープの保護状況・その他

ドールシープは、地域によっては肉や毛皮を目的とした狩猟の対象にもなっているが、厳しい環境に生息していることから開発などの影響も少なく、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

尚、ドールシープには2亜種が認識されている。

Ovis dalli dalli (Dall's sheep)
広く分布する基亜種

O. d. stonei (Stone sheep)
南に分布する亜種で、主にブリティッシュコロンビア州北部に生息

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