マレーガビアル (カビアルモドキ)

マレーガビアル (ガビアルモドキ) さんのプロフィール



動物図鑑・マレーガビアル

マレーガビアル (ガビアルモドキ)

ワニ目・クロコダイル科
学 名 Tomistoma schlegelii
英 名 False gharial / Malayan gharial / Sunda gharial
分布域 マレーシアやインドネシアなど
生息環境 低地の河川や湖沼、湿原など
全 長 雄で 3.5~4m、雌で 3~3.5m 程度
体 重 雄で 190~210kg、雌で 85~95kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (VU)

マレーガビアルは、マレーシアとインドネシアのスマトラ島やボルネオ島などに分布している中型のワニで、本種のみでクロコダイル科・マレーガビアル属を形成している。

吻はかなり細長く、クロコダイル科、アリゲーター科の中ではもっとも細長い。
この為、「ガビアル」と名前についてるが、マレーガビアルはガビアル科ではなくクロコダイル科に属していて、別名・ガビアルモドキとも呼ばれている。

長い吻には上部に隆起した筋などなく、インドガビアル(ガビアル科)に見られる吻端にあるコブ状の突起は見られない。
後肢には水掻きがあり、よく発達しているが、前肢の水掻きは指の間の付け根にしか見られない。
また、頚鱗板は脊鱗板と繋がっているほか、他のワニでは、脊鱗板の中央2列の隆起がよく目立つが、マレーガビアルは他のものとほとんど同じ高さになっている。

体色は暗い黄褐色や暗褐色で、若いものなどはやや明るい色をしている。
体には暗色の不規則な斑があり、尾部では帯状になっている。
雄の方が体が大きく、大きいものは全長5m程に成長するが、4mを超えるものは少ない。

淡水性のワニで、低地の河川や湖沼、湿原などに生息し、植物が繁茂し、水の濁ったところで多く見られる。
主に魚類を食べるが、細長い吻は水中での抵抗が小さく、魚を捕らえるのに適している。

また、カエルやトカゲ、カメや水鳥なども捕らえるほか、水辺に近寄ってくる小型の哺乳類なども食べる。
カワウソイノシシカニクイザルなども捕食することが知られていて、噛み付いて水の中に引き込んだり、咥えて川岸に打ち付けたりしたのち、ほとんど丸呑みのようにしてしまう。
しかし、人に対してはほとんど被害の報告がなく、ふつうは脅威になるワニとは見なされていない。

マレーガビアルはあまり動き回ることがなく、目と鼻だけを出して、水の中や泥の中などでじっとしていることが多い。
水中では、ふつう10~15分程潜っているが、危険を感じたときなどは、代謝を遅くし、酸素の消費を減らすことによって、2時間ほども潜っていることができると言われている。

繁殖の様子など、詳しいことは分かっていないが、繁殖期は11~2月と、4~6月の2回見られるとも言われている。
妊娠期間は90~115日程で、雌は産卵が近づくと、泥や木の枝、木の葉などで産卵用の巣を作る。
巣は直径90~110cm、高さ45~60cm程の大きさで、水辺の近くの木陰などに作られる。

雌は13~35個程の卵を産み、巣を植物によって覆うようにするが、その後は、特に巣を守るようなことは見られないと言われている。
卵は、巣の中の温度によって75~100日程で孵化するが、マレーガビアルの卵は大きく、長径9.5cm、短径6m程もある。

雌雄共に20年程で性成熟し、寿命は長く、60~80年と言われているが、飼育下では、ふつうこれよりも短い。
成長したものは、体が大きいこともあり、ほとんど外敵がいないが、子どもや卵は大型のトカゲトラヒョウジャコウネコなどに襲われることがあり、卵は人に食べられることもある。

マレーガビアルは、生息地の開発や破壊、皮を目的とした乱獲などにより生息数が激減し、マレーシアでは絶滅に近い状態だと言われている。
現在、マレーシアでは保護区が設けられているが、タイ南部に分布していたものは、既に絶滅したとされている。
シャムワニなどと共に、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(VU)に指定して、レッドリストに掲載しているが、更なる生息数の減少が懸念されている。

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