動物図鑑・インドガビアル

インドガビアル さんのプロフィール



動物図鑑・インドガビアル

インドガビアル

ワニ目・ガビアル科
学 名 Gavialis gangeticus
英 名 Gharial / Gavial
分布域 インドやネパールなど
生息環境 水深のある河川など
全 長 3.5~4.5m 程度
体 重 160~180kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (CR)

インドガビアルはインド北部やネパールなどに分布する大型のワニで、現生するもっとも大きなワニのひとつとして知られている。
単にガビアル、ガリアルと呼ばれることもあり、平均すると雄で5.7m、雌で4.2m程に成長するが、大きい雄では全長6mを超える。

ガビアル類の特徴として長い口吻が挙げられるが、インドガビアルも成長するに伴って口吻が長くなり薄くなっていく。
また、成熟した雄の吻端には壷のような形をしたこぶが現れ、これは「ガーラ(ghara)」と呼ばれている。

ガーラはヒンズー語で「壷」の意で、これが生息地での呼称・ガリアルの由来になっている。
このこぶは、繁殖期の求愛のために大きな音を出したり、交尾中に泡を発生させることなどに役立っている。

四肢には水かきがあり、前肢よりも後肢の水かきが発達している。
鱗は滑らかで、多くのほかのワニとは異なっている。

体色は、背面が褐色や濃褐色、緑褐色などで、腹面はクリーム色や白色をしている。
また、若いものは体と尾に暗色の帯や斑が見られるが、成長するにつれて消失する。

インドガビアルは淡水性のワニで、流れのある河川などに生息している。
水深のある水域を好み、全長1.8m位までの若いものは、水深1~3m程のところで生活しているが、体が大きくなるにつれて深いところへ移動し、成熟したものは水深4mよりも深いところを好むと言われている。

ほとんど水中生活をしているが、寒い時期には毎朝日光浴をするために川岸に上がってくる。
体が温まると水の中へ戻り、夕方になると再び岸へ上がってくる。

水中では、水かきのある四肢と尾を使って巧みに泳ぎまわり、長くて細い口吻も水中での水の抵抗を軽減するのに役立っている。
しかし、水中では敏捷に動き回ることができるが、陸上での動きは緩慢で、成熟した大型のインドガビアルは、ほかのワニのように四肢を使って移動するのではなく、腹部を地面につけて滑るようにして移動する。

主に魚類を食べるが、細長い口吻は魚を捕らえるのにも適している。
魚を捕らえるときは、群れの中に飛び込んで、細長い口吻を振りまして捕らえたりする。
インドガビアルはワニの仲間の中ではもっとも歯の数が多く、106~110本程の鋭い歯があり、これも魚を捕らえるのに役立っている。
また、獲物は待ち伏せして捕らえることもある。

魚のほかに甲殻類や、時には水辺に近づく鳥類や小型の哺乳類なども捕らえるが、性質はおとなしく、人に襲いかかるようなことはないと言われている。
また、子どものうちは水生昆虫やカエルなどの両生類やその幼生、小魚や小型の甲殻類などを食べる。

繁殖期は地域によって差があるが、多くは11~2月頃で、雌は妊娠期間75~90日程で、3~5月頃に産卵する。
雌は川岸の斜面や水辺近くに深さ50~60cm程の穴を掘り、土の中に20~40個ほどの卵を産むが、体の大きい雌は100個近くの卵を産むことができる。
卵はワニ類の中ではもっとも大きく、平均した卵の大きさは長径8.5~9cm、短径6~7cm程で、130~150g程の重さがある。

卵は4~6月、遅くとも7月には孵化するが、孵化するまでの間、雌は卵を保護する習性があり、日中は水の中で獲物を捕らえたりしているが、夜間の間は卵の周囲に留まっている。
孵化したばかりの子どもは、全長35~39cm程度、体重は80~130g程で、生まれてくる性別は、卵が温められる温度によって決定されると考えられている。
また、雌は孵化した子どもの声を聞き分けて土の中から掘り出すが、イリエワニシャムワニなどのように水辺に連れて行くようなことはしない。

子どもは数週間から数ヶ月の間は母親と一緒に生活し、1年半ほどで全長1m程度に成長する。
雌は全長3m程に成長する8年頃、雄は4m程に成長する15年程で性成熟し、この頃には雄の吻先にこぶが発達してくる。

成長すると人以外には外敵はいないが、卵や子どもはマングースやジャッカル、オオトカゲなどに襲われる。
寿命は長く、自然下では40~60年程度と言われているが、飼育下ではそれよりも短く、29年のものが知られている。

かつて、インドガビアルは東はインダス川やガンジス川から西はイラワジ川まで、インド亜大陸北部の主な河川と支流などに広く分布していたが、食用や皮革を目的とした乱獲や近年の開発による生息地の消失などによって、生息数は激減している。

今日では、インダス川やブラマプトラ川、イラワジ川などが流れるパキスタンやバングラデシュ、ブータンやミャンマーなど、多くの地域で既に絶滅してしまっている。
現在、インドではウッタル・プラデーシュ州やビハール州などに分布するだけで、ネパールでも、ガンジス川の支流が流れるチトワン国立公園などに少数が生息するだけとなっている。
このような状況の中、国際自然保護連合(IUCN)ではインドガビアルを絶滅危惧種(CR)に指定しているが、更なる生息数の減少が心配されている。

尚、本種はガビアル科に属しているが、マレーガビアルが属しているクロコダイル科に分類されることもある。

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