インドゾウ

インドゾウ さんのプロフィール


インドゾウ

インドゾウ

長鼻目・ゾウ科
学 名 Elephas maximus indicus
英 名 Indian Elephant / Asian Elephant
分布域 インドからインドシナ半島辺り
生息環境 主に森林地帯
体 長 4~5m 程度
尾 長 1.2~1.5m 程度
体 重 2,000~5,000kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種 (EN)

インドゾウはアジアに分布しているアジアゾウの亜種で、アフリカゾウと共に最大の陸上動物としてよく知られている。
アジアゾウの中でも分布域が広く、生息数も多いことから、インドゾウを指してアジアゾウと呼ばれることも多い。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


インドゾウの分布域・生息環境
インドゾウはアジアに分布しているゾウの中ではもっとも広く分布していて、インドからネパールやブータン、バングラデシュなどを経て、ミャンマーやタイなどのインドシナ半島やマレー半島、中国・雲南省南部の一部などに分布している。

草原や疎林、森林地帯などに生息しているが、広い分布域にもかかわらず、生息地は連続しておらず、減少傾向にある。


インドゾウの大きさ・形態
インドゾウはアフリカゾウよりは小さいが、それでも成熟した雄の肩高は2.8m、雌でも2.4m程の高さがある。
体は雄の方が大きく、大きな雄では肩高3mを超えるものも見られ、体重も6000kg程に成長するものも見られる。

筋肉質の長い鼻が特徴なことは言うまでもないが、この「鼻」は鼻と上唇がいっしょに伸びたもので、この鼻を使って食べ物を口に運んだりすることができる。

鼻の先端にはものをつかむことのできる指状の突起があるが、この突起はインドゾウでは上側にひとつ(アフリカゾウには鼻の先の上下に突起がある)もっている。
インドゾウはこの鼻を人の手のように巧みに使うが、強靭で、重い材木なども持ち上げることができる。
アフリカゾウほどではないが、耳も大きく、体温調整などの役目を果たしている。

皮膚は厚く、体色は暗い灰色や灰褐色で、成熟したものには頭部や耳、胸などに、うすい桃色の斑点がときおり見られる。
尾の端にはふさ毛が見られるが、体の毛はまばらに生えている。

アフリカゾウとの違いは、アフリカゾウの背中がくぼんでいるの対して、インドゾウの背中は丸みを帯びていて、背中の真ん中が一番高くなっている。

耳はアフリカゾウよりも小さいが、頭部はアフリカゾウに比べると大きい。

牙は雌雄共にもっているが、アフリカゾウよりは小さく、雌の牙は外から見えないことが多く、稀に牙のない雌もいる。
それでも、雄の牙は3mを超えるものも見られ、アフリカゾウにも劣らないほどの長さがあり見事である。
また、上述したように、鼻の先にある突起もアフリカゾウとは異なっている。


インドゾウの生態・生活

インドゾウは草原や疎林、森林地帯などに生息していて、草類や木の葉、木の芽、樹皮や果実、種子などを採食し、動物質のものは基本的に食べない。

季節よって様々な種類の植物を食べるが、1日に150kg程の食物を消費し、高いところの木の葉などは、前足を樹木にかけて鼻を伸ばし、後足で立つようにして食べる。

長い鼻を使って木の葉などを巻き取るようにして食べるが、水を飲むときも鼻で吸い上げて口に移す。
水は毎日70~120リットル程も飲み、水場から遠く離れるようなことはない。

インドゾウの生活形態は、他のアジアゾウと同様、家族単位の群れで生活している。

家族はふつう1頭の雌とその子どもたちからなっていて、インドゾウも母系的な集団をなす群居性の生活をしていて、群れは5頭程度から、ときには60頭ほどにもなる。

この群れは1頭の年長の雌が率いているが、親子や群れ同士の絆は強く、まとまった社会生活をしている。
また、若い雄は雄同士の群れをつくっているが、年老いた雄は単独で生活することもある。

主に朝夕に採食するが、インドゾウの群れは毎日決まったところを通る習性があると言われている。
日中は暑さを避けて休んでいるが、夜になると再び採食に出かけ、深夜を過ぎると立ったままか横になって睡眠する。

1日の行動範囲は雄で15平方キロメートル、雌の群れでは30平方メートル程度と言われているが、行動範囲は群れの大きさや生息環境、食糧事情などによって大きく変化する。

乾季には食料や水を求めて移動し、南インドの保護区では550~800k㎡程の間を移動すると言われているが、移動距離も環境などによって変化する。

目は小さく、視力は弱いと言われているが、聴覚と嗅覚はきわめて優れている。
また、歩く速度は普通6.5km/h程だが、大きな体のわりには走るのも速く、ゆっくりと走っているように見えるが、速さは50km/h近くにもなる。

水に入ることも厭わず、サイのように水浴びしている姿もよく見られる。

外敵はベンガルトラインドライオンなどがあげられるが、インドゾウは体が大きく力も強いので、成獣のインドゾウが襲われることは滅多にない。

幼獣や傷ついたものなどが襲われることがあるが、このような場合、周りのものたちが弱いものを守るように取り囲み、時には突進して追い払ってしまう。

この他、インドゾウと人との関わりは長く、アジア南部などでは古くから重要な荷役動物として樹木などの運搬に使用されてきたが、現在でも荷役動物に利用されている他、様々な儀式においても深くかかわっている。

また、国内の動物園でも馴染みのある動物で、インドゾウは知能もかなり高くて記憶力もよく、幾つかの芸を披露することもできる。


インドゾウの繁殖・寿命
インドゾウの繁殖は一夫多妻で行われるが、決まった繁殖期は見られない。
雌の平均した妊娠期間は21~22ヵ月程で、1産1子、稀に2子を出産する。
生まれたばかりの子どもの平均体重は90~110kg程で、生後2時間ほどで歩くようになる。

生後6か月頃には固形食を食べ始めるようになるが、育児は群れの中のほかの雌にたちによっても行われる。
子どもは3~4年程の授乳期間があるが、この間に、子どもは植物のセルロースの消化を助ける細菌などが含まれている母親の糞も食べる。

雌雄共に12~14年程で性成熟するが、成熟しても雌は群れの中に留まるが、雄はその頃には群れから離れて独立していく。

寿命は長く、野生で寿命は60年程度、飼育下では70~80年程の寿命をもっている。


インドゾウの保護状況・その他

インドゾウはアジアゾウの中でもっとも広く分布しているが、長い間食用として狩猟の対象になっていたほか、牙を目的とした密猟などもあって、生息数は減少を続けてきている。

近年では、急速な森林開発なども加わり、生息地も減少したり分断されたりしている。
それに伴い、人間との競合によって生息地が重なることになり、耕作地に現れたり、自動車事故にあうなどの問題も起こっている。

現在、アフリカゾウを含むすべてのゾウは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって絶滅危惧種としてレッドリストに指定されていて、インドゾウもIB類・ENとして絶滅危惧種に指定されている。
しかし、依然としてインドゾウの個体数は減少傾向にあり、更なる保護も求められている。

尚、インドゾウの学名は「Elephas maximus indicus」と記述されるが、同意語(シノニム)として「E. m. bengalensis」が挙げられる。
また、インドゾウは日本へ1408年に渡来した記録が残っている。

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