プーズーは世界で最も小さなシカとして知られているが、プーズーには Pudu puda (ミナミプーズー)と Pudu mephistophiles (キタプーズー) のふたつの種が確認されている。 本種・ミナミプーズーはキタプーズーよりも少し大きいが、台湾などに分布するキョンと比べてもかなり小さい。
プーズーの分布域・生息環境 ミナミプーズーは、チリ南部とアルゼンチン南西部にまたがるアンデス地方に分布している。 チリでは、北をマウレ川を境にして、南はチロエ島辺りまで分布していて、チロエ島には、チリ本土よりも多くのプーズーが生息していると言われている。 平地から山地にかけての森林や二次林などに生息していて、早朝や夕方には活発に活動する。 プーズーの大きさ・特徴 プーズーは世界で最も小さいシカで、国内に生息している二ホンジカに比べるとはるかに小さい。 ミナミプーズーは肩高35~45cm程度、体重6.4~13.4kgほどで、キタプーズーよりも少し大きいが、それでもシカの子どものように見える。 体は雄の方が少し大きいが、雌雄ともに目や鼻は黒く、耳は丸い。 また、眼窩前腺があり、キョンなどのようにこれがよく発達しているのが特徴になっている。 尾や足は短く、ほかのシカのように腰の位置は高くなく、腰の位置が落ちているように見える。 毛色は赤褐色や暗褐色のような色をしているが、春と秋には抜け替わり、季節や雌雄によってやや変化がある。 また、老成したものは首や肩が灰色を帯びているが、プーズーの毛は中空になっていて、これもプーズーの特徴にもなっている。 角は雄だけに見られ、短いトゲ状になっている。 この角は耳の間から延びていて、6~9cm程の長さがあるが、毎年抜け落ちる。 プーズーの生態・生活 プーズーは平地から山地にかけての森林や二次林などに生息していて、下草の多いところで見られる。 標高1,700m辺りまで見られるが、比較的低地に多く、標高2,000m以上では常に雪が積もっていることから、ふつうは見られない。 また、高いところにいるものは、冬には標高の低いところに移動すると言われている。 普段は単独で生活していて、縄張りをもった生活をしているが、餌の多いところでは、2~3頭が集まることもある。 日中は休んでいることが多いが、プーズーは昼夜ともに活動し、多くの時間を採餌に費やしている。 早朝や夕方には活発に動き回り、シダ類や低木の葉、樹皮や木の根、多肉植物の新芽や花、落下果実などの植物質のものを食べる。 採餌は、森の中よりも、縁辺の植物が茂る場所で行われることが多く、嗅覚は優れていて、しばしば後ろ足で立ち上がり、匂いをかいで餌を探すようなことをする。 また、体が小さいこともあり、高所にある木の葉などは、前足を使って柔らかい草木を押し曲げたり、折ったりして地面に近づけて食べることもする。 性質はおとなしく、警戒心が強いが、時にピューマやキツネ、大型の猛禽類などに襲われることもある。 外敵が近づいたりすると、洞などに逃げ込んで身を隠したりするが、長い距離を走ることはできず、近年は飼い犬による被害も多く報告されている。 プーズーの繁殖・寿命 繁殖などについては詳しく分かっていないが、野生下での繁殖は4~5月の秋に行われる。 妊娠期間は7か月ほで、ほかのシカに比べるとかなり長い。 しかし、プーズーには遅延着床の可能性があることから、正確な妊娠期間は分かっていない。 多くは11~1月の春に出産が見られ、雌は1子、時に2子を出産する。 子どもは体高20cm程度、体重900g満ほどで、毛色は赤茶色で、背中には白い斑が散在している。 目が開いていて、出生後すぐに立ち上がることができる。 育児は雌によって行われ、早ければ生後一か月、遅くとも二か月以内には離乳する。 その後も親と一緒に生活しているが、生後3か月ほどで完全に成長し、性成熟する8~12か月頃には独立して離れていく。 また、野生下での寿命は10年程度と考えられているが、飼育下では17年を超えるものが記録されている。 プーズーの保護状況・その他 近年、ミナミプーズーは生息数が減少していて、国際自然保護連合では準絶滅危惧種に指定している。 主な原因は肉や毛皮を目的とした狩猟や開発、飼い犬による被害などだが、移入されたアクシスジカやアカシカなどとの競合も指摘されていて、個体数の減少が心配されている。 尚、国際自然保護連合では、キタプーズーを情報不足としているが、ミナミプーズーと同様、全体としては生息数が減少していると言われていて、今後の動向が心配されている。 |
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プーズー (ミナミプーズー)