ラーテルは、インドからイラン、イラク、アラビア半島を経て、モロッコ南部やアルジェリア南西部、サハラ砂漠より南のアフリカの大部分に広く分布しているイタチの仲間で、トルクメニスタンなどにも分布している。 体つきはアナグマに似ているが、全体に頑丈な感じで、四肢は太くて短い。 頭部は平たく、吻はとがっていて、尾は短い。 また、体の皮膚は厚いが、ダブついていてゆるい。 毛色は、四肢や腹側は黒っぽく、頭部から背、尾の付け根にかけては霜降りの灰色や白っぽい色をしている。 しかし、体色には変化があり、全体に黒っぽいものや、尾の上側にかけても白っぽいものなども見られる。 分布域が広いことから体の大きさには差があるが、雄の方が雌よりも大きく、アフリカに分布するものの方がアジアのものよりも全体に大きい。 ラーテルは熱帯から亜熱帯にかけての森林や草原、サバンナや藪地、岩の多い丘陵地帯など、さまざまな場所に生息していて、エチオピアでは標高4000m程の高地でも見られる。 また、地中海沿岸やサハラ砂漠のもっとも乾燥した砂砂漠では見られないが、砂漠やその周辺地域にも生息している。 普段は単独で生活していて、広い範囲を移動しながら生活している。 常に動き回っていて、1日に、雄は25km、雌で10km程の距離を移動すると言われている。 行動範囲は地域や季節によって異なるが、カラハリ地域南部での雄の行動範囲は平均540平方km、雌で125平方km程度と言われていて、雄の行動範囲には複数の雌の行動範囲が含まれている。 また、尿などで臭いを付けて縄張りを主張するが、雄同士の行動範囲も重なっていることがある。 日中に活動するが、人の多いところでは夜行性になる傾向がある。 巣穴は岩穴や岩の割れ目、樹洞などを利用することもあるが、ふつうは地面に1~3mほどの穴を掘って巣穴にする。 主として肉食性で、小型のげっ歯類やヘビ、トカゲやカエルなどを食べるが、果物や木の根、球根などの植物質のものも食べ、季節や地域によってさまざまなものを食べる。 四肢には丈夫な鉤爪をがあり、リスなどは巣穴を掘って捕らえるほか、顎の力も非常に強く、カメなども難なく食べてしまう。 木登りも巧みで、鳥やその卵なども食べるが、大きな毒蛇なども食べてしまう。 肉や皮、体毛や羽毛、骨まで、すっかり食べてしまい、時には家畜や家禽を襲うこともある。 性質はかなり荒く、倒すことはないが、いきなり穴から飛び出してウマやスイギュウ、レイヨウなどの大型動物にも襲いかかることがあり、同科のクズリなどよりも攻撃的だと言われている。 ところで、ラーテルはミツバチやその幼虫、蜂蜜などを好むことから、英名では「Honey badger」と呼ばれているが、ラーテルはキツツキ目のミツオシエ科の鳥の鳴き声によって、ミツバチの巣を探し出すと言われている。 これは一種の共生関係で、ラーテルは蜂の巣を掘り返して蜂蜜にありつき、ミツオシエはラーテルが食べ残した蜜を食べるという、密接な関係にあるとされているが、はっきりとした確証はない。 繁殖期は、分布域が広いことから変化があるが、アフリカ南部では主に9~12月頃に見られる。 交配は巣穴内で行われることから、詳しい様子は分かっていないが、雌雄共に複数のものと交配し、決まった繁殖形態は見られないと言われている。 妊娠期間は50~70日程で、雌は1産1~2仔を出産する。 生まれたばかりの子どもは無毛で、目は開いていない。 育児は雌によって行われ、子どもは3ヶ月ほどの間は巣穴の中で育てられる。 この間、平均3日ほどの間隔で、母親は子どもを口でくわえて別の巣穴に移動する。 3ヶ月を過ぎる頃には固形食を食べるようになり、この頃には親と同じ毛色になり、子ども自ら歩いて毎晩別の巣穴に移動するようになる。 1~2年程は親と一緒にいるが、雌は1~1年半、雄は2~3年程で性成熟する。 雌は性成熟する頃には独立して離れていくが、雄は成熟した後も、数ヶ月間ほど母親の元に留まることがある。 野生での寿命は短く、7~8年程度と言われているが、飼育下では20年程の寿命がある。 気が荒いこともあって、外敵はほとんどいないが、ライオンやヒョウ、ブチハイエナなどに襲われることがある。 しかし、ラーテルの皮膚は非常に厚くて緩んでいるので、体をひねって身をかわし、素早く反撃に出て、しばしば追い払ってしまう。 また、脅かされたり、相手が迫ってくると、よく発達した肛門腺から悪臭を帯びた液体を噴射することもある。 このほか、ラーテルは分布域が広く、次の亜種が知られている。
尚、ラーテルは、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 イタチ科の動物へ / このページの先頭へ |
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