クズリはイタチ科に属しているが、同科の中ではラッコと共にかなり大型で、一見してクマに似た感じがする。 大きい雄では体重が30kgを超えるものもいて、はじめてクズリを見たときなども、イタチ科ではなくクマの仲間という印象が強い。 雌は雄よりも体が小さく、体重も3割ほど少ないが、雌雄共に体はがっしりとしていて、四肢はイタチ類では比較的長くて太い。 手足も大きく、歩くときはかかとまで地面につけて歩く。 頭は少し大きく、耳は小さくて毛に埋もれていて、犬歯は長くて鋭い。 四肢には5本の指があり、爪は鋭く、半ば引っ込めることが出来る。 クズリは、ノルウェーからロシア極東部、モンゴルや中国北部などのユーラシアと、北アメリカのアラスカからハドソン湾にかけての北極圏を含む北半球北部に分布している。 針葉樹林(タイガ)やツンドラ地帯に生息し、人の住む地域とは離れたところで生活している。 分布域が広い為、ユーラシアクズリ(Gulo gulo gulo)とアメリカクズリ(Gulo gulo luscus)の二亜種iに別けられることもあるが、いずれも寒い地方で生活している為、体毛は長くて深く、尾もふさふさとしている。 また、夏場は足の裏には毛がないが、冬には毛で覆われる。 これも寒冷地での耐寒と雪の中を歩くのに適している。 毛色は全身が黒褐色で、前頭部と肩から尾のつけ根にかけては褐色の帯が見られる。 クズリは昼夜を問わず年中活動し、主に地上で生活するが、木登りのほか泳ぎもうまい。 普段は単独で生活しているが、かなり広いテリトリーをもっていて、この中を1日に45km程も移動することがあると言われている。 季節や食糧事情などによってテリトリーの広さは変化するが、雄の範囲は600~1000k㎡程もあると言われていて、この行動範囲の中には2~3頭の雌のテリトリーが含まれている。 ほかのイタチの多くと同じように、肛門線からの臭いでマーキングをする習性があり、巣は樹洞や岩穴、倒木の下などに草などを敷いて作る。 雑食性で、鳥やウサギ類、リスやビーバーなどの齧歯類などの小動物のほか、果実なども食べる。 力も強く、自分よりも5倍程も大きい動物を倒すことが可能で、トナカイやヘラジカなども捕らえる。 このような大型の有蹄類などを倒す時は、冬季の雪の中で立ち往生しているところを襲いかかると言われている。 この他、大型の肉食動物の食べ残しや動物の死肉なども食べ、クズリはガツガツとして何でも食べる。 学名の「Gulo」とは「丸のみにする」という意味で、語源は「食道」の意で、季節に合わせて実に様々なものを食べる。 また、クズリは顎の力もかなり強く、骨なども噛み砕いてしまうが、大きな獲物は雪の中や地中に埋めておく習性があるとされている。 外敵はオオカミやピューマ、ヒグマなどが考えられるが、ラーテルのように気が荒いので、時にはそれらが獲った獲物を横取りすることがある。 持久力にも優れ、時速15kmを超えないものの、小走りのまま10~15kmの距離を休まずに移動することができる。 一夫多妻で、繁殖期は4~8月頃に見られる。 遅延着床があるため妊娠期間は120~270日程と長いが、実質の妊娠期間は30~50日程度で、1産1~5子、ふつうは2~3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は85~95g程度で、毛色は白い。 ひと月程で親と同じような色になり、3ヵ月程で完全に離乳する。 生後5~7ヵ月頃には自分で獲物を捕らえはじめ、1年で成獣と同じ程度の大きさに成長する。 この頃には独立した生活をするが、性成熟するには2~3年を必要とし、子どもはこの頃までは親と一緒にいると言われている。 野生では13年を生きたものがいるとされているが、野生での平均寿命は5~7年程度と考えられている。 しかし、飼育下での寿命は長く、17年を超えたものが知られている。 かつては毛皮などを目的とした乱獲が行われていたが、現在では商業的な価値は低くなっている。 しかし、クズリは現在も狩猟の対象になっている他、生息地への人の侵入により、獲物となる動物の減少や時には害獣として駆除されたりしている。 現在のところは絶滅の危惧はないとされているが、クズリは生息密度が低いこともあって徐々に生息数が減少している。 このほか、北アメリカに分布しているクズリを、アラスカのケナイ半島に分布するもの(G. g. katschemakensis)、カナダのバンクーバー島に分布するもの(G. g. vancouverensis)などを含む四つの亜種に別ける場合もあるが、もっとも受け入れられている分類は、ユーラシアと北アメリカにそれぞれ分布している2亜種、或いはクズリをひとつの種とする分類と言われている。 イタチ科の動物へ / このページの先頭へ |
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クズリ