デグーは小型のげっ歯類で、アンデス山脈西側のチリに分布している。 ネズミに似た感じがするが、ヌートリアなどに近い動物と考えられていて、群れをつくって生活している。
デグーの分布域・生息環境 デグーはチリの固有種と言われていて、チリ中央部のアンデス山脈の西側斜面に分布している。 山地に生息していて、分布域はペルー北部まで広がっているとも言われているが、これについてははっきりとしない。 また、標高1200~2000m辺りに生息していると言われているが、デグーは低酸素には弱いと言われていて、ほとんどのものは標高1200m辺りまでに生息しているとも言われている。 主に山地の岩場や断崖付近にある低木林に生息していて、群れをつくり、強い社会性をもった生活をしている。 デグーの大きさ・形態 デグーは一見してネズミに似た感じがするが、ヌートリアなどに近い動物とされている。 テンジクネズミ(モルモット)にも似た感じがするが、体長は12~20cm程度で、体はそれよりも小さい。 毛色は褐色や黄褐色、アグーチ色で、生息する土壌の色に似ていて、保護色になっている。 尾は体と同じほど長く、先になるほど多くの毛が生えている。 また、耳は大きく、黄色い歯をしているほか、後ろ足は前足よりも短くなっている。 外見だけで雌雄の区別は難しいが、雄の方が雌よりも少し体が大きい。 デグーの生態・生活 デグーはアンデス山脈の西側斜面の岩場や断崖近くの低木林や疎林などに生息して、群れをつくった生活をしている。 1~2匹の雄と2~5匹ほどの雌が集まって生活していることが多いが、ペアとその子どもたちからなる家族も見られ、多くは10匹位までの群れで生活している。 主として昼行性の動物で、朝夕には特に活発に活動する。 草食性の動物で主に草類を食べるが、低木の葉や球根、樹皮や種子なども食べる。 草類を食べるときなどは、ブリーリードッグなどのように、前足を使ってうまく食べるが、サボテンなども採餌し、粗食にもよく耐える。 また、デグーは夜間に糞を食べることが知られている これは、より多くの栄養分を取り出すためで、厳しい環境下で食物が不足しているときにも有益と考えられている。 巣は、地面にそれほど深くないトンネルを掘ってつくるが、雌雄ともに巣穴を掘り、効率的に広い巣穴がつくられる。 巣穴は生活の場になっているほか、外敵などに対しての避難所にもなっていて、広い巣穴には複数の出入り口が設けられている。 群れの行動範囲は200平方メートル程度と言われていて、尿などで臭いをつけて縄張りを主張しているが、デグーは紫外線波長を見ることができると考えられていて、尿などのマーキングを視覚的に識別する事ができるのではないかと言われている。 また、げっ歯類としては聴覚にすぐれ、十数種類の鳴き声を使い分けて、仲間同士のコミュニケーションをとるほか、視覚も優れている。 頭も良く、記憶力にもすぐれているので、飼育下などでは簡単な道具を使うことも覚えたりする。 外敵はメンフクロウなどの大型の猛禽類などで、危険が迫ると鳴き声をあげて仲間に知らせ、素早く巣穴に逃げ込んで身を守る。 デグーの繁殖・寿命 チリでの繁殖期は、秋にあたる5月下旬頃にはじまり、出産は春になる9~10月頃に見られる。 一夫多妻で、繁殖期になると優位な雄は自分の巣穴から他の雄を追い出し、巣穴にいる2~4匹の雌を独占するようになる。 雌の妊娠期間は90~95日程で、1産1~12子、平均すると4~6子を出産する。 げっ歯類の中では妊娠期間が長いが、子どもはよく発達して産まれ、生まれたときには既に毛が生えていて、目も開いている。 育児は雌雄によって行われるが、デグーは強い社会性をもっていて、同じ群れの雌は共同の場所で子育てをするなどの習性があり、雌はほかの雌の子育てにも協力する。 子どもは生後2週間ほどで固形物を食べはじめるようになり、3週間ほどで巣穴から離れるようになる。 生後4~5週間程で離乳し、その後独立した生活をするようになる。 雌雄共に12~16週程度で性成熟するが、大人の大きさに成長するのは生後6ヵ月頃で、最初の繁殖期が訪れるまでは、同性の群れの中で生活している。 飼育下での寿命は5~8年程度で、性質もおとなしく頭も良いことから、研究用などに飼育されているが、脅かしたりすると、天敵の猛禽類に襲われたときのように激しく暴れる。 デグーの保護状況・その他 デグーは厳しい環境の中で生活していることもあり、現在のところ生息数は安定していると考えられていて、絶滅の恐れはないとされている。 一方、一部の地域では果樹園などに被害を与えることがあるほか、ウシの放牧地などにも生息している為、草を食べる害獣として駆除されることがある。 |
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デグー