ツメナシカワウソはサハラ砂漠より南のガボンからコンゴ、ナミビアなどを除く南部アフリカに広く分布しているカワウソの仲間で、毛色は茶褐色や栗色などで、のどから胸にかけては白っぽい。 体は雄の方が少し大きくなるが、アジアに分布しているコツメカワウソに比べると雌雄共にかなり大きい。 頭部が平たく耳が小さいこと、泳ぐのに適した平たい尾など、全体に他のカワウソとよく似ているが、ツメナシカワウソには、名前のように爪がなく、あっても後足の第2、3、4指に痕跡的なものが見られる程度である。 また、1日の多くの時間を水中で過ごしているにもかかわらず、水かきも発達せず、僅かに見られる程度であることも特徴的である。 しかし、水中での動きは敏捷で、長くて太い尾が水中での推進力を与えるのに役立っていて、獲物を獲る以外でもよく泳ぎまわっている。 河川や湖沼、汽水域など、水辺の近くから離れて生活することはないが、ツメナシカワウソは森林地帯から半砂漠地帯など、ほとんどの環境に生息していて、時には開けた海岸や標高1400m程の高地などでも見かけられる。 他のカワウソと同様、魚やカニなどの甲殻類のほか、カエルやタコなどを食べるが、水かきを持たないためか、手の指を器用に使って獲物を捕らえることが出来る。 手の感覚も優れていて、泥底の中に潜んでいるワーム類などもうまく探り出してしまうが、この習性の為に爪が退化して、指先の感覚が優れるようになったとも言われている。 水中では水深1.5m程の深さまでで獲物を獲ることが大半で、小さな魚などは水中で食べてしまうが、大きな魚などは浅瀬や岸に持ってきて食べる。 基本的に夜行性であるが、日中もよく活動する。 普段は縄張りをもった単独生活をしているが、隣接する縄張りにはその家族が生息している言われている。 倒木の下などに巣穴を掘るが、獲物を獲ったり、外敵からすぐ逃げることが出来るよう、巣穴は水辺の近くにつくり、50mと離れることはないとされている。 繁殖期は地域によって異なるが、繁殖は乾季に行われ、出産は雨季のはじまりと一致している。 平均的な妊娠期間は63日程で、1産1~5子、ふつうは2~3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は200g程度だが、2週間ほどで1400g程に成長する。 子どもは雌が育て、45~60日程は授乳期間がある。 1年程で性成熟し、野生下での寿命は10~12年程度とされているが、飼育下では15~20年近く生きると言われている。 外敵は大型のニシキヘビやワニなどで、これらの外敵に出会うと鋭い鳴き声をあげ、威嚇すると共に近くの仲間に警告する。 しかし、最大の外敵は人間で、柔らかい毛皮を目的とした狩猟や、近年の森林開発などによる生息地の減少などによって、個体数は減ってきている。 イタチ科の動物へ / このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
ツメナシカワウソ