動物図鑑・ワオキツネザル

ワオキツネザル

ワオキツネザル さんのプロフィール


動物図鑑・ワオキツネザル
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和 名 ワオキツネザル
分 類 霊長目・キツネザル科
学 名 Lemur catta
英 名 Ring-tailed lemur
分布域 マダガスカル島南部・南西部
生息環境 森林や樹木の少ない乾燥した岩地など
体 長 40~45cm 程度
尾 長 55~63cm 程度
体 重 2~3.5kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)
キツネザルの仲間は、マダガスカル島とその周辺の島にしか分布していないが、鼻面が長く、一見してキツネに似た感じがすることから、そのような名前がつけられている。

ワオキツネザルも同様の顔つきをしているが、尾は白と黒の輪模様になっているのが特徴で、名前の由来にもなっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


ワオキツネザルの分布域・生息環境
ワオキツネザルはマダガスカル島南部や南西部に分布していて、あまり深くない森林や疎林、森林近くの乾燥した地域などに生息している。

ほかのキツネザルよりも分布域が広く、低地から標高2600m辺りまで見られ、垂直方向の分布域も広い。


ワオキツネザルの大きさ・形態
ワオキツネザルは体長40~45cm程度、平均した体重は2.2~2.5kg程で、尾は体長よりも長く、55~63cm程の長さがある。

四肢には5本の指があり、後肢の第2指は鉤爪をしているが、他はすべて平爪で、他のキツネザルと同様、後肢は前肢よりも長くなっている。

体毛は密生していて、毛色は、背面は灰色や灰褐色などで、顔や腹面は白っぽいが、目の周りは黒い色をしている。

耳は大きくて白い毛が生えていて、目の色は金色で、鼻には毛がなくて黒い色をしている。

尾は長く、フサフサとした毛に覆われているが、この尾は黒と白の輪の模様になっているのが特徴で、ほかのキツネザルとの見分けが容易にできる。
また、尾の先は黒色で終わるが、ワオキツネザルの名前は、この特徴的な尾(輪尾)から付けられている。


ワオキツネザルの生態・生活
ワオキツネザルは、ふつうは低地や丘陵地帯の森林で見られるが、一部のものは標高2500mを超える岩の多い高地にも生息していて、キツネザルの中でも、もっとも多様な環境に適応している。

昼間に行動し、同数程度の雌雄とその子どもからなる5~20頭ほどの群れで暮らしていて、強い社会性がある生活をおくっている。

群れは母子を中心とした母系集団で、群れの中での順位は、雌の方がすべての雄よりも優位になっている。

同性間でも優劣が見られ、特に雌の間では順位がはっきりとしている。
しかし、もっとも優位な雄よりも、もっとも劣位の雌の方が優位にある。

一方、雄の間の順位はそれほど明確でなく、雄は2~5年程で別の群れに移っていく。
また、群れの数が多すぎるようになったり、食料が不足したりすると、群れは分散して、バランスをとるようにしている。

主に果実や木の葉、花などを採餌するが、昆虫やクモ類、カメレオンなどの小動物も捕らえ、夜間は樹の上で数頭ほどがかたまって眠る。

また、食べ物は生息地や季節などによって異なるが、ワオキツネザルは土を食べることが知られている。
これはナトリウムの摂取量を増やすためだと考えられていて、土壌に含まれている塩分を摂取していると言われている。

行動範囲は食糧事情や群れの大きさなどによって変化するが、食糧の豊富なところでは0.06~0.08平方km、そうでないところでは0.23平方km程度と考えられている。

また、行動範囲は縄張りにも結び付いているが、群れ同士の縄張りが重なったりした場合、これを巡って争いがある。

ワオキツネザルは元来は樹上性で、樹の上での動きは敏捷で、活発に動き回る。
しかし、キツネザルの中では地上で生活する時間が一番長く、より地上性が強い。
動物園などでも、ワオキツネザルが樹上から降りてきて、地上を歩く様子がしばしば見られる。

遠くへ移動するときなどは、樹間を移動するよりも地上に降りることが多く、歩く時は長い尾を高く上げて移動する。

地上では岩の多い乾いたところを歩きまわるが、跳躍力があるため、歩くというよりも、幾分跳ねるような感じで移動する。

また、ワオキツネザルは二足歩行することも知られているが、この時も、少し体を横に向けたような格好で、両手を上げてピョンピョンと飛び跳ねて移動する。

走る速さは時速20km程と言われているが、跳ねるように移動するので、実際はもっと速いようにも思われる。

水を飲むときには、イヌのように舌でピチャピチャと舐めるようにするほか、しばしば太陽に向かって、四肢を広げて日光浴する様子が見られる。

これは体温調整をするためで、寒い季節などにはよく行われ、その様子も動物園などでよく見かけられる。

また、ワオキツネザルの前足の手首には臭いを出す特殊な分泌腺があり、この分泌液を樹木のほか、尾などにこすり付ける習性がある。
この行動は、尾を再び木の枝などにこすり付けてマーキングし、縄張りを示すためであると考えられている。

尾に臭いをこすりつけた後、尾を頭上まで上げて左右に振りかざしたりする様子も見られるが、これも臭いを周囲に撒き散らして、縄張りの主張や群れの中での順位などを示すためだと言われている。

仲間同士は臭いや鳴き声などでコミュニケーションをとっているが、鳴き声は大きく、1km先にも聞こえるほど大きい。

外敵にはフォッサのほか、フクロウタカなどの猛禽類が挙げられるが、地上にいるときにはイヌなどに襲われることもある。


ワオキツネザルの繁殖・寿命
ワオキツネザルの繁殖期は4月中旬から6月頃にかけて見られ、繁殖は一夫多妻で行われる。

雌は4~4ヵ月半程の妊娠期間の後、1産1~2子、ふつうは1子を出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は50~80g程度で、育児は雌によって行われ、雄はほとんど関与しない。

子どもは、生後2週間ほどの間は母親の腹にしがみついているが、しばらく成長すると、子どもは親の背中に乗って移動するようになる。

また、雄は育児にほとんど関与しないが、群れの中の雌は、他の子どもの世話をすることが観察されている。

子どもは生後2ヶ月頃から固形食を食べはじめるようになるが、5ヶ月程の間は授乳期間があり、この頃までは、子どもは母親の背中にしがみついて育てられる。

しかし、子どもは、厳しい環境に加え、外敵に捕食されるなどして、生まれたその年に亡くなるものが多い。
生後1年以内の死亡率は30~50%に達すると言われていて、完全な成獣に達するのは30%程度とも言われている。

雌は20ヵ月、雄は30ヵ月程で性成熟するが、実際の繁殖はこれよりも遅くなる。
また、雌は出生した群れに留まっているが、雄は成熟する頃には群れを離れ、ふつうは2~5年ごとに群れの間を移動する。

野生での寿命は15~16年程度、飼育下での寿命は20年程度と言われているが、飼育下での寿命は長く、中には30年を超えたものも報告されている。


ワオキツネザルの保護状況・その他
ワオキツネザルは性質もおとなしく、動物園でも半ば放し飼いのような環境で飼育しているところもあるが、近年は個体数が減少している。

ワオキツネザルは他のキツネザルよりも分布域が広く、多様な環境にも対応しているが、近年の森林伐採や開発などによって生息地が減少し、それに伴い個体数も減少している。

これまで、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価では準絶滅危惧種とされていたが、考えられていたよりも個体数の減少がはるかに深刻で、現在では絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定される状況になっている。

マダガスカルでは保護地域などの政策もとられているが、木材需要の増加に伴う森林の減少なども止まらず、更なる保護が求められている。

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