セイロンゾウ (スリランカゾウ)

セイロンゾウ (スリランカゾウ) さんのプロフィール


セイロンゾウ

セイロンゾウ (スリランカゾウ)

長鼻目・ゾウ科
学 名 lephas maximus maximus
英 名 Ceylon elephant / Sri Lankaw elephant
分布域 スリランカ
生息環境 主に森林地帯
体 長 4~5m 程度
尾 長 1.2~1.5m 程度
体 重 2,000~5,500kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

セイロンゾウは、所謂アジアゾウの仲間で、スリランカだけに分布している固有亜種とされている。
アジアゾウの基亜種にもなっていて、分布国である「セイロン」の国名が「スリランカ」に変わってからは、スリランカゾウとも呼ばれている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


セイロンゾウの分布域・生息環境
セイロンゾウ(スリランカゾウ)はスリランカの固有亜種で、主にスリランカの北と東や南東部の低地の乾燥地帯に生息している。
草原や森林などに生息していて、年長の雌をリーダーとした家族単位の群れで生活している。


セイロンゾウの大きさ・特徴
アジアゾウは、普通アフリカゾウよりも体は小さいが、セイロンゾウの肩高は2~3.5m程に達し、アジアゾウの中ではもっとも体が大きい。

ゾウの特徴は大きな体と長い鼻だが、鼻の先端にはものをつかむことのできる指状の突起がある。
この突起は、アフリカゾウでは鼻の先の上下に突起があるが、セイロンゾウを含むアジアゾウでは上側にひとつの突起があるのが特徴になっている。

ゾウはこの鼻を人の手のように巧みに使うが、食べ物を口に運んだりするほか、強靭で、重い材木なども持ち上げることができる。

皮膚は厚く、尾の端にはふさ毛が見られるが、体の毛はまばらに生えている。

体色は暗灰色や灰褐色をしているが、一般にインドゾウやスマトラゾウなどに比べると、セイロンゾウはやや暗い色をしている。
また、成熟したものに見られる頭部や耳、胸などのうすい桃色の斑は、インドゾウよりもはっきりとしている傾向がある。

体の最も高い部分は頭部になるが、背中は水平か丸みを帯びていて、背中では真ん中が一番高くなっているのも特徴になっている。

雌は雄よりも体が小さく、牙はないか極めて小さい。
雄の牙も小さく、ほとんどの個体は口の外に出てこない。
しかし、時には雄の牙が長さ1.8m、重さが35kg程の見事なものも見られる。


セイロンゾウの生態・生活

セイロンゾウは低地の草原や森林、疎林などに生息していて、ほかのゾウと同じように、植物質のものを食べる。

森林などの中を移動し、草類や木の枝、木の葉、樹皮や根などのほか、果実類などを採餌する。
主にマメ科やイネ科の植物を食べるが、一日に150~200kg程の量を摂取することから、様々な植物を食べる。

また、ゾウ科の仲間は群れをつくって生活しているが、セイロンゾウも10頭前後の母系の群れをつくって生活している。
この群れは年長の雌によって率いられていて、まとまった社会集団をつくっている。

一方、一部の国立公園では、乾季に数百頭が集まることがあるが、この時、群れの行動は緩やかになることから、季節や場所などによって、セイロンゾウの群れの大きさや行動は異なっているのではないかとも考えられている。

セイロンゾウは、水に入ることも厭わず、サイのように水浴びや泥浴びをよく行うが、知能は高く、記憶力もすぐれていることから、動物園などで芸を見せることもできる。

外敵はヒョウなどが挙げられるが、ゾウは体が大きく力も強いので、成獣のセイロンゾウが襲われることはほとんどにない。

この他、ゾウと人との関わりは長く、スリランカでも古くから重要な荷役動物として樹木などの運搬に使用されてきた他、様々な儀式においても深く関わっている。


セイロンゾウの繁殖・寿命
セイロンゾウの繁殖は一夫多妻で行われ、決まった繁殖期は見られない。
雌の平均した妊娠期間は長く、21~22ヵ月程に渡る。
ふつう、雌は1産1子を出産するが、稀に2子を出産することもある。

育児は群れの中のほかの雌にたちによっても行われ、子どもは3~4年程の授乳期間がある。
雌雄共に12~14年程で完全に性成熟するが、成熟しても雌は群れの中に留まっている。
一方、雄は10年前後、或いは性成熟することろには群れから離れていき、雄だけの群れの中に入って行く。

寿命は長く、野生では60年程度、飼育下では60~80年程の寿命があると言われている。


セイロンゾウの保護状況・その他

セイロンゾウは、現在でも材木の運搬などに利用されているが、かつてはスリランカの多くの地域に生息していた。

現在では山地や湿地帯では見られないが、以前は低地の湿地帯から寒い山地の森林まで、様々な環境で見られたとも言われている。

しかし、近年の開発や森林伐採などによって生息地は大幅に減少していて、セイロンゾウの生息数も減少している。

スリランカ政府による保護政策もとられているが、セイロンゾウの生息範囲は国立公園などの保護区の外側にも広がっていて、人間との競合によって生息地が重なり、自動車事故にあうなどの問題も起こっている。

現在、セイロンゾウは他のゾウの仲間と共に、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種(EN)として指定されているが、密猟なども後を絶たず、更なる個体数の減少が心配されている。

干ばつによる飢餓なども心配されていて、干ばつによる直接的な食料の減少の他、食料が減ることによって農作物に被害を与えることがあることから、害獣として殺されることの懸念も含まれている。

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