オオツノヒツジはムフロンなどと同じ野生ヒツジの仲間で、アメリカ合衆国西部やカナダ南西部などのロッキー山脈を中心にした山岳地帯に生息している。 体毛はふつう灰褐色で、腹部と臀部は白っぽい。 角は雌雄共にもっているが、雌の角はほぼまっすぐで短い。 これに対して雄の角は太く、ひと回りして、先は外側を向いている。 雄の大きなものでは長さが1mを超し、重さは14kg程になるものも見られ、大変見事である。 この大きな角から、オオツノヒツジは別名をビッグホーンとも呼ばれているが、雄の優位は年齢だけでなく、角の大きさによっても決定され、繁殖期には雌をめぐって、角を突き合わせて激しく争う。 体は雄の方が大きいが、北方のものほど体が大きく、ロッキー山脈に生息するものの中では、雄の体重が200kgを超すものも知られている。 これとは対照的に、南部のシエラネバダ山脈に生息するものは、雄でも体重は90kg程度と言われている。 また、北アメリカに分布するドールシープは、オオツノヒツジと外見が似ていて、一見すると同じと思われているが、オオツノヒツジの方が体も大きく別種である。 オオツノヒツジは標高の高い山岳地帯に生息していて、険しい岩の断崖や絶壁に近接した草原、草で覆われた山の斜面などで生活している。 普通は8~10頭程の小数の群れで生活しているが、時には100頭を超す群れをつくることもある。 昼間に活動し、草類や木の葉、木の枝などを食べ、多くの時間を採食に費やしているが、オオツノヒツジは急峻な岩場や断崖などでも容易に移動することができる。 また、夏には標高1800~2500m程の高地の開けたところで生活しているが、季節的な移動を行い、食料の乏しい冬には標高700~1500mくらいのまで降りてきて、谷の間で生活している。 オオツノヒツジは厳しい環境に生息しているにもかかわらず、時にはピューマやクマなどに襲われることがあり、幼いものはオオカミやコヨーテ、猛禽類などにも襲われる。 外敵に対しては大きな角で戦うこともあるが、多くの場合、断崖などに素早く逃げる。 一夫多妻で、繁殖の多くは秋から初冬にかけて見られ、妊娠期間150~180日程で、ふつう1産1子、稀に2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は4kg程で、生後数時間ほどで歩けるようになる。 4~6ヵ月程で完全に離乳し、この頃の体重は25~35kg程になっている。 2~3年程で性成熟し、雌の多くは出生群に留まるが、雄は成熟する頃には群れから離れていく。 野生での寿命は、雌の長いもので19年、雄はそれよりも短く、14年程度と言われているが、寿命は生息密度に関係があると考えられていて、生息数の多い地域での平均寿命は6~7年とも言われている。 尚、オオツノヒツジはいつくかの亜種に別けられるが、遺伝的には、現在3亜種が有効と考えられている。
オオツノヒツジは、かつては見事な角を目的とした乱獲などによって数を減らしたが、現在では保護政策によりある程度回復している。 しかし、一部のものは生息数が減少していて、O.c. sierraeなどはアメリカ合衆国政府によって絶滅危惧種に指定されている。 ウシ科の動物へ / このページの先頭へ |
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オオツノヒツジ(ビッグホーン)