ジェフロイクモザル

ジェフロイクモザル さんのプロフィール


動物図鑑・ジェフロイクモザル

ジェフロイクモザル

霊長目 クモザル科
学 名 Ateles geoffroyi
英 名 Geoffroy’s Spider Monkey / Central American Spider-Monkey
分布域 中央アメリカからコロンビア辺り
生息環境 熱帯林など
体 長 雄で40~63cm 程度、雌で31~45cm 程度
尾 長 雄で70~86cm 程度、雌で64~65cm 程度
体 重 雄で7.5~9kg 程度、雌で6~8kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

ジェフロイクモザルはメキシコ南部のほか、グアテマラからニカラグア、コスタリカなどの中央アメリカに分布している新世界ザルで、パナマやアンデス山脈より北東のコロンビア、エクアドルなどにも分布しているとされている。

以前はオマキザル科に属してていたが、現在は独立したクモザル科に分類されていて、別名でアカクモザル、チュウベイクモザルなどとも呼ばれている。

毛色は赤褐色や暗褐色、黄灰色、黒色など変化があるが、顔や四肢の先は黒っぽく、目のまわりはふつう白っぽい。
また、頭部の毛は前向きに、頬の毛は斜め上向きに生えていて、全体に特徴のある表情をしている。

尾は体長よりも長く、この尾を木の枝などに巻きつけたりして、樹間をすばやく移動することができる。
尾の先の内側には毛がなく、裸出していて敏感になっているが、クモザルの仲間の尾は5番目の手のような感じで、ものに巻きつけたりできるほか、ものをつまみ上げたりすることもでき、きわめて巧みに動かすことが出来る。

また、ジェフロイクモザルをはじめ、クモザル類の前肢の指は四本で、親指はないか、あっても退化していて痕跡程度で、学名の「Ateles」はギリシア語で「未完成の」という意味を表している。

しかし、ほかの指はかなり長く、四肢も長い。
特に、前肢は後肢よりも四分の一程も長くなっている。

ジェフロイクモザルはクモザルの中では体が大きく、新世界ではもっとも大きいと言われているが、全体にほっそりとしていて、長い尾と、細長い四肢を曲げて樹木の間を移動する様子は、なんとなくクモを思わせる。

ふつうは数頭の小さな群れが集まって、全体としては15~25頭ほどの集団で生活しているが、時には群れ同士が集まって100頭近くになることもある。
行動範囲は9k㎡程度と言われていて、ノドジロオマキザルなどの群れと一緒にいることもある。

昼間に活動し、特に早朝にはよく動きまわる。
昆虫やカエル、カタツムリ、小鳥の卵などの動物質も少しは食べるが、主に果実や木の葉、木の実などを採食し、その割合は70~80%に及んでいる。
コミュニケーションの為に幾つかの鳴き声をあげるが、朝と夕には、互いの確認の為により多く声をあげる。

ジェフロイクモザルは熱帯雨林に生息しているが、常緑樹林だけでなく、沼地やマングローブの湿地林、落葉樹林など、様々な環境に適応している。
主に樹上で暮らし、樹冠の上部にいることが多く、あまり地上には降りてこない。
この為、ピューマジャガーなどの肉食哺乳類に襲われることは少なく、むしろ猛禽類や他のサル類との競合が多いが、ほかのクモザルに比べると、地上に降りる頻度は多いと言われている。

木の上で移動する時は四肢で歩いたり、長い指を木の枝に引っ掛けて、雲梯(うんてい・モンキーバー)を渡るように体をスイングさせて移動するが、いずれの場合も長い尾を枝に巻きつけたりして、うまくバランスを取っている。
また、太い枝の上や地上では、後足だけで歩いたり走ったりすることも出来る。

繁殖期は特に決まっておらず、妊娠期間7.5ヵ月前後の後、ふつうは1産1子、希に2子を出産する。
生まれたばかりの子どもは、体重300~500g程で、育児は雌が行う。
子どもは10ヵ月程度のあいだ親の背中に乗って育てられ、授乳期間は2年半を超えると言われている。

雄の性成熟は5年、雌では4年程度で、雌の出産間隔は2~4年とされている。
また、雌のジェフロイクモザルの生殖器は雄に似ていて、外見だけでは雄と混同されやすい。

野生での寿命は分かっていないが、寿命は飼育下で30年を超えることが知られていて、45年を超えた固体も報告されている。

ジェフロイクモザルは性質が穏やかで、好奇心も強く、動物園でも人気者だが、知能もかなり高く、チンパンジーオランウータンゴリラに次ぐ知能をもっているとも言われている。

 尚、ジェフロイクロザルには7亜種がいるとも言われているが、少なくとも5亜種は確認されている。

Ateles geoffroyi geoffroyi (Nicaraguan spider monkey・ニカラグアとコスタリカの一部)
A. g. grisescens (Hooded spider monkey・パナマとコロンビアの一部)
A. g. ornatus (Ornate spider monkey・コスタリカとパナマ)
A. g. vellerosus (Mexican spider monkey・メキシコからニカラグア)
A. g. yucatanensis (Yucatan spider monkey・メキシコ、グアテマラ、ベリーズ)

また、ジェフロイクモザルをはじめとするクモザルの仲間は、近年の森林開発などによって生息数が減少している。
現在、ジェフロイクモザルは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種IB類(EN)としてレッドリストに指定され保護されているが、A.g. geoffroyi と A. g. vellerosus は更に個体数が少なく、絶滅危惧種IA類(CR)に指定されていて、いっそうの保護が求められている。


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