コロンビアクロクモザル

コロンビアクロクモザルさんのプロフィール

コロンビアクロクモザル
霊長目　クモザル科
学名		Ateles fusciceps

英名		Black-headed Spider Monkey / Colombian spider monkey

分布域		アマゾン川流域など

生息環境		熱帯雨林などの森林地帯

体長		40～55cm 程度

尾長		70～85cm 程度

体重		8～9kg 程度

IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

コロンビアクロクモザルは、主にアマゾン川流域の熱帯森林に生息しているクモザル科の仲間で、名前のように、全身は黒っぽい色をしている。
ほとんど樹上生活をしていて、主に果実類を食べている。

●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

分布域・生息環境

コロンビアクロクモザルは、中央アメリカから南アメリカにかけて分布しているクモザルの仲間で、コロンビアやエクアドル、パナマなどに分布している。

主にアマゾン川流域の熱帯森林に生息しているが、海抜2500m辺りまでの湿潤な森林に生息していて、地域によっては耕作地近くの森林で見られることもある。

大きさ・形態

コロンビアクロクモザルの体長は40～55cm程で、体は細くて、四肢も細くてかなり長い。

全体の様子がクモのようにも感じられることから「クモザル」と付けられているが、体重は8～9kg程で、体は雄の方が少し大きい。

尾も70～85cm程もあり体長よりも長く、尾の先の裏側には突起があるパッドのようになっている。

この尾は木の枝など、モノに巻き付けることができるようになっていて、樹上での活動に適している。

また、手の指は親指を欠いているが、これも木の枝を握ったりひっかけたりするのに適している。

この様な体のつくりによって、コロンビアクロクモザルは樹上で敏捷に動き回ることができるが、長い尾は体全体の体重を支えることができ、しばしば尾を枝に巻き付けてぶら下がっている姿が見られる。

毛色は亜種によって少し違うが、全身が黒褐色や黒色で、毛は長くて硬い。
また、頭部の毛は前方にのびるように生えている。

尚、クモザルの中は、以前はオマキザル科に分類されていたが、現在はウーリーモンキーなどと共に独立したクモザル科に分類されている。

生態・生活

コロンビアクロクモザルは、群れをつくって生活していて、平均的な群れは20頭ほどと言われている。
この群れは母系で、雌によってまとめられ、雄は縄張りを守る役目を担っていると言われている。

また、群れの繋がりは緩やかなもので、採餌のときには幾つかの小さな群れになって分散し、採餌の後、再び集まってくる。

分散する群れは母親とその子どもたちからなることが多く、夜間も大きな群れから離れて休むことある。

コロンビアクロクモザルは日中に活動し、ほとんど樹上生活をしている。
樹上では中層から上層部に多く、下層部まで降りてくることは少ないが、樹上での動きは敏捷で、長い四肢と尾を使い、枝から枝へと素早く移動する。
跳躍力にも優れていて、枝から枝へ9m以上も飛び跳ねることができる。

食べ物は果実類が大半を占めていて、時期によってさまざまな果実を食べている。
木の葉や木の実、種子や花、時に鳥の卵やヒナ、昆虫などを食べることもあるが、果実は食べ物の80パーセントを占めると言われている。

また、コロンビアクロクモザルは一年を通して食べ物の豊富な地域で生活しているので、移動することはほとんどない。
しかし、生息地によっては、採餌のために20km程も移動することがある。

繁殖・寿命

コロンビアクロクモザルには決まった繁殖期が見られないが、子どもは雨期に生まれることが多いと言われている。

雌の妊娠期間は226～232日程で、ふつうは1子を出産する。
生まれたばかりの子どもにはほとんど毛が生えておらず、生後3ヵ月ほどで黒い毛が生えてくる。

育児は雌だけが行い、子どもは4ヵ月ほどの間は母親の腹にしがみついて生活している。
その後は背中に乗って移動するようになるが、子どもは20ヵ月ほどの間は授乳を受け、その間の育児も雌が行う。
雌は4～5年、雄は5～6年ほどで性成熟し、雌は3年ごとに出産すると言われている。

野生下での詳しい寿命は分からないが、飼育下では24年ほどの寿命をもっていることが知られている。

また、雄は生まれた群れに留まっているが、雌は性成熟するころには群れを離れ、別の群れへと移っていく。

保護状況・その他

近年の開発や森林伐採などにより、コロンビアクロクモザルの生息数は大きく減少している。
国際自然保護連合では、現在、絶滅危惧種(EN)として指定しているが、分布域は分断されていて、さらなる個体数の減少が心配されている。

この他、コロンビアクロクモザルには次の亜種が認識されている。

Ateles fusciceps fusciceps
エクアドル北西部に分布する基亜種で、毛色は全身が黒や黒褐色で、頭部は茶色い

A. f. rufiventris
コロンビア南西部からパナマ東部に分布していて、全身が黒色で、顎には白い部分がある

尚、英名ではA. f. rufiventrisを「Colombian spider monkey (コロンビアクモザル)」、A. f. fuscicepsは「Brown-headed spider monkey (ブラウンヘッドクモザル)」という一般名で呼ばている。

また、コロンビアクロクモザルは独立種として扱われているが、ジェフロイクモザルの亜種とする意見もある。

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