ソマリノロバはアフリカに分布している野生ロバ(アフリカノロバ)の亜種で、四肢にはシマウマのような特徴的な黒い縞があるのが特徴になっている。 アジアノロバと共に家畜のロバの原種とされていて、飼育種は世界各地で使役動物などとして利用されている。
ソマリノロバの分布域・生息環境 ソマリノロバは、アフリカ北東部のソマリアやエチオピア、エリトリアなどに分布している。 半砂漠地帯やサバンナ、乾燥した草原地帯などに生息していて、厳しい環境の中で生活している。 ソマリノロバの大きさ・特徴 ソマリノロバの平均した体高は120cm程度で、野生のウマの中ではもっとも体が小さいと言われているが、大きいものでは体高150cm、体重は270kgを超えるものも見られる。 体色はやや赤みを帯びたような灰色で、口まわりや腹部は白っぽい色をしている。 シマウマなどに見られるタテガミははっきりと認められるが、アフリカ産のノロバには背中と肩に交わる一本の暗い筋があるが、ソマリノロバでははっきりとしていない。 しかし、ソマリノロバの四肢にはシマウマに見られるような特徴的な黒い縞があり、これが特徴になっている。 また、ふつうは背中の中央に暗い縦筋が見られ、この線は尾の先まで続いている。 耳は大きくて長く、聴覚に優れているが、暑い砂漠地帯で体の熱を放出するのにも適している。 ソマリノロバの生態・生活 ソマリノロバは、半砂漠地帯や乾燥した草原地帯などの厳しい環境で生息していて、雌は、その子どもたちからなる小さな家族単位で生活しているが、成熟した雄は、しばしば単独で生活している。 しかし、水や食べ物が豊富になる雨季には、群れ同士や雄が集まって、一時的に大きな群れをつくることもある。 昼間に活動するが、日中の間は暑さを避けて、岩陰や木陰などで休んでいて、早朝や夕方などの涼しい時間帯に採餌が行われる。 主に草類を食べるが、低木の葉や樹皮なども食べる。 水分の多くは植物から摂取していて、水はほかのウマほど必要としないが、水があれば毎日飲む。 水辺から遠く離れることはなく、せいぜい水源から30km程度までの距離に留まり、植物から水分を得られなければ2~3日に一度は水を飲む。 また、ソマリノロバは汽水域で塩分を含んだ水も飲むことが観察されている。 雄の行動範囲は10~25平方km程度と言われているが、行動範囲は食糧事情などによって変化する。 行動範囲内には糞などて臭いを付けて縄張りが主張されるが、縄張りの中には水源があることが多い。 また、縄張りの中に雌が入ってくることは受け入れるが、繁殖期になって他の雄が入ってくると激しく追い払う。 しかし、繁殖期以外は、ほかの雄が縄張り内に入ってきても、多くの場合は許容すると言われている。 外敵はライオンやオオカミなどだが、鋭い聴覚と視覚を使ってより早く危険を感じとる。 危険を感じると走って逃げるが、時には後ろ足で蹴って反撃することもある。 また、ソマリノロバは体は小さいが時速50km程で走ることができ、長い距離を走ることができる持久力もある。 ソマリノロバの繁殖・寿命 ソマリノロバの繁殖期は雨季に見られ、繁殖は一夫多妻で行われる。 雌の妊娠期間は11~12ヶ月で、ふつう1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は23~27kg程で、生後数時間ほどで母親と一緒に歩くことができるようになる。 生後数日を過ぎるころには草を食べるようになるが、1年程の間は授乳期間がある。 その後も親と一緒に生活しているが、雄は2年程度、雌は2~4年程で性成熟し、その頃までには独立していく。 飼育下での寿命は20年を超え、長いものでは40年ほどの寿命があると言われている。 ソマリノロバの保護状況・その他 ソマリノロバは北アフリカの洞窟の壁画などにも描かれていて、かつては生息数も多く、身近な動物であったと言われているが、肉や皮を目的とした狩猟や、近年では生息地の開発や内戦なども加わり、固体数は極めて減少している。 現在、ソマリノロバは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、野生での絶滅の危険性が非常に高い絶滅危惧種(CR)としてレッドリストに指定されている。 各国の保護政策のほか、各地の動物園などで飼育・繁殖の試みも行われているが、自然下では家畜との競合もあり、更なる生息数の減少も懸念されている。 尚、アフリカノロバには、ソマリノロバのほか、次の亜種が知られている。 ヌビアノロバ (Nubian wild ass・Equus africanus africanus) アフリカノロバの基亜種で、スーダンからエリトリアなどに分布しているとされているが、既に絶滅しているとも考えられている。 アトラスノロバ (Atlas wild ass・Equus africanus atlanticus) アルジェリアからモロッコ、チュニジアに至るアトラス山脈周辺に分布していた亜種で、既に絶滅している。 また、アフリカノロバから家畜化されたものは E. a. asinus とされ、世界各地で飼育されている。 |
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ソマリノロバ