シャモアは、ヨーロッパやコーカサス地方などに分布しているウシ科の動物で、ニホンカモシカと同じほどの大きさがある。 雌雄ともに角があり、雌は子どもと一緒に群れをつくって生活している。
シャモアの分布域・生息環境 シャモアは中央ヨーロッパや南ヨーロッパ、トルコやコーカサス地方などに分布していて、ニュージーランド南島にも導入されている。 標高の高い高原や山地の草原に生息していて、雌は子ども一緒に群れをつくって生活している。 シャモアの大きさ・特徴 シャモアは体長110~135cm、体重は25~55kg程で、ニホンカモシカやゴーラルと同じほどの大きさがある。 体は雄の方が大きいが、雌雄ともに角をもっていて、20cm程の長さがある。 角はまっすぐ上に延びているが、シャモアの角は特徴があり、先端は鉤状で後ろに向かって伸びている。 また、雌の角は雄のものよりは細いが、長くなる傾向がある。 毛色は栗色や褐色、暗褐色をしているが、腹部は淡く、春や夏には全体に明るい色になる。 頭部から喉にかけては白く、鼻から目にかけては、はっきりとした黒褐色の黒い筋が見られる。 シャモアの生態・生活 シャモアは高山植物が育つような標高の高い草原に生息していて、気温の下がる冬には、森林地帯や雪が積もらないような低地に降りて生活している。 雌は子どもと一緒に群れをつくるが、雄は単独で生活している。 雌の群れは、季節や食糧事情などによって変化するが、多くは10~15頭ほどの群れをつくると言われている。 草食性で、日中に活動し、草類や木の葉、若芽や花などの植物質のものを食べる。 冬には苔類なども食べるが、雪が深くて食べ物が見つからないような場合、シャモアは 2週間ほどは食べずに生き延びることが知られている。 主な外敵はオオヤマネコとオオカミで、多くは幼獣や弱ったものが襲われる。 シャモアは、険しくて足場の悪い起伏のあるところでも敏捷に動き回れることができ、ほとんどの場合は逃げることかできると言われている。 走るときは時速50km程でかけることができるほか、跳躍力にも優れていて、高さ2m程も跳び上がり、6m程の幅を跳び超えることができると言われている。 シャモアの繁殖・寿命 シャモアの繁殖期は10~12月頃で、5~6月に子どもが生まれる。 繁殖は一夫多妻で、雌の群れの中にいる若い雄は、成熟した雄に追い払い行われる。 雌の妊娠期間は170日程で、1産1~3子、ふつうは1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は2~3kgだが、生後しばらくすると親の後をついて回ることができるようになる。 子どもには2~3ヵ月の授乳期間があるが、その間に母親が亡くなってしまった時などは、群れの中の他の雌によって育児が行われる。 雌は2年半ほどで性成熟するが、雄はそれよりも遅く、3年半から4年程で性成熟する。 この頃には、雄は群れから離れ、単独で生活するようになる。 シャモアの詳しい寿命は分かっていないが、野生下では15年、長いもので20年ほどの寿命があると考えられている。 シャモアの保護状況・その他 シャモアは狩猟の対象にもなっていて、一部の地域では生息地の減少もあって、個体数が大きく減少している。 しかし、全体としては個体数は安定していて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 ヨーロッパのさまざまな地域に導入、再導入されていて、増加傾向にあるとも言われている。 尚、シャモアには次の亜種が認識されている。 Rupicapra rupicapra rupicapra (Alpine chamois) イタリアやオーストリア、スイス、ドイツなどに分布する基亜種 R. r. asiatica (Turkish chamois) トルコ R. r. balcanica (Balkan chamois) バルカン半島 R. r. carpatica (Carpathian chamois) ルーマニア R. r. cartusiana (Chartreuse chamois) フランス R. r. caucasica (Caucasian chamois) アゼルバイジャンからロシアのカスピ海西岸地域 R. r. tatrica (Tatra chamois) スロバキアやポーランド また、シャモアの仲間には、本種の他、Rupicapra pyrenaica (Pyrenean chamois)がピレネー山脈に生息しているが、こちらも生息数は安定していると考えられている。 |
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