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マントヒヒさんのプロフィール |
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| マントヒヒはアフリカ北東部などに分布しているが、ヒヒ類の中ではもっとも北に分布している。 オナガザルの仲間は森林地帯に生息している印象があるが、マントヒヒは大きな木がほとんどない低木地帯に生息していて、しばしば崖の岩場などにも生息している。
マントヒヒの分布域・生息環境 マントヒヒは「アフリカの角」と呼ばれているエリトリアやジブチ、エチオピア、ソマリア北西部など、紅海に面したアフリカ北東部に分布していて、アラビア半島のイエメン西部やサウジアラビアの一部にも分布している。 草原やサバンナ、ステップや半砂漠地帯などの乾燥した環境に生息しているが、生息地が耕作地などに置き換わったところでは、耕作地にも姿を見せる。 マントヒヒの大きさ・特徴 マントヒヒは雄の方がかなり大きく、大きいものでは体長80cm、体重も25kgを超えるが、雌ではその半分程度の大きさしかなく、体の大きさはかなり違っている。 毛色や体つきも雌雄で異なっていて、毛色は雌や若いものでは褐色のような色をしているが、雄は成獣になると灰色や灰白色に変わり、肩から背にかけては白っぽい毛がタテガミのように伸びてくるのが特徴になっている。 それがマントを着ているように見えることから名前が付けられているが、雄は頭部側面の毛も長く伸びて、耳も毛の中に隠れてしまっている。 一方、雌ではマントのようなタテガミは伸びずに、毛色も褐色のままで、全体にほっそりとした体つきをしている。 また、顔には毛がなく、雌雄共に肌色をしていて、他のヒヒのように口先は突き出ていて、目は深くくぼんでいる。 尻だこは大きく、赤いこともあってよく目立つほか、マントヒヒにはニホンザルなどのように頬袋があって、食べ物を一時蓄えておくことができる。 見つけた食べ物は頬袋に詰め込み、十分な量を集めた後に安全な場所に移動し、ゆっくりと食べることができる。 その為、マントヒヒは食料が少ない乾燥地帯でも効果的に食料を集めることができると言われている。 マントヒヒの生態・生活 マントヒヒはサバンナや半砂漠地帯、岩場などの乾燥した地域に生息しているが、水源から遠く離れたところには生息しない。 また、丘陵地帯や標高2500m程の山岳地帯にも姿を見せるが、一部の地域のものは、雨季には山岳地帯に移動するとも考えられていて、時には標高3000mを超えるところにも現れる。 マントヒヒは多層社会を形成していて、バンドと呼ばれる50~60頭ほどの群れをなして生活している。 群れの最小単位は、1頭の雄と複数の雌、その子どもたちからなる7~10頭ほどで形成されているユニット、またはハーレムと呼ばれているもので、1頭の雄が群れを率いている。 このユニットの中には、リーダーとなる雄の子どもである若い雄がしばしば含まれている。 このユニットがふたつ以上集まってクランと呼ばれる集合体を形成している。 クランの中の雄は互いに血縁関係があり、年齢に基づいた優劣の階層構造が形成されている。 更に、2~4のクランが集まってバンドと呼ばれる大きな群れをつくっている。 このバンドは大きいものでは100頭ほどになることもあり、マントヒヒの基本社会となっていて、採餌などの様々な社会行動が行われる。 バンドの行動範囲は環境や食糧事情などによって変化するが、最大で40平方kmほどの行動範囲をもっていると言われていて、マントヒヒはかなり広い行動範囲をもっている。 夜には外敵から身を守る為に崖などの安全な場所にバンドが幾つか集まって休むが、群れは更に大きくなり、最大で400頭ほどにもなると言われている。 主として地上性で、果実や木の葉、根茎、球茎、草、種子などの植物質の他、昆虫や鳥の卵なども食べるが、マントヒヒは食料の少ない乾燥した環境で生活している為、見つけることができるものは何でも食べる。 鳥や爬虫類、時には小型の哺乳類なども捕らえ、季節によって様々なものを食べている。 外敵はヒョウやライオンなどだが、マントヒヒが生息する地域では既に絶滅していると考えられていて、最大の外敵は人間とも言われている。 また、ブチハイエナなどの他、大型のヘビやワシなどの猛禽類に襲われることもあるが、時には雄が長くて強力な犬歯を武器にして立ち向かっていくこともある。 このほか、マントヒヒは知能は高く、飼育下では芸も覚えることができるのではないかと思われるが、力が強く、牙も強靭なので、ニホンザルなどのように芸を披露するのは難しい。 マントヒヒの繁殖・寿命 マントヒヒには決まった繁殖期は見られず、繁殖は一夫多妻で行われる。 雌は妊娠期間5~6ヶ月、概ね170~173日程の後、ふつうは1産1子、希に2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は600~900g程度で、体毛は黒色をしているが、生後半年ほどで雌のような褐色になりはじめる。 育児は主に雌によって行われ、子どもの離乳期間は8ヶ月程と言われているが、短いものでは半年、長いものでは15ヵ月程と幅がある。 生後2年頃には独立した生活を送るようになり、雌は4年半、雄は5~7年ほどで性成熟し、雌は6年、雄は10年程で、成体の大きさに成長する。 また、マントヒヒの雌雄は、性成熟するのを待たず、自立するようになる2~3歳の頃には出生した群れを離れる傾向がある。 雄は別の群れに入っていくか、若い雄同士の群れをつくるが、雌の多くは別の群れに加わっていく。 その場合、雌の移動は、血縁関係にある雌がいる群れを選ぶ傾向があるとも考えられている。 また、ハーレムの雄は別の群れから子どもや若い雌を連れ去り、自分のハーレムを大きくしようとすることが観察されているが、しばしば別の群れの雄に遮られてしまう。 マントヒヒの寿命は長く、飼育下での寿命はおよそ30~35年程度と考えられていて、長いものでは37年を超えたものが記録されている。 野生下での寿命はこれよりも短くなり、20年程度と言われているが、27年を生きたものも知られている。 マントヒヒの保護状況・その他 マントヒヒは、古代エジプトでは神の使いをする神聖な動物として、神殿の壁画やパピルスの巻物などにも描かれていて、彫像なども作られていたが、現在、エジプトでは既に絶滅してしまっている。 また、かつてはスーダンにも生息していたが、ここでも地域的に絶滅していると言われているほか、エチオピアなどでは開発された農耕地周辺にも現れるため、時に害獣として駆除されたりしている。 現在のところ、種としては絶滅の恐れはないとされているが、生息地の開発も止まず、地域によっては狩猟の対象にもなっていて、生息数は減少傾向にある。 また、マントヒヒの分布域には水場や寝場所となる岩場や崖が必要であるため、生息環境の変化や減少も心配されている。 尚、マントヒヒはエチオピアに最も多く生息しているが、エチオピアではマントヒヒとアヌビスヒヒとの間で、自然下での交雑種が発見されている。 この交雑種は繁殖可能なうえ、その地域も拡大しているようで、今後、より多くの交雑種が生き残り、繁殖するにつれて、分類学上の状況が変化する可能性があるとも言われている。 |
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