エリマキキツネザルはマダガスカル島の熱帯多雨林だけに生息しているキツネザルの仲間で、キツネザルの中ではもっとも体が大きく、がっしりした感じがする。 クロシロエリマキキツネザル(本種/Varecia variegata)とアカエリマキキツネザル(Varecia rubra / Red Ruffed Lemur)の2種が知られているが、いずれも体色ははっきりと分かれている。 クロシロエリマキキツネザルの毛色は白と黒に分けられていて、顔のまわりには長いふさ毛がエリマキのように生えていて、これが名前の由来になっている。 また、アカエリマキキツネザルでは、クロシロエリマキキツネザルの白色の毛が赤茶色になっているが、両種共、いずれも体毛は長く、体全体を密に覆っている。 キツネのようにとがった鼻も特徴的で、嗅覚は鋭い。 本種・クロシロエリマキキツネザルはマダガスカル島東部の湿度の高い常緑樹林に生息していて、ほとんど樹上生活をしている。 標高1300m辺りまで生息していて、ふつうは2~5頭程の家族単位の小さな群れで暮らしているが、時には10~16頭程の群れも見られる。 昼間に行動するが、特に朝方や夕方には活発に活動し、樹間や枝から枝へと敏捷に動きまわる。 行動範囲は食料事情などによって幅があり、0.15~2k㎡と大きく変化するとされている。 樹冠近くで主に果実類を採食するが、木の葉や花なども食べる。 手は親指と他の指が対向していて、木の枝や物をつかむことができるが、採食するときにはあまり手を使わず、直接口で食べることが多い。 また、いくつかの地域では、地上に降りて菌類や土壌を食べることも観察されている。 土を食べることはワオキツネザルなどでも観察されているが、これはナトリウムの摂取量を増やすためだと考えられていて、土壌に含まれている塩分を摂取していると言われている。 しばしば群れ全体で大きな鳴き声をあげるが、その鳴き声は一頭だけでもかなり遠くまで聞こえる。 この鳴き声は動物園などでもよく聞くが、縄張りを示すものだと考えられている。 繁殖は6~7月頃に見られ、一夫一婦と言われているが、一夫多妻であるのではないかとも考えられている。 妊娠期間は90~102日程で、1産2~6子、普通は2~3子を出産する。 キツネザルは原始的なサルだが、エリマキキツネザルはサルにしてはめずらしく樹上に簡単な巣を作り、そこで子育てを行う習性がある。 また、キツネザルの仲間は、菜食に出かけるときなどは子どもを一緒に連れて行くが、エリマキキツネザルだけは子どもを巣において採食に出かけると言われている。 子どもには半年ほどの授乳期間があり、雌雄共に2年程で性成熟する。 野生での寿命は20年程度と言われているが、飼育下では30年を超えるものも知られている。 外敵はフォッサなどだが、近年では森林伐採などの影響で、キツネザルの仲間の生息数は減少している。 エリマキキツネザルも同様で、生息地も分断されてしまい、生息数はかなり減少している。 現在、クロシロエリマキキツネザルには下の3亜種が知られているが、いずれも生息数が少なく、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種・CRとして保護されている状況になってしまっている。
また、マダガスカル島北東部に分布しているアカエリマキキツネザルも、絶滅危惧種・CRとしてレッドリストに指定されている。 * 写真はいずれも本種・クロシロエリマキキツネザル。 キツネザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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エリマキキツネザル
(クロシロエリマキキツネザル)