フェネックはフェネックギツネとも呼ばれ、モーリタニアからモロッコ、アルジェリアなどを経て、エジプトやスーダンなど、サハラ砂漠から北のアフリカやアラビア半島、シナイ半島などの砂漠地帯や砂地の乾燥地帯に生息している。 イヌ科のなかでは最小の動物で、肩高は18~20cm程しかなく、イエネコか、或いはそれよりも小さい。 毛は柔らかく、ふさふさとした毛が全身に密生している。 毛色はふつう背面が赤みのかかったようなクリーム色で腹部は白っぽいが、ほとんど全身が白いものも見られる。 また、尾もふさふさとして長く、先は黒っぽい。 足の裏にも長くてやわらかい毛が生えていて、温度差の激しい砂漠地帯を移動するのに適している。 フェネックの特徴はその大きな耳であるが、体はイヌ科の中では最小であるにも関わらず、耳は10~15cm程もあり、イヌ科の中では最も大きい。 この大きな耳は、砂漠地帯で生活するフェネックにとって、体熱を放射するのに役立っていると考えられているほか、聴力にも優れていて、砂の中に潜んでいる獲物を探し出すことにも役立っている。 また、 この大きな耳から、フェネックは一見してオオミミギツネと間違いやすいが、分布域も違い、オオミミギツネの鼻面や四肢は黒っぽい。 ふつうは10頭位までの家族単位で生活していて、多くは雌雄のペアとその子ども、幼獣から構成されている。 人の生活圏から離れた砂漠地帯などで穴を掘って生活し、日中は暑さを避けるため巣穴で休み、夕方になると活動をはじめる。 しかし、夜間になると気温が下がる為、一日の大半を巣穴の中ですごしていることが多い。 フェネックは穴掘りがうまく、巣穴は120㎡程の広さをもっている。 時には他の巣穴と繋がっていたりして、多くのものが住んでいることがある。 詳しい行動範囲は知られていないが、行動範囲は糞や尿でマーキングされている。 小型の囓歯類やウサギ、鳥や爬虫類、昆虫などのほか、果実や葉など、様々なものを食べる。 特に、葉や根、果実などの植物質は、水分の少ない生息地での大切な食物となっている。 水があればこれを利用するが、フェネックは乾燥した砂漠地帯で生活するのに適していて、生活に必要な水分のほとんどを植物から摂取し、水を飲まなくても生活していくことが出来るとも言われている。 また、フェネックは跳躍力にもすぐれ、70cm近くも垂直に飛び上がることができ、立ち位置からでも1m以上の距離を跳ぶこともできる。 外敵はフクロウやワシミミズクなどの猛禽類が知られているが、カラカルやジャッカル、シマハイエナなどにも襲われることがあると言われている。 しかし、フェネックは聴力に優れていて、いち早く外敵の迫ってくることを察知できる他、体色は保護色にもなっていて、捕らえるのはかなり困難とされている。 巣穴にも脱出用の出口が設けられていて、猛禽類のほかは主な外敵はいないとも考えられている。 一夫一婦で、繁殖期は冬季の1~2月頃に見られる。 平均した妊娠期間は50~53日程で、1産1~6子、ふつうは2~3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は50g程で、目は閉じている。 10日程で目は開くが、雄も雌に食べ物を運んでくるなど、子育ては家族によって共同で行われる。 子どもは3ヵ月程で完全に離乳し、早ければ雌雄共に6ヵ月程で性成熟する。 動物園などの飼育下での寿命は14年を超えたものも知られているが、野生では長いもので10年程度と考えられている。 フェネックは、現在のところ絶滅の恐れはないとされているが、毛皮を目的とした狩猟などが行われていて、ワシントン条約では付属書IIに記されている。 また、近年では生息地が断片化している為、開発などによる生息地の減少も心配されている。 イヌ科の動物へ / このページの先頭へ |
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フェネック (フェネックギツネ)