ピグミーマーモセットは南アメリカに分布している小型のサルで、世界最小の霊長類のひとつとして知られている。 森林内で小さな群れをつくり、ほとんど樹上生活をしている。
ピグミーマーモセットの分布域・生息環境 マーモセットの仲間はいずれも中央アメリカや南アメリカに分布しているが、ピグミーマーモセットはボリビアやブラジル、コロンビアやエクアドル、ペルーなどに分布していて、アマゾン河上流に沿った地域に生息している。 その範囲は、アマゾン盆地を中心にして、コロンビア南部からペルー南東部のアンデス山脈の東部まで見られる。 ピグミーマーモセットの大きさ・特徴 ピグミーマーモセットは体長12~15cm程と体は小さく、シマリス程度の大きさしかない。 体毛は密生していて、毛色は黄色や黄橙色に黒色や灰色が混ざったような色をしている。 後肢は前肢よりも長く、尾も体長よりは少し長くて、上面は暗色のリング状になっている。 四肢には5本の指をもっているが、親指は人のように対向せず、他の指と同じ向きになっている。 爪は後肢の親指は平爪だが、残りは全て鉤爪で、樹木に取り付きやすいようになっている。 また、コモンマーモセットに見られるような耳の房毛はもっていない。 ピグミーマーモセットの生態・生活 ピグミーマーモセットは森林地帯や二次林などに生息しているが、水源の近くを好み、川沿いの森林などで見られる。 多くは5~10頭ほどの群れをつくって生活してるが、行動範囲は0.001~0.01平方kmと狭く、数本程度の樹木の周りを中心にした生活をしている。 この群れはふつう雌雄とその子どもたちからなる家族単位で構成されているが、時には他の雄が加わっていることもある。 また、日中に活動し、夜間は木の洞や木にからまった蔦の茂みなどを利用し、体を寄せ合って休んでいる。 採食するとき地上で行うこともあるが、ピグミーマーモセットはほとんど樹上生活をしている。 樹上では樹冠部で見られることもあるが、ふつうは樹木の上層よりは、高さ7~15m位までの中層から下層で生活している。 体は小さいが、動作は活発で、樹上でも敏捷に樹間を駆け巡ることができ、朝夕には特に活発に動きまわる。 主に樹液や樹脂などを食べるが、樹液が滲み出してくるまでには時間がかかるため、ピグミーマーモセットは、前もって長く伸びた前歯や爪で樹皮に穴を開けておくことが知られている。 例えば、滲み出して固まった樹液を朝に食べた後、樹皮に爪などで傷をつけておいて、半日ほど経って樹液が染み出した頃に戻ってきて、それを舐めとるというようなことが見られる。 このように先を予見した行動をとる動物は珍しく、人以外にはいないとも言われている。 また、果実や花、バッタなどの昆虫類やカエル、トカゲ、クモ類なども食べるが、樹木の多くが利用されてしまうと他の木に移り、再び数本の樹木を中心にした生活をしている。 行動範囲の樹木には、尿のほか、胸部や肛門にある分泌腺からの臭いによって縄張りが主張されていて、互いのコミュニケーションは、小鳥のさえずりのような様々な鳴き声をあげて行われる。 外敵にはオセロットなどがいるが、樹上生活しているので、むしろワシやフクロウなどの猛禽類や大型のヘビなどに襲われることの方が多い。 ピグミーマーモセットの繁殖・寿命 ピグミーマーモセットの繁殖は一夫一婦で行われるが、複数の雄がいる群れでは一妻多夫も観察されている。 決まった繁殖期は見られず、雌は妊娠期間130~140日程で、1産1~4子、しばしば2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は15g程で、ほかのマーモセットのように、育児は雌だけでなく、群れのメンバーによっても行われる。 雄も育児に積極的に参加し、子どもを背中に乗せて世話をし、授乳の時には母親のところへ連れて行くが知られている。 子どもの授乳期間は3ヶ月程で、雌雄共に1年から1年半程で性成熟し、2年を過ぎるころには親と同じほどの大きさに成長している。 また、雌は出産後、3週間程で再び発情期が訪れ、年に2回繁殖することがある。 飼育下での寿命は18年を超したものが知られているが、野生では11~12年程度と言われている。 ピグミーマーモセットの保護状況・その他 ピグミーマーモセットは、地域によって次の2亜種が知られている。 ・C. p. pygmaea (Western pygmy marmosets) アマゾン川上流のウカヤリ川からソリモンエス川などにかけての北部に分布する基亜種 ・C. p. niveiventris (Eastern pygmy marmosets) ウカヤリ川からソリモンエス川などにかけての南部 近年までは、いずれも絶滅の恐れはないとされていたが、耕作地などの拡大によって生息地が大きく減少している地域もあり、現在、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種(VU)に指定される状況になってしまっている。 尚、ピグミーマーモセットを含むマーモセット属はオマキザル科に分類されているが、以前はアカテタマリンなどのタマリン属と共に、独立したキヌザル科(マーモセット科)として扱われていた。 現在もその支持は多く、ピグミーマーモセットもキヌザル科として分類されることもある。 |
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ピグミーマーモセット