モウコノロバは、アジアで見られる家畜のロバの原種とも考えられている。 名前のように、多くはモンゴル南部に分布していて、毛色は淡い褐色のような色で、前肢の内側にはウマに見られる黒い斑が見られる。
分布域・生息環境 モウコノロバは、アジアに広く分布しているアジアノロバの基亜種で、多くはモンゴル南部に分布しているが、中国北部にも分布している。 ゴビ砂漠の周辺や半砂漠地帯、荒れ地などに生息していて、小さな群れをつくって生活している。 大きさ・形態 アジアの野生ロバの中ではもっとも体が大きく、平均した体高は1.2~1.5m程で、グラントシマウマと同じほどの大きさがある。 四肢は細くて長く、耳はロバとしては比較的短く15cm程度だが、ソマリノロバなど、アフリカに分布しているロバに比べると、蹄は幅広いとされている。 毛色は淡い黄褐色や淡い赤褐色のような色をしているが、冬季はやや灰色がかった色になる。 タテガミや尾の房毛は黒く、背中の正中腺に沿っても黒っぽい色をしている。 また、前肢の内側にはウマに見られる「夜目」と呼ばれる黒いたこがある。 変わった名前だが、かつては「これは暗い夜道も歩くことができるので目の役目を果たしているのだ」と考えられたことから名付けられている。 もっとも夜目は目の役目を果たしているのではないが、これは、ウマの進化の過程で親指が退化したものとも言われている。 しかし、この黒いたこについては諸説があり、詳しいことは分からない。 生態・生活 モウコノロバは、主にゴビ砂漠の周辺や半砂漠地帯、荒れ地や川沿いの谷などに生息地していて、小さな群れをつくって生活している。 この群れは6~12頭ほどで、1頭の雄と複数の雌、その子どもたちからなっている。 草類などの植物を食べるが、より乾燥した地域では低木の木の葉なども食べる。 また、水が不足する夏の季節には、モウコノロバは乾燥した河床などに穴を掘って地下水を探り出し、水を飲むことが知られている。 この地下水は、他の野生動物や家畜などのほか、人の飲用にもなっている。 視覚、聴覚に優れ、敏感に危険を感じ取る。 走るのも速く、短い距離なら時速60~70km程で駆けることができると言われている。 繁殖・寿命 繁殖期は4~10月ほどの間で、繁殖は一夫一婦と考えられている。 雌の妊娠期間は11~12ヶ月で、ふつうは5~6月上旬頃に1産1子を出産する。 子どもは9~12ヶ月程で離乳し、雌は2~3年、雄は4年程で性成熟する。 野生での寿命は12~14年程度と考えられているが、多くのものは4~8年程度とも言われている。 しかし、飼育下での寿命は20年を超え、長いものは26年ほど生きることが知られている。 外敵はハイイロオオカミなどのほか、既に分布内では絶滅してしまっているトラなどが挙げられる。 保護状況・その他 モウコノロバは、かつてはカザフスタン東部とシベリア南部、中国北東部の満州地方などにも分布していたが、狩猟によって既に地域的に絶滅している。 現在、国際自然保護連合のレッドリストには、準絶滅危惧種(NT)として指定されているが、放牧による家畜との競合や食料としての密猟なども止まず、生息数は減少傾向にあると言われている。 尚、アジアノロバには、本種を含め、 ・E. h. ssp. hemippus (絶滅種) ・E. h. ssp. khur ・E. h. ssp. kulan ・E. h. ssp. onager の4亜種が知られているが、 ・E. h. hemippus ・E. h. hydruntinus なども提案されていて、本種を含め、その分類ははっきりと確定していない。 |
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モウコノロバ