ツシマヤマネコは長崎県の対馬だけに分布している野生ネコで、沖縄の西表島に分布しているイリオモテヤマネコと共に、国内に分布している貴重なヤマネコとして知られている。 また、ツシマヤマネコはベンガルヤマネコの亜種とされているアムールヤマネコ(P. b. euptilurus)の地域型で、アムールヤマネコはモンゴル東部、中国東北部、アムール川流域、朝鮮半島、済州島、対馬などに分布しているが、この内の対馬に分布している個体群をツシマヤマネコと呼んでいる。 体の大きさはイエネコと同じ程度か、ひと回りほど大きく、四肢は比較的短い。 毛色は淡褐色や灰褐色で、暗褐色の斑が散在している。 尾にも暗褐色の斑が輪状になっていて、尾は太くて長い。 目から頭頂部にかけてははっきりとした黒褐色の縦縞があり、トラなどのように、耳の裏側には白い斑点がある。 ツシマヤマネコは森林や低木林などに生息していて、しばしば谷筋などで見られる。 普段は単独で生活していて、昼夜共に活動するが、多くは夕刻から夜間にかけて活発に活動する。 主に地上で生活し、ネズミやヘビ、カエルなどを食べるが、昆虫類や魚なども食べる。 また、木登りも巧みで、鳥類もよく捕らえるほか、イネ科の植物なども食べる。 対馬では「田ネコ(タネコ)」とも呼ばれ、ネズミやカエルなど、様々な生き物がやってくる水田や畑などにも姿を現し、時には海岸近くにも姿を見せる。 詳しい繁殖の様子などは分かっていないが、繁殖期は2~3月頃で、4~6月頃に2~3子を出産するとされている。 巣は樹洞や岩穴などを利用し、子どもはしばらくの間は親と一緒に暮らし、生後6~7ヶ月程で独立すると考えられている。 明治の中ごろまでは、ツシマヤマネコは対馬全域に生息し、毛皮や肉を目的として、本種を狩る猟師もいたと言われている。 その後の猟犬の導入によって激減したとも言われているが、1945年頃までは、猟師たちは山に入れば必ず目撃したとも伝えられているが、近年では森林の伐採による生息地の減少やそれに伴う獲物の減少、耕作放棄地の増加、また、除鼠剤や農薬の使用など、様々な要因によってツシマヤマネコの生息数は激減し、対馬南部(下島)ではほとんど見られなくなっている。 現在、ツシマヤマネコは環境省のレッドリストに絶滅危惧種(IA類・CR)として指定されている他、国の天然記念物、国内希少野生動植物種などにも指定されて保護されているが、生息数の増加には至っていない。 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ツシマヤマネコ