ヒマラヤゴーラル(ゴーラル)

ヒマラヤゴーラル(ゴーラル)さんのプロフィール


動物図鑑・ヒマラヤゴーラル

ヒマラヤゴーラル(ゴーラル)

偶蹄目・ウシ科
学 名 Naemorhedus goral
英 名 Himalayan Goral / Goral
分布域 インドやネパール、ブータンなどのヒマラヤ山系
生息環境 山岳地帯
体 長 80~130cm 程度
体 高 58~70cm 程度
体 重 30~40kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 準絶滅危惧種 (NT)

ゴーラルの仲間は、パキスタンからインドやネパール、チベットやブータン、更にミャンマーや中国、ロシア南東部などに広く分布しているが、本種・ヒマラヤゴーラルはヒマラヤ山系に分布している。
カモシカの仲間で、国内ではふつうゴーラルと呼ばれている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


ヒマラヤゴーラルの分布域・生息環境
ヒマラヤゴーラルはブータンからチベット、ネパールやインド、パキスタンまでのヒマラヤ山脈全域に生息している。

ヒマラヤ山脈の森林や低木のある斜面に生息していて、ミャンマー西部にも分布しているとも言われている。


ヒマラヤゴーラルの大きさ・形態
ヒマラヤゴーラルは体長80~130cm、体重は30~40kg程で、国内で見られるニホンカモシカと同じほどの大きさがある。
体は大きくはないが、雌雄ともにがっしりとした体つきをしている。

体毛は短くて粗く、色は灰色や灰褐色、褐色などで、腹部は淡いか白っぽい色をしている。
また、のどの下は白く、背中の正中線上には暗色の黒い筋が見られるほか、雄の首の毛はタテガミのように長くなっている。

この様な毛色は生息地での保護色になっていて、じっとして動かずにいると周辺に溶け込んで見つけにくい色になっている。

角は雌雄ともにもっているが、角は少し後方に向かってカーブしていて、角に複数の節が見られるニホンカモシカの角に似ている。
角の長さは12~17cm程であまり長くはならず、15cmを超えるものは少ない。


ヒマラヤゴーラルの生態・生活

ヒマラヤゴーラルは、ヒマラヤ山脈の岩の多い森林地帯や、草の多い斜面などに生息している。
標高1000~2500m程の高地に多いが、標高4000mもの高地にも姿を見せることがある。

また、季節によって垂直方向への移動をし、夏は高地で生活しているが、気温が下がってくると標高の低いところに降りて生活している。

ヒマラヤゴーラルは群れをつくって生活しているが、この群れは4~12頭、ふつうは5~6頭程度の小さい群れで、雌とその子どもたちで構成されている。
一方、雄は繁殖期以外は群れをつくらず、単独で生活していると言われている。

行動範囲は、雌と子どもの群れでは平均0.4平方km程度と言われているが、行動範囲は季節や食糧事情などによっても変化する。

単独の雄の行動範囲は雌の群れよりも狭く、0.22~0.25平方km程度と言われているが、こちらも食糧事情になどによって幅がある。

ゴーラルは日中に活動するが、昼間は岩棚や岩穴などで休んでいることが多く、早朝と夕暮れ時に活発に活動する。

季節に応じて草や木の根、木の実、樹皮、菌類など、幅広い植物を食べ、採食も早朝や夕方から夜間にかけて行われる。

また、雪が積もっている時期などは、足で雪をかき分けるのではなく、鼻先で雪を押しのけて採食すると言われている。

外敵はユキヒョウオオカミオオヤマネコなどだが、ヒマラヤゴーラルは「ヒマラヤのシャモア」と呼ばれることもあり、山地での動きは敏捷で、起伏の多い険しい地形でも機敏に駆けることができる。

その為、多くは幼獣や弱っているものなどが狙われるが、毛皮や食用を目的とした人による狩猟が一番の外敵とも言われている。


ヒマラヤゴーラルの繁殖・寿命

ヒマラヤゴーラルの繁殖は一夫多妻で行われ、繁殖期は11~12月頃と言われている。

雌の妊娠期間は6ヵ月程で、ふつうは1産1子を出産する。
出産は群れからやや離れた草むらなどで行われ、数日の間は母子だけで生活すると言われている。

その後は子どもを連れて群れに戻り、子どもは4~5ヶ月、長くても7~8ヵ月で離乳し、独立した生活をするようになる。

雌雄ともに2~3年で成熟し、野生下での詳しい寿命は分かっていないが、14~15年程度と考えられている。


ヒマラヤゴーラルの保護状況・その他

ヒマラヤゴーラルは狩猟のほか、近年の開発などによる生息地の減少なども加わり、現在、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって準絶滅危惧種(NT)に指定されている。
しかし、生息地が分断されている地域も多く、更なる個体数の減少が心配されている。

また、ゴーラルの仲間(Naemorhedus属)には、本種のほか、オナガゴーラル (Naemorhedus caudatus・Long-tailed goral)、アカゴーラル (Naemorhedus baileyi・Red goral)、チュウゴクゴーラル ( Naemorhedus griseus・Chinese goral)が知られているが、いずれも絶滅危惧種(VU)に指定されている。

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