ラッコは水と密着した生活をしているイタチ科の動物で、本種のみでラッコ属を形成している。 イタチの仲間ではクズリが大きいが、ラッコはこれよりも大きく、イタチの中では最も体が大きい。 大きなカワウソのようにも見えるが、学名の「lutris」も「カワウソに似ている」という意味で、主に河川や湖などに生息するカワウソに対して、海洋に進出したものがラッコと言える。(「Enhydra」は「水に棲む」という意味) 体は長く、頭部は平たくて大きいが、首は短くて、耳は小さい。 また、前足は短く、指も短い。 後ろ足には水掻きがあり、平たくてひれ状になっていて、水中生活に適した体をしている。 毛色は褐色、赤褐色のほか、黒っぽいものや銀色の霜降りになっているものなど、さまざまである。 聴覚や視覚はそれ程でもないが、嗅覚は優れている。 ラッコはほとんどを水中で生活し、陸上には僅かな時間しか上がることがない。 また、陸上に上がることがあっても、水際から離れるようなこともしない。 この為、下毛は密生していて、長さも2.5cm程あり、冷たい水中にも耐え得るようになっている。 しかし、アザラシやマナティーなどの海獣類が蓄えている厚い脂肪は、ラッコには蓄えられていないので、防寒効果を維持するため、常に毛づくろいをしている。 動物園などで見かける姿も、ほとんどが水に浮いて毛づくろいをしている姿である。 アメリカのカリフォルニアからアラスカ、アリューシャン列島を経て、カムチャッカなどの沿岸域に分布しているが、岩の多い磯を好み、十頭から数十頭の群れで生活している。 ウニや貝類、カニなどの甲殻類や魚などのほか、イカや海藻などを食べるが、食べ物は水面まで運んでから食べる。 潜水能力は優れ、普通は1分間程度は潜っているが、5分程は潜っていることができる。 また、ラッコはウニや貝類などは胸の上に乗せて、硬い殻を石で叩き割って食べる習性があることはよく知られているが、皮膚はだぶついていて、食べ残った貝類などを腹部のたるみの間に入れておく習性もある。 大食漢で、1日で自分の体重の4分の1程の食物を食べる。 この為、一部の生息地ではウニや貝類などへの漁業被害も報告されている。 昼間に行動するが、朝夕に活発に活動し、日中は休んでいることも多い。 夜間も水から離れることはなく、海藻の間などで休むが、寝るときは流れに流されないように、海草を体に巻きつけて休むようにする。 繁殖期ははっきりしていないが、3~4月頃が多いと考えられている。 交尾は水中で行われ、ふつう1産1子。 親は泳ぐときも胸や背中に子どもを乗せ、二ヶ月程度哺乳する。 野生での寿命は雄で10~15年程度で、雌はこれよりも5年ほど長いが、23年の固体も報告されている。 また、飼育下では28年生きたものも報告されている。 かつては分布域には多数のラッコが生息していが、毛皮が良質であるため、これを目的とした乱獲のために生息数が著しく減少し、20世紀初頭には生息数が1000~2000頭程度と、絶滅寸前にまで減少しと言われている。 国内でも千島列島や北海道東部の沿岸などにかつては生息していたが、乱獲の為、ほぼ絶滅してしまっている。 現在でも希に北海道東岸で目撃されることがあるが、定着はしていないと考えられている。 保護政策などによって生息数は回復してきていると言われているが、ラッコは現在も国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されている。 イタチ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ラッコ