オグロプレーリードッグ

オグロプレーリードッグ (プレーリードッグ) さんのプロフィール



動物図鑑・オグロプレーリードッグ

オグロプレーリードッグ (プレーリードッグ)

齧歯目 リス科
学 名 Cynomys ludovicianus
英 名 Black-tailed Prairie Dog
分布域 北アメリカ中央部など
生息環境 開けた草原地帯など
体 長 30~40cm 程度
尾 長 7~10cm 程度
体 重 700~1,400g 程度

プレーリードッグは北アメリカに分布するジリスの仲間で、地下に巣穴の集合体である「町」をつくることでよく知られている。

大きさはイエネコほどであるが体は頑丈で、背面は茶色や褐色、灰色を帯びた茶色などで、腹面は白っぽい。
ほかのリス科の仲間のように四肢は短いが、プレーリードッグは尾も短い。
また、国内でプレーリードッグと言えば、普通はもっとも広範囲に分布している本種・オグロプレーリードッグを指すが、名前のように尾の先は黒い。

オグロプレーリードッグはカナダのサスカチュワン州からアメリカ合衆国のノースダコタ、モンタナ、ワイオミングからニューメキシコ、テキサス州に至る地域と、メキシコ北部のチワワ州などに分布している。

開けた草原地帯やサバンナに生息し、リス科の中では珍しく、大きな群れで生活している。
雄の方がひと回りほど体が大きく、毛は年に2回生え変わる。

日中に行動するが、昼間は暑さを避けて、朝夕に活発に活動する。
また、オグロプレーリードッグ冬眠はしないが、気温が下がる冬季には巣穴の中でじっとしていることが多い。

野生では主にイネ科の植物の葉や茎などを食べ、食物は前足をうまく使って食べる。
木の根や球根、木の実、樹皮、花など、季節に合わせて様々な種類の植物を食べるが、プレーリードッグが食べる植物には水分も多く含まれていて、生活に必要な水分は植物と一緒に摂っている。
また、バッタや甲虫などの昆虫類も少しは食べるが、全摂取量の98%は植物質と言われている。

巣は地面に穴を掘ってつくられるが、この地下トンネルは縦横に伸びていて、「町」と呼ばれる広大な巣穴を形成する。
「町」はさらに「区」に分けられ、「区」にはいくつかの群れ(コロニー)が含まれる。
コロニーは1頭の雄を中心に、1~4頭の雌と子どもたちからなるが、「町」には時に数千頭が暮らすことがある。

巣穴の出入り口は複数あるが、穴の直径は15cmほどで、地下に向かって延びる3~5mのトンネルにつづき、2~3の横穴が草を敷きつめた部屋へとつながっている。
各部屋にはそれぞれの目的があり、寝室や子どもの飼育部屋などに使われる。

また、掘り出した土は巣穴の周りに火山のように積み上げられているので、プレーリードッグが生息しているのが容易に分かるが、これまで見つかった最大の巣穴は、テキサス州の65000k㎡という広大な面積をカバーするもので、およそ4億ものオグロプレーリードッグが生息していたと言われている。

警戒心が強く、巣穴の周辺には見張り台を設けていて、常に周りに気をつけている見張り役が見られる。
外敵はコヨーテアナグマオオヤマネコなどのほか、ワシやタカなどの猛禽類、大型のヘビなどで、危険が迫るとするどい声をあげて仲間に伝えるが、この時の鳴き声がイヌに似ていることからプレーリードッグ(草原のイヌ)と名づけられている。

プレーリードッグが後足で立って見張りをしている姿は動物園などでもよく見かけられるが、この声を聞くと、仲間はいっせいに巣穴の中に逃げ込んで身を隠すが、鳴き声には幾つかの違いがあることが知られていて、様々な内容を伝えていると考えられている。

また、プレーリードッグの使わなくなった巣穴などは、アナホリフクロウなど、ほかの動物が使うこともあるが、北アメリカ西部の山中などに生息しているオジロプレーリードッグ(C. leucurus)は本種(オグロプレーリードッグ)のような大きな町はつくらない。

一夫多妻で、繁殖期は1~4月頃で、生息地によって少し幅がある。
1産1~6子で、妊娠期間33~38日前後で、ふつうは3~4子を出産する。

生まれたばかりの子どもは体長7cm、体重は15~16g程度で、目は閉じていて、体毛も生えていない。
目は4週間程で見えるようになり、体毛は3週間ほどでしっかりとしてくる。

授乳期間は30~50日程で、1~2年程で成熟する。
野生での寿命は3~4年、飼育下で7~8年程度と言われている。

オグロプレーリードッグは国内の多くの動物園で飼育されていて人気者でもあるが、大きな地下トンネルを掘って、牧草や農作物に被害を与える事から、害獣として駆除され、近年では生息数が大幅に減っている。
特に、亜種であるユタプレーリードッグ (C. parvidens)やメキシコプレーリードッグ(C. mexicanus)などは個体数が著しく減少していて、現在は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種として指定され、保護が行われている。

また、オグロプレーリードッグは分布域が広いことから、様々な動物と繋がりをもつことになるが、本種を主に捕らえると言われているクロアシイタチ(クロアシフェレット)などは、プレーリードッグの減少と共に数が減り、これも絶滅危惧種に指定されているほか、オグロプレーリードッグは生息域の植生にも大きな関係があると考えられている。


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