クビワオオコウモリは、日本の南西諸島や台湾などに分布しているオオコウモリの仲間で、幾つかの亜種が知られている。 オオコウモリの中ではもっとも北に分布していて、インドオオコウモリよりは小さいが、翼開長1.2~1.4m程はある。 英名は「空とぶキツネ(Flying fox)」と呼ばれているが、吻が突き出ていて、横から見るとキツネを思わせることから名前が付けられている。 しかし、インドオオコウモリのように耳は尖っているが、小さくて、半ば毛の中に隠れている。 また、尾はなく、尾膜はあまり発達していない。 体毛は長い羊毛状で、赤褐色や暗褐色をしている。 首周りの毛色は淡い黄色で白っぽく、これが首輪のように見えることから和名が付けられている。 また、飛膜は暗褐色や黒褐色で、体色よりも暗い色をしている。 クビワオオコウモリは、亜熱帯から熱帯にかけての森林や雑木林などに生息していて、一般に単独や小さな群れで生活しているが、しばしば大きな群れをつくることもある 夜行性で、日中はふつう木々の中で枝にぶら下がって休んでいる。 夕暮れから夜になると活動をはじめるが、飛翔するときは、ほかのオオコウモリと同様、反響定位によって飛行するのではなく、視覚によって飛翔する。 食性もほかのオオコウモリと同じで、さまざまな果実類を食べるが、花や葉なども食べる。 前肢第1指の爪は鍵状で大きく、枝から枝へ移動するのに役立っているが、これで果実がついた枝などを引き寄せたりする。 果実は果汁だけを飲んで、かすは吐き捨てるが、噛む力が強く、硬い実でも砕くようにして果汁を飲んでしまう。 また、樹皮を食べることがあるほか、昆虫類も少しは食べる。 繁殖は10~1月頃に見られ、雌は妊娠期間4~6ヶ月ほどで、ふつうは1産1子を出産する。 子どもは半年ほどで親と同じ程度に成長し、この頃には独立していく。 1~2年程で性成熟し、飼育下での寿命は20年を超えると言われている。 このほか、クビワオオコウモリには次のような亜種が知られている。
フィリピンのものは亜種なども不明ではっきりとはしないが、もっとも生息数が多いと言われている。 しかし、一部地域では食用として狩猟が行われているほか、台湾のものは大幅に生息数が減少していて、既に絶滅しているとも言われている。 国内でも、近年の森林開発は生息地の減少を招き、生息数も減少している。 また、クビワオオコウモリは、花や果実を主に食べることから、種子の分散や受粉などに大切な役割を果たしているが、その反面、農作物を荒らす害獣として嫌われている。 現在、国際自然保護連合(IUCN)では、絶滅危惧種(VU)として指定しているが、クビワオオコウモリは繁殖率が低いこともあり、生息数が減少すると、その回復には時間がかかることもあり、更なる個体数の減少が心配されている。 翼手目の動物へ / このページの先頭へ |
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クビワオオコウモリ